吉祥寺で長新太、銀座で「夜の古本」を

kawasusu2006-12-03

目覚ましをかけるのを忘れていて寝坊。重要な用事の待ち合わせ時間を旬公が忘れていて、あわてて出かける。二人して泥縄人生だ。吉祥寺に行き、その二人には荷の重い、社会人っぽい用事を。2時間かかって終了。無事に終った安心感で、どっと疲れが。


トムズボックス〉に入ったら、長新太さんの展覧会をやっていてラッキー。どの絵も、作為なく描かれているのに、見る人に無限の物語を与えてくれる。トムズボックスから新しく出た長さんの『マンガ童話』とポストカードを買う。あと、フロッピーサイズの豆本シリーズで、美濃瓢吾『浅草人間絶景論』も。一冊ずつに手描きの自画像が一枚挟み込まれている。中道通りの〈とんかつ扇〉でロースカツ。何度来ても、おしんこから豚汁まですべてがウマイなあ。揚げ物にはうるさい旬公も絶賛していた。


東西線の直通が止まっているとかで、中野まで出て折り返しの東西線に乗り換え、飯田橋有楽町線に。有楽町駅から歩いて、コリドー街ちかくの〈Kajima〉というギャラリーバーへ。資本喫茶ちょうちょぼっこと古本ユニットriccaのイベント「夜と古本」が、今日で最終日。奥のテーブル席の壁面や、持ち込みの棚に本を並べている。冊数は少ないが、セレクトもディスプレイもきわめていいセンス。値段も安い。イベントのためのリーフレットは、二組のメンバーに加えて、市川慎子海月書林)、幸田和子(アトリエ箱庭)、三五千波オヨヨ書林アルバイト)、頓花恵(トンカ書店)、甘木鮎子(新刊書店店員←ペンネームと思うが、誰だろう……)という「古本女子」が文章を寄せている。テキストだけなのに片面カラーという豪華さ。昨日の鍋パーティーは15人ぐらいの「古本女子」が集まって盛り上がったようだ。そこに『彷書月刊』の皆川さんが写真を撮るために来ていたそうだ。皆川さんのとまどいっぷりを想像するだけでオカシイ。


壁に面だししてあった、朝倉勇『詩集 神田川を地下鉄丸の内線が渡るとき』(歴程社)700円をタイトルに惹かれて、神保町にあった飲み屋の雑誌『風童通信』第58号、300円を、〈ひぐらし〉の有馬浩一さんの文章が読みたくて、それぞれ購入。ハートランドビールを飲み、ちょうちょの福島さん、riccaの井上さん、正成さんと話す。井上さんは今年春の一箱古本市、正成さんは秋も一箱に参加している。店を出たら、あとを追ってきたヒトに声をかけられる。ナンと〈コクテイル〉の狩野さんだ。ゼンゼン気づかなかった。ナンだよ、いるときに声かけてくださいよ。


日ごろ行かないトコロを回ったので、妙に体が疲れ、ウチに帰ってから二人で夕寝。晩飯はボンゴレビアンコをつくって食べる。


では最後に、今夜も「路上派少年遊書日記――1981年・出雲」です。今日はやたらと長いです。

1981年2月26日(木)
★今日はまたまた雪が降って、外の寒いことこの上ない。


★今日はヒマなので、僕の好きな作家を列挙してみたいと思う。
まずSF界から。
一位=星新一。何といってもやはり星新一。僕をSFに走らせた人だし、星作品はほとんど読んでいる。現在所有している星新一の本、『星新一の作品集』全18巻(一巻に2冊分入っている)、その他単行本3冊、文庫本19冊、合わせて40冊(2月25日現在)。


二位=かんべむさし。『決戦・日本シリーズ』。この本の題名を見て、おもしろく感じたたため、かんべむさしファンとなる。ドタバタが大好き。
この人の本も大体はもっている。所有しているかんべむさしの本、単行本7冊、文庫本6冊、計13冊。この人の本を読んで、かなりのショックを受けた。星新一をやめれば、僕の一番好きな作家で、単行本も星新一の次に多い。


三位=横田順彌。『宇宙ゴミ大戦争』にはびっくりした。あのハチャメチャはふつうの人にはとてもできない。この人の本もほとんどといっていいほどもっている。*1単行本5冊(内アンソロジー1冊)、文庫本4冊。


四位=新井素子。もってる本は一冊だけど、この人の作品は大好き。写真を見ても美人だし、*2大学生でよく書くなあ。


その他、順不同で。
筒井康隆。エッセイが特におもしろい。単行本2冊、文庫本13冊(内、3冊はアンソロジー)、計15冊。
豊田有恒。ショート・ショートやユーモア短編が好き。長篇は読んだことなし。単行本3冊、文庫本8冊(内、アンソロジー1冊)、計11冊。
石川英輔。「ポンコツ・シリーズ」がおもしろい。単行本2冊、文庫本1冊、計3冊。
眉村卓。まだショート・ショートとエッセイしか読んだことなし。(買って読んだことがない)文庫本5冊。
小松左京。この人は本当に少ししか読んでいない。いろいろ読みたいのだが。文庫本7冊。
半村良矢野徹平井和正。堀晃。いずれも文庫本1冊ずつ。
とにかく買う金なし。半村良(嘘部シリーズ、妖星伝など)、平井和正ウルフガイシリーズ、幻魔大戦など)は特に全部ほしい。


あと。
栗本薫。この人は推理、SF、その他の小説なんでも書くというすばらしい人だ。僕の買った『僕らの時代』はおもしろかったし、現在SFA【アドベンチャー】で連載中の『メディア9』もよい。
荒巻義雄(ビッグウォーズなど)、光瀬龍(喪われた都市の記録など)などの作品も、このごろ良くなってきた。
山田正紀田中光二など、いろいろな作家のを読みたいものだ。


次に外国SF。
フレドリック・ブラウン。この人のが大好きになった。今のところ二冊だが、どんどん読みたい。
外国SFはまだ読みはじめたばかり、読みたい本をあげればきりがない。
シェクリィブラッドベリハインライン、クラーク、ベスター、アンダースン、レム。
これらの作家を、早川SF文庫や創元推理文庫、サンリオSF文庫などを基点にして読んでいきたい。現在はこれだけ。
今日はSFを書いたが、またいつか他のも。


一日の日記でよくもこれだけ書けるものだ、と呆れるとともに、自分の好きな本について振り返ったり、まとめたりするのが、すでにこの時からの習慣だったのだな、と思う。『星新一の作品集』は小学5年生ごろに、親に頼んで買ってもらっている。個人全集を所蔵している小学生って……。SFというジャンルにどっぷり浸かったコトは、いろんな面でよかったと思うが、その一方で、もっとほかのジャンルにも手を伸ばしておけば、のちのち役に立ったのに、と思わないでもない。

*1:ただし、『日本SFこてん古典』などはまだ読んでいなかった

*2:当時のSF少年は、奇想天外社版『あたしの中の…』口絵のソフトフォーカスの写真に幻惑されがちだった。