団子坂→早稲田→動坂→道灌山下

朝8時起き。昨日から持ち歩いていた、筒井康隆『巨船ベラス・レトラス』(文藝春秋)を読了。最近まったく読まなくなっていたツツイだが、この長篇は『文學界』で連載がはじまってから、ときどき読んでいた。通して読むと、やはりオモシロイ。『虚人たち』以降の実験精神にあふれた(あふれすぎた)時期とは違い、ストーリーの中にポンとメタ・フィクションが投げ込まれているのがいい。力を入れずに、ヘンなことをやっている。後半、作者本人が出てきて現実にあった著作権侵害事件について滔々と話す場面があるが、ココに知り合いのKさんが登場して驚いた(訴えられた側ではないですよ、念のため)。つい最近会ったばかりなので。


団子坂の〈ラ・カンパネラ〉で昼飯。この店はカリーが売り物なのだが、いままでコーヒーしか飲んだことがなかった。しかし、事情で4月から一月ほど休業することになったので、その前に食べておこうとなった。ほうれん草のカリーは辛みも入っているチキンも、ちょうどいい旨さ。営業再開したら、また食べに来よう。


そのまま坂を下りて、〈乱歩〉へ。写真家の中里和人さん、リコシェの柳ヶ瀬さん、ほうろうの神原さんと会う。4月24日(火)〜29日(日)まで、店内で開かれる中里さんの写真展「東京 TOKEI」(「京」にはヨコ線が入る)の打ち合わせ。〈乱歩〉が定期的に展覧会をやることになり、その第一弾として、中里さんにお願いしたのである。写真集も持っているし、ほうろうでのスライドショーも見ているが、お話しするのは初めて。柳ヶ瀬さんの提案で、中里さんがいらっしゃる日に、ぼくと二人でミニトークをやることになった。通常営業の店内で10人掛けのテーブルでやるので、トークというよりは、世間話の延長みたいになるのかも。4月27日(金)18:00〜。南陀楼の出番は19:00からです。ご興味のある方は、リコシェhttp://www.ricochet-books.net/)まで。終わって、中里さんと柳ヶ瀬さんを〈不思議〉にご案内。これで3回目だ。中里さんは本のほかに、アルコール度数を測る棒(?)を買っていた。


団子坂下からバスに乗って早稲田へ。今日はやたらと混んでいた。グランド坂下の〈稲毛屋〉が閉店していてビックリ。店主が昨年の衆議院選で当選した店だ。リニューアルオープンという貼り紙はあったが、「どういうカタチになるかが決まったらお知らせします」という不思議な告知だった。早大図書館へ。うっかりしていて、コインロッカーに入れる100円玉を切らしてしまい、カウンターのヒトに頼んだら、全館両替できませんという無情なお答え。離れた生協まで行け、というのだ。そんなあ。しかたないので、カギをかけずにパソコンだけ持って入庫。全集のチェックをやるが、だんだん荷物のコトが気になってくる。1時間で切り上げて、出る。〈古書現世〉に寄ると、晩鮭亭さんが来ていた。また早稲田からバスに乗って帰る。途中、護国寺の交差点の路上で、ペシャンコになった携帯電話を見かける。事故でもあったのだろうか。あんなに平べったくなるんだねえ。


動坂下で降りて、〈動坂食堂〉に入る。ぼくは本駒込図書館近くの〈ときわ食堂〉派なので、この店は年に数回ぐらい。ビールでモツ煮を食べていたら、ブックストリート青秋部の石井・中村コンビがやってきた。お互いビックリ。石井くんはこの春から非常勤講師の口が決まったそうで、まずはヨカッタ。ウチに戻ると、『CABIN』第9号が届いていた。内堀弘「古本屋大塚書店」、扉野良人能登へ」(この原稿を書いたハナシは、こないだ京都に行ったときに扉野さんから聞いた)、矢部登「雨宿り」、松本八郎「蒐め癖」と食指の動く執筆者が並ぶが、まずは鈴木地蔵「天地無用」から読む。身辺の小さなことからはじめ、小説家や評論家の生きかたに迫っていく手法は、地蔵さんならでは。今回は小島政二郎和田芳恵、塩田良平が登場。堀切直人さん云うところの「婦人科」的話題も盛り込まれている。会議の資料をプリントして出る。


〈古書ほうろう〉にて、不忍ブックストリートの会議。印刷所に入稿寸前の地図の最終チェックからはじまり、地図の配布、一箱古本市の準備、当日の配置など、話し合うことが多岐にわたり、疲れる。店主は現在100人を超える応募があったが、数人のキャンセルがあった。プラスマイナスがうまく調整できて、ジャスト100人に落ち着くのが理想だが、そうはうまく行かないかも。終わると12時すぎ。久しぶりに参加した〈文句堂〉のカフクさんが、結婚を決めたコトを表明。疲れてるけど、こりゃ飲まずにいられないと、〈小奈や〉へ。あとから、谷根千工房のヤマサキさんも着物姿でやってきて合流。3時すぎに解散。ウチに帰って、倒れるように眠る。