渋谷でジャケ買い、『ギャングの世界』

8時半起き。いきなり寒くなった。昨夜、11月3、4、5日に行なわれる福岡の本イベント「ブックオカ」のサイト(http://www.bookuoka.com/)がオープンした。「福岡を本の街に」がスローガン。11月4日(土)の「第1回けやき通り一箱古本市」をはじめとし、講演、展覧会、書店でのフェア、ワークショップなど盛りだくさんの内容。よくまあココまでいろいろ同時進行で進められるなあと感心する。これも、「新刊書店・出版社・古本屋など本を媒体とした様々な業種が幅広く集まり主催した」からこそ、可能になったのだろう。第一回にして、他県から足を運ぶ価値のあるイベントになりそうだ。なお、南陀楼は11月5日(日)13時〜15時に、「街に出て本と遊ぼう」というトークを行ないます。場所は〈キッチンファーム〉というお店で、1500円(要予約)です。詳細はまたいずれ。


一方、早稲田からは「早稲田青空古本祭」の目録と、別冊の地図帖が到着。後者には、堀江敏幸のエッセイと浅生ハルミンさんによるイラスト地図が(相変わらず線と文字がいい)。前のイラスト地図は内澤旬子制作で、モクローくんも登場していた。あれが消えてしまうと早稲田との縁が薄くなるようでちょっと寂しい。


昼過ぎまで、『進学レーダー』の原稿書きと編集仕事の連絡に追われる。同時にいろんなコトをやってるので、いま何をやっているのか一つ一つ確認しておかないと混乱してしまう。3時半に出て、神保町へ。〈書肆アクセス〉で右文書院の青柳さんとnakabanさんと待ち合わせ。〈ぶらじる〉で『路上派遊書日記』のカバーの色校を見せてもらう。おお、いいカンジだ。それと、この本の販促チラシも受け取る。目次や栞、対談の人名まで入っていて、わかりやすい。配布してくださる店にはお送りしますので、南陀楼までメールください。nakabanさん、来週からスイスに旅行とのこと。その前に、こっそりひとつお願いをしてしまった。レジのところにPR誌『アスペクト』創刊号があったので、もらう。電車の中でパラパラ見るが、なかなかイイ。末永昭二さんの「『垣の外』の文学」という連載に期待。


渋谷に出て、〈渋谷古書センター〉に寄る。2階の〈フライング・ブックス〉で、中野五郎『ギャングの世界』(日本弘報社、1950)を見つける。どこかで見た表紙だと思ったら、『ふるほにすと』第4号で、「思わず手にしたジャケ買い本」として紹介されているものだった。表紙・裏表紙にうまいんだかヘタなんだか判らない妙な絵が入っている。インパクト大。1200円なら「ジャケ買い」してもいいかと購入する。


そのあと、〈シネマヴェーラ渋谷〉へ。今日も「妄執、異形の人々」特集。なんか、かつでの〈大井武蔵野館〉の「全日本とんでもない映画まつり」的なこの特集が、気に入っている。あと二本立て・入れ替えなしというシステムの、観客にとっての自由度の高さを実感している。まず、曲谷守平監督《九十九本目の生娘》(1959)。岩手を「日本のチベット」と決め付けた上で展開する、山岳伝奇映画。山の民(じつは刀鍛冶の末裔)が、徹底的に劣ったもの・遅れたものとして描かれる。半裸で縛られて殺されてしまう二人の女の子の片割れは三原葉子。主演は菅原文太だが、ほぼでくのぼうだった。いちばんインパクトのあったのは、冒頭から暴れまくる老婆(五月藤江)であった。もう一本の、中島貞夫監督《くノ一忍法》(1964)は見るところナシの凡作で、途中から熟睡してしまった。山田風太郎の小説の映画化って、どうしていつも失敗するんだろう?


表参道で千代田線に乗り換えて、千駄木へ。〈古書ほうろう〉に『路上派遊書日記』のチラシを置く。早速さっきの『ギャングの世界』を見せる。宮地健太郎さんからは、今週末に行われる根津神社のご遷座300年祭の神輿の衣装を見せられる。ちゃんと袋に入ったセットになっていて、「あらかじめ(着付けを)練習して下さい」とあったのが可笑しかった。日曜の午後は、健太郎さんの雄姿を見に行くか。取りおいてもらった、浅見淵『史伝 早稲田大学』(新潮社)1800円を受け取り、〈サミット〉で買い物して帰宅。遅い晩飯は、豚肉のしょうが焼き。そのあと、取材依頼のメールやリストをつくっていたら3時半になってしまった。