駆け込みフィルムセンターとホリキリズ・ブートキャンプ
今朝は涼しくて過ごしやすい。午前中はメールの返事や、郵便物のチェック。名古屋の協同目録「伍魅倶楽部」に鳥見迅彦の詩集が三冊出ているが、タイトルが『けものみち』『なだれみち』『かくれみち』だった。ウチの魔窟のことみたいだ。
他人の懐に敏感な塩山さんが、《情熱大陸》放映後の『世界屠畜紀行』の売れ行きをアマゾンでチェックするのは当然の行動としても、「コバンザメ効果か、25万位が定位置だった『路上派遊書日記』さえも、1000位台に」は余計なお世話。『en-taxi』のコラムで、この本を「厚さで勝負した業界初の“枕本”という以外、特に注目すべき点はない(すべてになまぬるい!)」と切り捨てた本のコトをそんなに気にかける必要はあんめえ(ちなみに今朝の『路上派〜』は1万位以下に転落。ま、そんなモンっすよ)。そういえば、『en-taxi』での塩さんの肩書きがいつもの「エロ漫画下請け編集者」じゃなくて「編集者」になっていたが、まさかエロを切って文化人の仲間入りをめざすという、AV上がりのタレントみたいなコトを考えてるんじゃないでしょうね?
ウチを12時に出れば1時に京橋のフィルムセンターでの川島雄三特集にらくらく間に合うのだが、一緒に出る旬公がモタモタしていたのと、西日暮里駅裏のそば屋でえらく待たされた(しかもマズイ)ために、東京駅に着いたのが12時50分。早足から駆け足で、1分前に会場に駆け込む。ほぼ満席で端っこに席を見つける。息を整えている間に上映開始。今日は《銀座二十四帖》(1955)。たしか長いあいだ上映がなく、カワシマクラブが自費でプリントをつくったときの上映会で観たはずだ。冒頭、ぼくの嫌いな生き物が出てきて目をそむける。川島はコイツが好きらしく、同じ年に撮った《愛のお荷物》でも出てくる。
ストーリーが甘ったるく、しかも長いので途中で寝てしまう。森繁久彌のナレーション(「ジョッキー」とあった)と歌がなければ悲惨なことになっていただろう。コメディ・リリーフが安部徹のヘンな絵描きぐらいしかいないトコロが弱い。銀座の風景がふんだんに使われているところは貴重だが。じゃじゃ馬娘の北原三枝が「ミス平凡コンテスト」に出場するシーンでは、水ノ江滝子が司会で、審査員に平凡出版の清水達夫がいたけど本物か?
銀座を舞台にした映画を観たあとに、銀座に向かって歩くのは、なかなかイイ気分。〈旭屋書店〉で書評の本を探す。金子桂三『東京 忘却の昭和30年代』(河出書房新社)という写真集を買う。浅草の興業街の写真もイイが、著者が生まれ育った羽田の写真がたくさん入っている。丸の内線で大手町で乗り換え、半蔵門線で神保町へ。打ち合わせまで時間があるので、またまた〈ヒナタ屋〉へ。気に入ったら何度も行くんだよなー。今日も客はいず(大丈夫か?)、明大通り側のカウンターに座って、コロナビールを飲む。風が気持ちイイ。
5時にG社で印刷のS社から三校を受け取る。口絵以外はほとんど揃った。チェックして関係者に発送する。ウチに帰り、メールの返事とか書いていたら、右文書院の青柳さんから電話。〈ギャラリーKINGYO〉(http://www13.plala.or.jp/sd602kingyo/)での秋山祐徳太子・美濃瓢吾「ブリキ男と招き男」の初日を見てきたそうで、「この辺に安い飲み屋はありませんか?」とのお尋ね。じゃあ西日暮里まで来てくださいと答え、片づけしてから自転車で出かける。青柳さん、堀切直人さん、晶文社のMくんに会い、駅向こうの〈はやしや〉へ。いつも一人で行っているので4人入れるか心配したが、並んで座れた。
話題は、『en-taxi』の塩山さんのコラムについてとか、浅羽通明さんの新刊のこととか、『ちくま』最新号で石堂淑朗が種村季弘さんのことを書いていること(冒頭部分がいろんな意味でスゴイ)とか。いろんなヒトを肴に楽しく話すが、堀切さんと話していると、突然コッチにもツッコミが来るので気が抜けない。今日も終わり近くにかなり厳しいことを云われ、恐れ入る。キツイぞ、「ホリキリズ・ブートキャンプ」は。君も入隊するか? 店を出ると、すぐ前が地下鉄の入り口。そこで3人と別れて帰る。