部屋を片付けたいならカメラマンを呼べ

9時起き。今日は読売新聞の撮影があるので、「けものみち」を通れるように片付ける。枝川公一さんの「東京ストーリー」という連載で、旬公とぼくが取材されたのだが、記者が撮影をぼくの部屋でやりたいと云ってきたのだった。この部屋に人を上げないという原則(例外は本を買い取りに来るセドローくんと牛イチロー先生ぐらい)があるので、「谷中で自転車に乗っているところなんて、どうすかぁ?」と提案してみたものの、その程度のヌルイ絵面ではお気に召さないようで、この部屋での撮影と相成った。カメラマンはどうせ、本が山積みになっているトコロを撮りたいだろうからと、人が歩けるだけのスペースをつくり、あとはそのママにする。


1時にカメラマンと記者が到着。これだけ狭ければ、向こうも遠慮して机に座ってのカット程度で終えてくれるだろうと思っていたら、甘かった。「いやー、すごい(汚い、本だらけの)部屋ですねぇ、こんなの初めて見ましたよ」と、若干はしゃぎ気味の二人に乗せられて、本の山を抱える格好やら、二人で話し合っている様子やらを撮られる。どんな写真になるかはわからないが、ヤラセっすからね、ふだんからあんなカンジだと勘違いしないように。21日(木)の紙面に載るそうです。撮影の二人がお帰りになると、ちょっとだけキレイになった部屋が残った。やはり奥の部屋まで入り込まれると、いやおうなく掃除してしまうなあ。部屋を片付けたいならカメラマンを呼べ、ということか。


3時前に旬公と出て、上野へ。〈ユニクロ〉で冬の防寒具を買っていただく。そのあと秋葉原に出て、お茶の水で別れて、西荻窪へ。女子大通りの新古書店で、ロドリゲス井之介『世界の中心でくだをまく(仮)』第1巻(小学館)を。〈音羽館〉に行くが、店内の客が多すぎて通路も通れないぐらい。この店の繁盛ぶりはスゴイ。まるで中央線中の古本好きが集まっているみたいだ。新刊で、岩井澤健治『石井輝男闘病日誌』(ヨーロッパ計画)600円を買う。〈タコシェ〉のブログで見つけて、買いに行かねばと思っていたもの。広瀬さんから文化放送のフリーペーパー『fukuMIMI』をもらう。「夜の書店は面白い」という巻頭記事で、〈音羽館〉、〈興居島屋>、〈にわとり文庫〉が紹介されている。


三鷹に出て、〈上々堂〉を覗く。駅方向に戻り、〈げんせん館〉の前に行くと、あるブログで書かれていた通り、店はカラッポになっていた。閉店ではなく、移転だというハナシも聞いたが、詳細は不明。その並びの餃子屋〈ハルピン〉に入ると、ほぼ満席。あとから入ってきた男と中国人の女性店員との間でトラブルあり。いつも品切れになる、鮭入り餃子が食べれたのでよかった。


文鳥舎〉で、雑誌『テクネ』の20号記念の会がある。前半は、堀切直人さんが聞き手になっての、状況劇場新宿梁山泊などの役者・大久保鷹氏のトーク。大久保さんの話し方は、ガーッと喋って結論を云う暇もなく次の話に移るという感じで、なんだか、映画のフィルムのコマが、数コマ飛んでいるみたいな、独特のリズムがある。学生のとき、新宿の〈紀伊國屋書店〉でバタイユニーチェ、ダリなどの本を万引きしていたこと。その数年後に、横尾忠則紀伊國屋で万引きする《新宿泥棒日記》を大島渚がつくり、そこに状況劇場の役者として出演したことなど。昼間にいろいろ動いたせいで、ちょっと寝てしまったが、終わりに大久保さんが云った「往復運動」というキーワードが、印象に残った。このあと、主宰者の浦野興治さんの小説の朗読があるが、お先に失礼する。右文書院の青柳さんから、『路上派遊書日記』の紹介が載った『出版ニュース』12月中旬号をもらう。坪内祐三さんの『本日記』と並べられている。


高円寺の〈JIROKICHI〉へ。最初のバンドの演奏が終りそうだった。うしろで立ち見してたら、荻原魚雷さんが来た。休憩時間に奥にいき、『ぐるり』の五十嵐さんと会う。そして、ネタンダーズ登場。いや〜よかった。1時間以上立ちっぱなしだったけど、まだまだ聴きたいという感じだ。次の『ぐるり』で書くつもり。〈高円寺文庫センター〉で、ひじかた憂峰(作)・松森正(画)『湯けむりスナイパー』第1巻(実業之日本社)、久米田康治さよなら絶望先生』第6巻(講談社)、『ワンダージャパン』、『ロック画報』を買う。久しぶりに〈古本酒場コクテイル〉に行き、いろいろ話す。あとから、〈文鳥舎〉イベントに参加していた前田和彦晶文社のMくんも参加。気がついたら12時前になり、あわてて帰る。新宿からの山手線の混み方に疲れた。ウチに帰り、アイザック・アシモフ象牙の塔の殺人』(創元推理文庫)を読了。二度目だが、万年助教授が対人間関係に悩まされるところに身につまされた。


では、最後に今夜も「路上派少年遊書日記――1981年・出雲」を。

1981年3月19日(木)
★一日中かぜをひいて、鼻水をだしていた。
部活を休んで、一日中寝る。
3月20日は一日中寝ていた。


今日は短くてすいません(続く)。