雨の日、図書館で

朝8時半起き。雨が降ったりやんだり。久しぶりに江口寿史のサイト(http://www.kotobuki-studio.com/)を見たら、2月で止まっていた日記が、何事もなかったように8月に再開していた。さすが先ちゃんは、さぼりっぷりに年季が入っている。堀切直人さんから電話。昨日、青柳さんから手渡してもらった『路上派遊書日記』を一晩で読んでしまったとのことで、感想を伝えてくれる。巻末の対談に関して「カツカレーはねえ、ワタシも好きなんですよ。よく揚がったカツのときは特にねえ」と。……そうっすか。食べ物ネタはもっと多くてもヨカッタとのこと。ほかに、構成面で厳しい意見もいただいた。堀切さんには栞文も書いてもらったので、2度読み込んでもらったワケだ。ありがたい。


雨の切れ目が見つからず、歩いて本郷図書館へ。台東区中央図書館まで借りに行かねばと思っていた『外村繁全集』が開架されており、嬉しい。ついでに、梅崎春生の全集をパラパラ読む。開架で主要な個人全集が揃っている図書館では、いろんな作家の文章を拾い読みしている。ウチに帰り、テレ東の映画(《テロリスト・ゲーム2》とかいうの)を観ながらゲラを読んだり、手紙を書いたり。雨がやんだので、5時すぎに自転車で出かけて、今度は荒川図書館へ。すっかり時間をくって、あわててウチに帰る。


旬公と家を出ると、途中で小沢信男さんと三重子さんに出会う。一緒に田端の〈がらんす〉へ。サラダ、オードブル、ハンバーグシチュー。相変わらずどれも旨くて、それにしては安い。小沢さんから谷中や上野のハナシをいろいろ聞く。目下、『サンパン』の聞き書きのまとめに手こずっているが、そろそろ完成させないと。


早めに布団に入るも、なんとなく眠れず。何冊か本を読む。樹下太郎「散歩する霊柩車」を収録した、長谷部史親縄田一男編『日本ミステリーの一世紀』中巻(廣済堂)で、都筑道夫「小梅富士」を読んでいたら、富士講について以下のように触れていた。

この模擬登山の信仰は、昭和ひとけたのころまでつづいて、作者(わたくし)も幼時、白の行衣に提灯をさげた母親に手をひかれて、「さんげさんげ六根しょうじょう」と、となえながら、早稲田の水稲荷のお富士さまにのぼった記憶がある。小さな家ほどの築山に、つづら折の道がついていて、それを一列につながってのぼっていく人びとの提灯が、離れて見ると、仕掛花火の富士山みたいだった。


先日、「早稲田古本村通信」で、水稲荷の高田富士について書いたところなので、興味深い。都筑が登ったのは、現在のものではなく、移転前の水稲荷にあった高田富士である。都筑の自伝『推理作家の出来るまで』上・下(フリースタイル)に、この件が書いてないかとめくってみたが見つからず。その代わり、早稲田についての記述が多くあったので、こんどきちんと読み返してみよう。