「げんげ忌」はいつもいい天気

9時起き。乾麺のうどんをゆでて、釜玉にして食べる。ごくフツーの麺だが、〈G〉のうどん醤油を掛けると、アラ不思議。うまいじゃないか。遅れていた原稿を書く。しばらく前に取材した件だが、飲み屋で話を聞いたので、ところどころ抜けがある。先方に電話して確かめる。構成に悩み、書き上げたのは出かける直前だった。


外は気持ちいい天気。12時半に三崎坂の全生庵へ。詩人・菅原克己をしのぶ「げんげ忌」があるのだ。今回は19回目だ。この数年、新しい参加者が増えてきて、今回は95人も出席したという。次第に知り合いも増えてきた。共同墓地での読経のあと、小沢信男さんの報告から会を開始。会報「げんげ通信」」や、山川直人さんらによる菅原克己の詩のマンガ化など、菅原克己をめぐる動きが報告される。笑いあり、しんみりとしたハナシあり、脱線話あり、詩の朗読あり。ぼくなんかは、7、8年参加していながら、いまだに全詩集も読了してないのだが、この会はそういう者を受け入れるだけの幅の広さがある。だから、会が終わるといつも会ったことのない菅原克己に出会ったような気になるのだ。来年もまた来よう。


会場で、小沢さんとともに最後まで新日本文学会に関わり、昨年亡くなった田所泉さんの『楠ノ木考 田所泉作品集』(風濤社)を買う。創作、詩、評論に加え、「新日本文学会史の試み」を収録。「公平な視点で書かれた新日本文学会の歴史はこれ以外にない」と小沢さんがおっしゃっていた。その小沢さんが「田所さんのが〈正史〉とすれば、私のは〈外史〉」と云う、『通り過ぎた人々』(みすず書房)も販売されていた。


終わって、『ぐるり』の五十嵐さんを〈不思議(はてな)〉に連れて行く。例によって値段が付いてないので、田中小実昌『自動巻時計の一日』(河出書房新社)を差し出すと、また信じられないような安値を云われる。いくらなんでも安すぎなので、勝手に倍払う。それでもえらく安いのだ。〈古書ほうろう〉に寄って、一箱古本市のポスターを受け取る、五十嵐さんと別れて、〈ときわ食堂〉でチューハイ。


ウチに帰り、ちょっと眠ってから、「書評のメルマガ」を編集して発行。五條瑛『瓦礫の矜持』(中央公論新社)を読む。うさんくさい組織や集団を描かせたら、このヒトは天下一品だなあ。昨日も『エデン』(文藝春秋)を読み終わったところだ。