10歳先輩と18歳後輩

朝9時起き。本を読んでいるうちに昼になる。《噂の東京マガジン》を見つつ、明太子のパスタを食べる。そのあと、旬公と都知事選の投票に行く。それから三鷹へ。〈上々堂〉で石丸さんから先月の売り上げを受け取っていたら、奥さん(もと『彷書月刊』にいたEさん)とお子さんが来る。1歳5ヶ月のカワイイ女の子だった。次に吉祥寺に行き、〈トムズボックス〉へ。nakabanさんの展覧会「ファ海岸」を見る。nakabanさんはスケッチもいいけど、色遣いもいいんだよなあ。


西荻窪に出て、「西荻ブックマーク」の会場である〈マーレ〉へ。一箱古本市のチラシを渡して、また駅前に戻り、喫茶店でHさんと資料の受け渡し。5時前になり、あわてて〈マーレ〉へ。初めて来るが、25人入ってちょうど収まるという広さ。岡崎武志さんのトークは、新著『読書の腕前』(光文社新書)を中心に。同書の原稿は、1・3倍あったものを捨てながら構成していったという。その元になったノートを見ながら、話していく。岡崎さんのトークは何度か聞いているが、これまであまり話さなかった、岡崎さんの本の書き方、ヒントのつかみかたが、具体的なエピソードとともに判り、トクした気分だった。同書でも出てきた、自殺した作家・佐藤泰志の小説を朗読したのも良く、みんなシンとして聴き入っていた。


終わって、打ち上げには参加せず、〈赤レンガ〉で北尾トロさんと〈音羽館〉の広瀬さんに「西荻ブックマーク」について取材する。『彷書月刊』で書くつもり。トロさんの仕事場にお邪魔し、新著『裁判長! これで執行猶予は甘くないすか』(文藝春秋)を頂戴する。例のベストセラーの第2弾なり。トロさんは今夜夜行列車で、四国に取材に行くという。岡崎さん50歳、トロさん49歳。二人とも、このところ絶好調だ。ぼくも10年後には、自分なりの手ごたえを感じる仕事ができているだろうか? そんなコトを考えながら、帰りの電車の中で、文庫本の字面を追っていた。


新宿駅に着いてホームに降りようとしたら、後ろから「すみません」と呼び止められる。誰か別のヒトに向かってかと思ったら、「南陀楼先生ですか?」と云われてビックリ。見ると若い男の子だった。ちょっと飲んでいるのか、少し話が見えにくかった。「高原書店のオープニングイベントでお見かけした」と云うが、あとで考えたら、立石書店のことだったようだ。早稲田大学を出て、この春、版元のK社に就職したそうで、てっきりさっきの岡崎トークのお客さんかと思ったら、ゼンゼン違っていた。名前を聞いて別れる。それにしても、彼からするとぼくはたぶん18も年上なのだが、それだけの年の差にふさわしい存在でないコトに忸怩たるものを覚える。年上の先輩に「お前もしっかりやれ」と云われ、年下の読者に「もっとちゃんと書け」と云われたようなカンジだ。


西日暮里に戻り、旬公と〈大栄〉へ。サンギョプサルとタコ炒め(ソーメン付き)、卵スープ。久しぶりにガッツリ食べた気になる。