家庭内上司

『世界屠畜紀行』を出してからの旬公は仕事が増え、夜遅くまで仕事している。テレビカメラは2ヶ月ぐらい張り付いているし。その一方で、仕事場と住居の分離という偉業をなしとげている。しばらく前までのぐんにゃりした姿を知っている身としては、家庭内にいきなりやり手の上司が出現したようで、どうにも煙ったい。こちらは云われたとおりに動くだけの、ダメな部下である。そんな上司が昨日からご機嫌ナナメで、話しかけても答えてくれない。腫れ物に触るように、ひとり静かにすごす部下。ツライなあ。その上司の機嫌が元に戻ったのは、you tubeで以下の映像(http://www.youtube.com/watch?v=epUk3T2Kfno)をご覧になってからである。よかったあ……。もうひとつ上司がご機嫌になるのは、道でいいモノを拾ったときだ。さっきも、いいデザインの日傘を拾ったとご満悦だった。


今日も自宅で仕事。久しぶりに早川義夫『ぼくは本屋のおやじさん』(晶文社)を読み返す。初読のときよりも、出版界のことが判っている再読のほうが、身にしみて読める。それにしても、この本が出た1982年といまでは、書店の状況は大きく変わったが、本質的な問題はなにひとつ解決されてない。いま現場で働いている書店員と、書店を閉めて歌手に戻った早川義夫が対談したら興味深いと思う(早川さんが引受けないだろうが)。


5時すぎに出て、千代田線。大手町で三田線東横線直通に乗り、武蔵小山まで。初めて降りる駅だ。大学の先輩が住んでいたハズ。もっと小ぎれいな街を想像していたが、駅前に闇市のなごりみたいな飲み屋街があるし、商店街にも小さな店があってぼく好み。もつ焼き屋や立ち飲み屋が多いのもイイなあ。しかし、駅前の再開発が進行中の様子だ。うろうろした末、あまり時間がないので、〈インドナ〉という店でコロッケカレーを食べる。


〈ライブ・カフェ アゲイン〉(http://www.cafe-again.co.jp/)でふちがみとふなとのライブ。駅からスグの線路沿いにあるビルの地下1階。壁にレコードのジャケットがディスプレイされている。狭い店なのでテーブルは相席になる。同じテーブルに沼田元氣さんたちがいらした。ふちふなは定番の名曲からめったにやらない曲まで、たっぷりと聴かせてくれた。途中、店主でありバートン・クレーンのCDを出した石川氏が、蓄音機でSPを聴かせるコーナーもあった。


終わってビルの1階にあるレコード屋〈ペット・サウンズ・レコード〉(http://www.petsounds.co.jp/)を覗く。店長は音楽雑誌に寄稿していたりするようで、マニアックな品揃え。でも、この手の店にありがちなセンスの押し付けがあまり感じられないのがイイ。なにか一枚買いたくなり、ザ・ラトルズ[四人もアイドル]を買う。紙ジャケット・ブックレット付きで3200円(税抜き)という限定盤。これと同じ内容の輸入CDをずいぶん前に買っているのだが、雰囲気に負けたというコトで。


武蔵小山から三田線直通の電車に乗る。白山まで座って帰れるのはありがたい。白山から千駄木まで歩いて帰る。携帯の留守電に〈TSUTAYA〉白山店から、DVDが返却されてないというメッセージあり。とっくに返したと思っていたのだが、引き出しの奥に埋もれていたので、青くなる。さっきの道をまた白山に向かう。9日間の延滞で1800円ナリ。思ったほど高くなくてヨカッタ。なんでこんな時間にこの道を往復しているのかと思いつつ、また千駄木に向かって歩いた。