路上のトム・ウェイツ

昨夜眠れなかったので、今朝は寝坊。9時半に起きる。同人誌『黄色い潜水艦』のエッセイを書く。昔付き合っていたヒト(男です)を思い出して書いた。一段落したので、郵便局に振込みに行く途中、バス停のベンチに座り込んでいる中年の男がいた。ぶつぶつと云っているが、まるでトム・ウェイツみたいなダミ声で、耳に残る。郵便局から帰ってきたら、まだいた。なんだか、風貌もヒッピーっぽくて、ますます路上のトム・ウェイツだ。


西村義孝氏より『ユリイカ』10月号をいただく。特集は「吉田健一 「常識」のダンディズム」。編集部から「吉田健一と古書について書け」と云われたのだが、ぼくでは手に負えない、最適のヒトがいますから、と西村さんを紹介したのだった。期待通り、「古書から見る吉田健一受容の変遷」という古書価データ入りの文章を寄稿している。〈上々堂〉から、先日取り置いてもらった、『感恩集 木山捷平追悼録』(永田書房)と諏訪優『田端日記』(思潮社)が届く。前者は限定300部とあってやや高めだが、ほかよりは安いし、ご子息のインタビューをするのだからと思い、エイヤっと買った。述べ94人の追悼文(一人で複数本あり)と木山宛の書簡、遺族の挨拶などがぎっしり詰まっている。


昼飯は焼きそば。テレ東で映画《ジャスティス》(2001・米)を。ブルース・ウィリスほかが出演の、アメリカ兵の捕虜収容所を舞台としたもの。まあまあ、か。「神戸の古本力」アンケート回答を書いて送る。そのあと、大西信行浪花節繁昌記』(小学館)を読了。著者は正岡容の弟子。『彷書月刊』の正岡容特集も引っ張り出してくる。


谷中コミュニティーセンターの図書室に寄り、〈往来堂書店〉で『ユリイカ』臨時増刊号(特集・稲垣足穂)と『小説トリッパー』を買う。〈NOMAD〉に入り、足穂特集の扉野良人「蝙蝠飛ぶ柳の下にタルホとハルオは出逢ったのか」を読む。以前、「書評のメルマガ」でも登場した神楽坂・横寺町の〈飯塚酒場〉で出会ったかもしれない、足穂と梅崎春生のこと。扉野さんの肩書きが「『knothole』編集人」となっているが、こんな雑誌(なのか?)、初耳だ。すごく気になる。『彷書月刊』での「CABIN党」といい、扉野さんの肩書きは増殖中である。


〈うさぎ書林〉の芳賀さんと、オヨちゃんがやってくる。今度の「古本屋になるための1日講座」で、それぞれが何を話すかの相談。不忍通りの釜飯屋に入り、いろいろ話す。10年後、20年後までを見据えたうさぎさんと、どっこも見据えてない(けど、なんとかなってる)オヨちゃんとの対比がうまく出れば、成功だろう。