雨の夕方、浅草の図書館で

朝9時起き。雨が降っている。「秋も一箱古本市」の大家さんが4カ所に増えたと、ブログで報告あり(http://d.hatena.ne.jp/seishubu/)。新しく加わったのは、谷中ぎんざの〈まるふじ〉という呉服屋さんだという。コレで無理なく50箱を配分することができるようになった。それにしても、Nさん&Iさんコンビの行動力には感心する。春の一箱古本市のメンバーが分担してやっていたことを、たった二人でやってるんだから。店主の募集も継続中。すでに半分ぐらいは埋まった模様です。お早目の申し込みを!


進学レーダー』の図書館原稿を書いたあと、雨の中、歩いて千駄木まで。駅前のコピー屋で昨日、八木福次郎さんからお借りした、雑誌愛好会編『全国主要都市古本店分布図集成 昭和十四年版』をコピーする。これは、東京、横浜、仙台、新潟、金沢、静岡、浜松、名古屋、京都、大阪、神戸、岡山、高知、広島、福岡、長崎、熊本、鹿児島、札幌、函館、小樽、台北京城、大連、奉天の古本屋の地図と解説を載せた、B4判ヨコ・50ページのガリ版刷り冊子。発行者は京都在住の辻井甲三郎スムース文庫八木福次郎聞き書きのときに、一度お借りしたが、なにせ古い資料で褪色もあって怖いので、ほとんど触らずに返していた。今回、林哲夫さんが進めている神戸の古本屋の本に、この冊子の神戸の古本地図を転載してはどうかと思い、改めて拝借した次第。慎重にコピーしたので、1時間近くかかった。とても興味深い資料なので、今後、折に触れて紹介したいと思う。


不忍通りを歩いていたら、千駄木駅の〈チムニ―〉の隣にあったラーメン屋(たしか〈冨士子軒〉とか云ったか)が閉店しているのに気づく。あと、数ヶ月前に開店した、うちの近所の立ち食いそば屋〈ワン・ツー〉もどうもツブレたようだ。商売は厳しいねえ。よみせ通りの〈尾張屋〉で700円のカツ丼を食べる。ココは見事なぐらい、変わらない。資料をまとめたりしながら、テレ東の昼の映画を観る。今日は《ゲッタウェイ》(1994・米)。1972年のスティーヴ・マックィーン主演の《ゲッタウェイ》のリメイク。細部までほとんど同じで、これならわざわざ新しい映画をつくらなくてもオリジナルを観るほうがイイ。


4時、バスに乗って台東区中央図書館へ。途中、竜泉のバス停近くにあった〈不二食堂〉が、更地になっていた。ぼくは2005年1月に入っているが、そのとき、すでに通常営業ではない感じだった。もうちょっと前に知っていたら、『路上派遊書日記』の該当部分に注を付けたのだけど。図書館で、遅まきながら『サンデー毎日』9月3日号の中野翠「満月雑記帳」を読む。狐こと山村修さんの追悼文だ。一緒に、8月13日号の「話題の匿名書評家『狐』がついにそのベールを脱いだ」という記事も読む。筆者は岡崎武志さん。昨日、八木福次郎さんから正岡容のハナシを聞いたので、閲覧席で『正岡容集覧』(仮面社、1976)を読む。A5判・3段組で670ページもあるので、とてもウチに持って帰れない。拾い読みしいろいろメモを取った。巻末の座談会「師正岡容を語る」(小沢昭一大西信行桂米朝)には、どうしようもない性格だけど憎めない正岡容のエピソードが多数出てくる。終わりに、小沢が正岡のことを「うしろ姿がとっても寂しい人だった」として、便所に入って一人で笑っているのが好きだったと云っている(ウチに帰ってちくま学芸文庫版『東京恋慕帖』を見てみたら、この座談会が再録されていた)。この本、また読みに来よう(誤植がヒドイのが欠点だけどね。「川徳夢声」とか)。


かっぱ橋商店街から浅草へ歩く。〈ROX〉の〈リブロ〉で書評の本を物色。田沢竜次『東京名画座グラフィティ』(平凡社新書)、川本三郎『日本映画を歩く』(中公文庫)、大槻ケンヂリンダリンダラバーソウル』(新潮文庫)、都築響一『バブルの肖像』(アスペクト)、加藤廣信長の棺』(日本経済新聞社)、小村雪岱日本橋檜物町』(平凡社ライブラリー)ほかを買う。『東京名画座グラフィティ』は1960〜70年代の名画座と、名画座のある街を紹介していて、「こんな本、読みたかった」と思えるもの。著者が「B級グルメライター」の田沢竜次というのもイイ。バスに乗って、ウチに帰る。旬公が出かけているので、一人でついテレビを観てしまう。晩飯はタラコのパスタ。


本郷の〈ヴァリエテ本六〉(文京区本郷6−25−14、03-3811-7466、日月休)よりハガキ。9月13日(水)〜30日(金)、「世にも美しい小画片 西洋のエクスリブリス」という展覧会が開催される。「書物の周辺1」とあるので、今後、本関係の企画展が続くのだろうか。楽しみ。