福岡でも伝説を生む女

kawasusu2006-11-06


8時過ぎに起きる。荷物をまとめて、1階で朝食バイキング。二日同じものだと、さすがに少し飽きる。西鉄天神駅の北口で畠中・Tコンビと待ち合わせていたのだが、改札に着いたあたりに携帯に電話。「CKBのチケットがなくなったの〜」と畠中さん。いま捜索しているので、待ち合わせには間に合わないと云う。昨日もトークや打ち上げにことごとく遅刻していた畠中さんに付き合うのには、コレぐらいで動じてはいけない。あとで石風社で待ち合わせるコトに。


地下鉄・天神駅まで歩き、コインロッカーに荷物を入れ、また戻って、西鉄で平尾という駅へ。駅を出てスグのところにある〈リブロ〉西鉄平尾店へ。リブロにしてはたぶん最小規模の小さな店だったが、よく手入れがされているなと思った。「ブックオカ」を特集した『kyusyu eyes』を買う。店長のクリタさんは不在で残念。まあ、昨日、畠中さんに「アクセスの黒沢さんに似てる女の子がいるよ」と云ったら、「会いたい〜」と叫んでいたのに、本人がすっぽかしているのだから、しかたない。


西鉄で隣の薬院へ。ココから歩いて数分のところに石風社があるはず。駅前の書店を覗いていたら、また畠中さんから電話。「石風社の藤村さんが用事で遅くなるって〜」。12時に行くコトにして、路線図を眺めて、地下鉄で六本松に向かう。古本屋が数軒ある地域だ。〈三和書房〉(奥さんとは昨日「ふるほにすとの古書市」でお会いした)で4冊、〈葦書房〉で2冊を100円で、その近くの新古書店で、椎名誠『銀座のカラス』上・下(新潮文庫)を1冊80円で。反対側にある〈ブックオフ〉〈天導書房〉も覗く。


さて、薬院にはバスで行こうか、地下鉄で戻るかと思案していると、またまた畠中さんから電話。「藤村さんがカレー屋に連れて行ってくれるっていうんだけど、会社からけっこう歩くみたいだから、店で会いませんかって」。カレー屋とは、一箱古本市の打ち上げ会場だった〈ヌワラエリア〉のことらしい。畠中さんは昨日の〈ふぁーむ〉での打ち上げで、店主の前田さんと会い、興味を示していた。


じゃあ、ソコでということになり、警固への行きかたを訊くために藤村さんに電話すると、「カレー屋ってどこですか?」と訊かれる。おいおい、ハナシが付いてたんじゃないの? よく聞いてみると、藤村さんは畠中さんがカレーが食べたいというので、会社の近くの店に案内するつもりでおり、〈ヌワラエリア〉でというのは、完全に畠中さんの思い込みなのであった。福岡に来てもオレ流で行動とは、さすが「黒いでっぱり」(畠中さんの異名。命名は本人)である。ぼくは食事はパスすることにして、さっき歩いていて目をつけた中華料理屋へ。〈吉祥飯店〉という店で中国人の夫婦(?)がやっている。チャンポン定食と、羊肉串と鳥皮串を頼む。串は1本39円という安さ。スパイスが利いてウマかった。ビールも飲んでしまった。


バスで国体道路(けやき通りもここに含まれる)を通り、警固交差点で降りる。〈田口商店〉という中古レコード屋(品揃えがかなりイイ)を覗き、〈ヌワラエリア〉へ。畠中さん、Tさんが先に来ている。CKBのチケットはけっきょく見つからず、当日券を手配する模様。その畠中さんに付き合っているTさんは、何かを悟ったように静かに笑っている。


畠中さんは昨夜、「ホテルの壁の向こうで音が聞こえる」と騒いでいたが、朝起きてみると、窓の下が墓場だった、など、わずか2日でエピソードを着々と増やしつつある。昨日は打ち上げに若い連中がたくさんいることに感激して、「若いヒトはいいわねえ」などとまるで母親のような感慨をもらしていたし、ホテルに帰るときには普通に反対方向に歩いていくし……。素晴らしすぎます。畠中さんに「書評のメルマガ」で、「黒いでっぱり報告書 私、失敗しちゃうんです」(仮題)を書くように命じる。


藤村さんと、〈丸善〉のTさんが来て、食事しながら藤村さんの取材。なるほど、と思うハナシがいろいろ出た。〈アポロ計画〉に寄り、買った本を送る箱に入れる。チェコマッチラベルの撤収もお願いした。ブックオカおよびふるほにすとのデザイナーである酒井さんはオカッパで、ちょっとプードルっぽい。旬公に擬獣化してほしいキャラクターだった。


畠中さんたちと別れ、藤村さんに「キャナルシティ」まで送ってもらう。そこの地下の〈福家書店〉で高倉さんに挨拶。『路上派』を平積みしてくれていた。そこから福岡駅まで歩く。途中、〈ブックオフ〉に寄る。JRで香椎へ。昨日「ふるほにすとの古書市」で〈あい古書店〉さんと会ったので、行ってみたのだが、名刺に載っている地図は曲がる目印が書かれていなく、かなり先の大通りまで出てぐるっと戻ってくるハメに。店にたどり着くと、いかにも地方の小さな古本屋さんの造りながら、文学書がほとんどを占めている。ふた回りしたが、ちょっと手が出なかった。店番のお母さんと、奥でネットをやっていたIさんに挨拶して駅のほうに戻る。〈ブックオフ〉があったので寄ってみたが、ココでも買えず。


博多に戻り、地下鉄で天神へ。コインロッカーから荷物を出し、〈丸善〉へ。福岡ビルという、天井の高さとか壁のカンジとかがいかにも古くからあるビルで、ぼくなんかは落ち着く。丸善も「本の本」が充実していたり、岩波やみすずのコーナーがあったりで、とてもいい本屋だった。バスに乗って、警固交差点へ。昨日、今日で、この辺の地理がだいたいアタマに入った。やはり、ヒトに連れられてではなく、自分で歩いてみると街がよく判る。


ブックオカの会場だった、〈手の間〉に行こうと思ったら、今日は休み。しかたなく(?)、一昨日も行った〈けやき食堂〉へ。おばさん一人でテレビを観ている。青柳さんオススメの卵焼きを食べ、焼酎のお湯割を2杯飲む。〈ブックスキューブリック〉に行き、近くのケーキ屋で大井さんに取材。終わりごろに大雨が降り出す。「これが一昨日だったら……」と大井さん。雨の中でタクシーを拾い、空港へ。


レストラン街の外れに、うどん屋があり、入ってみる。野菜の天ぷら3種類入りのうどんとおにぎりを食べる。惰性でビールも頼んだが、さすがに飲みきれず、残してしまった。飛行機のなかでもコーヒーを飲む気がせず、スープをもらう。10時20分に羽田着。ウチに帰ったら11時過ぎだった。今回は50人以上と話し、30人近くと名刺交換した(最後には手持ちの名刺がなくなった)。ちょっと疲れたけど、充実した3日間でありました。呼んでくださった「ブックオカ」スタッフの方々、福岡の皆さん、ありがとうございました。また来年、行きますよ!


*右は二次会の会場前で、「全国食いしん坊友の会」への入会を決意する畠中さん。中央は「アポロ計画」の顔ハメで記念撮影。左は屋台でまどろむ三人娘。