構内に焼き鳥屋が出る大学です

朝8時起き。東京新聞の見出しに「プールサイドに本のソムリエ」というのがあり、「おお、山本さんが登場か」と思ったら、〈ホテルニューオータニ〉のプールサイドで「リラックスして読める本12冊を用意し、専属スタッフがお客さんに合った1冊をセレクトしてプレゼントする」というキャンペーン、なのだという。たった12冊から1冊をセレクトなんて、本をなめんなよ、コラ。その上には、大日本印刷丸善が業務・資本提携をするという記事があった。


そのあと仕事場に行き、本家「古本ソムリエの日記」(http://d.hatena.ne.jp/zenkoh/)の以下の部分を読んで、心が洗われる。50歳になっても本のコトで親に怒られる山本さん、ステキです!(「あと5倍あっても大丈夫」の説得力が皆無なところなんて特に)

実家の2階に少しだけ本を置いてるのだが、そのことで、親におこられた。本が重たいというのを知らんのか、というのだ。でも本当にちょこっとなのだ。「こんなんで底抜けるわけないやろ」「こんなんで底ぬけるんやったら、もう何人も友達死んでる」「あと5倍あっても大丈夫や」といろいろ説明するが、自分でも説得力のない言葉に思えてきて、言うのをやめる。何年か前に全く同じ、いい合いがあったことを思い出した。


先日書いた短い書評に書き直しを指示され、今日ようやく直して送る。こんどはパスしたのでホッとする。400字でも800字でも2000字でも、書評はそれぞれ難しい。と思ったところに、某紙から800字の書評の依頼。話題になっているあの本だよ。緊張緊張。右文書院から『路上派2006』(作業上の仮題をこうしておく)のゲラが届く。一緒に、新刊の浦野興治『諫早思春記』(1600円)をいただく。武田花の写真を使った、林哲夫さんの装幀。本扉も含めて良い。


旬公のつくったそうめんを食べ、昼すぎに千駄木へ。〈往来堂書店〉で『コミックビーム』8月号を買う。ちくま学芸文庫で「日本の百年」全10巻が刊行中だが、2巻目の松本三之介編著『わきたつ民論』が出ていたので買う。あとがきに「執筆にあたっては小沢信男氏のご協力をえた」とあるが、『サンパン』の「作家・小沢信男一代記」で本文のかなりの部分を小沢さん自身が書いているとおっしゃっている。


〈ギャラリーKINGYO〉(http://www13.plala.or.jp/sd602kingyo/)で、秋山祐徳太子美濃瓢吾「ブリキ男と招き男」をようやく見る。美濃さんの人物や風景に圧がかかってぐんにゃりしている絵が好きだ。「温泉津の怪」は、今度「世界遺産」に登録された石見銀山の近くの温泉町を描いたもので、欲しくなるが、画面下に苦手な生物がいるので諦める(金額的に手が出ないだけなのだが)。根津から千代田線に乗り、代々木上原まで。ぐっすり眠った。


下北沢で降り、音楽喫茶〈いーはとーぼ〉でコーヒーを飲みつつ、石持浅海『BG、あるいは死せるカイニス』(東京創元社)を読む。この店の選曲はいつもイイなあ。踏み切りを渡り、〈古本ビビビ〉で、外山滋比古『読書の方法 〈未知〉を読む』(講談社新書)350円を、〈ディスクユニオン〉で、中古の清水靖晃[シネフィル]、カーネーション政風会[DUCK BOAT]を買う。のんびりしてるウチに時間がなくなり、小田急線に乗って鶴川へ。


和光大学の「雑誌研究」。今日は学生の課題の発表会。場所をゼミに使う部屋に変更して、各自がつくってきた雑誌のサムネイル(表紙、目次、8〜16ページのレイアウト)を発表させる。思ったよりも、凝ったつくりにしている学生が多く、オモシロイ。未完成の学生は来週発表することに。今日はサークル祭りとかで、構内に焼き鳥やエスニックの屋台が出て、DJが音楽を掛けている。ホント、珍しい大学だよ。授業を早めに切り上げ、学生にカネを渡して、ビールと焼き鳥を買ってきてもらう。来週で最後なので、打ち上げの先取りのつもりだ。


鶴川から電車で戻る車中、携帯に緊急連絡が何度も入る。西日暮里に帰ったら、ドッと疲れた。〈古書現世〉から、有馬頼義編『東京空襲19人の証言』(講談社)と『積乱雲とともに 梶山季之追悼文集』(季節社)が届く。前者には小沢信男「徽章と靴」が収録されている。後者は追悼文のほか、年譜、著作目録などが充実している。橋爪節也さんからは、『新菜箸本撰(しんさいばしほんえらみ)』第4号をいただく。前号に続き「ほんや乙三洞」の特集だ。わずか20ページのなかに、珍しい図版や新知見が盛り込んであって100ページの雑誌を通読したような満足が得られる。


千駄木に戻り、〈がもう〉のうどんをだし汁で食べながら、DVDでテリー・ツワイゴフ監督《アートスクール・コンフィデンシャル》(2006・米)を観る。原作はダニエル・クロウズで、《ゴースト・ワールド》と同じコンビ。美大で自分の才能の方向性を見出せずもがくハナシで、出てくる連中が全員イタいのは《ゴースト〜》と同じ。でも、前作ほどラストでカタルシスが得られなかった。