『Petit Book Recipe』は一人一冊買おう

ご無沙汰です。いろいろやってます。来月頭にはいくつか報告するコトができると思います。


yojohan『Petit Book Recipe』(毎日コミュニケーションズ、1700円+税)が届く。yojohanは生野朋子さんと酒井理恵子さんのユニットで、オンライン古書店をやったり、フリーペーパー『ふるほにすと』やヘンなカタチをした冊子を制作している。昨年秋の「ブックオカ」でも企画・デザインに関しての牽引力となっている。


「Petit Book(プチブック)」というのは造語で、ミニコミリトルマガジンと同じ意味。つまり、これは「ミニコミのつくりかた」なのである。いかにもモデルさんな女の子の写真の表紙やデザインに、ちょっと引き気味のヒトもいるかもしれない。しかし、この本は、いま、ミニコミやリトルプレスをはじめるヒトが知っておくべき知識・情報を詰め込んだ、非常に有益な本である。


本書の特徴は、最後まで手作業でやる場合と、印刷所に発注する場合の両方に対応しているコトだ。しかも、それぞれがyojohanの本づくりの経験に基づいているから、けっこうディープな裏技が入っている。おすすめのプチブックや、関係者のインタビューも収録(南陀楼ちょうちょぼっこ・福島さんとのミニコミ対談も)。


ここ数年、リトルマガジンやリトルプレスについての本が何冊か出ており、いちおうどれにも目を通しているのだが、いまいち食い足りなかった。女性がつくるセンスのいいリトルマガジンを、女性の著者がセンスいいデザインで紹介した本が多いのだが、はっきり云って読んだあとにナニも残らない。この「本について雰囲気で語る」現象は、書店やブックカフェについての本にも共通している。こないだ買った、『TOKYO図書館日和』(アスペクト)なんか、図書館の大ざっぱな説明と雰囲気写真だけで一冊つくっているんだもの。ヒドいよ。具体的な書名がほとんど出てこない図書館の本って、初めて見た。こういう本の著者たちは、「本が好き」なんじゃなくて、「本が好きな自分が好き」じゃないの?


しかし、本書はきちんと筋が通っている。自分たちがナニをつくりたいか、どうすればできるかをつねに考えているからだろう。発想(妄想)を手を動かしながらカタチにしていく過程が読み取れるから、イイのだ。


じつは(すでに退屈男くんが書いているが)、今年から和光大学で非常勤で「雑誌研究」という講義(というほどのモノではない)を持っている。前期だけなので、雑誌について一通り話をするだけで精一杯なのだが、学生には自分がつくりたい雑誌の見本を提出してもらうことになっている。本書はその参考書として最適だと思う。来年度も講義を受け持つとしたら、教科書にしたいと思うほどだ。というワケで、アクセスには今週辺り入ると思うので、一人一冊買うように(なんか先生口調で)。


Petit Book Recipe ~リトルプレスの作り方~

Petit Book Recipe ~リトルプレスの作り方~


そういえば、先日アマゾンから飯田鋭三『たばこ屋さん繁盛記 江戸から平成まで』(山愛書院)が届いていた。東京新聞の書評で見て注文したのだが、2381円もするのに届いてみたら四六判の薄い本だった。「えらく高い本だなあ」と思い、中身をめくったら、全体の三分の一ぐらいにカラー写真が使われていた。ポスターやパッケージ、販売店の写真など見ているだけで楽しい本だが、外見からはそんなにカラー図版が入っているように見えず、損していると思う。A5判にしてカラーを頭のほうに入れれば、もっと目立つと思うのだが。

たばこ屋さん繁盛記―江戸から平成まで (TASC双書)

たばこ屋さん繁盛記―江戸から平成まで (TASC双書)