〈さぼうる〉の上と下で

昨日は暑さのため、日記はお休み。一日中、暑くて暑くてダレていた。今朝は8時半起き。少しは涼しくなったが、まだ日差しが厳しい。不忍通りのコピー屋で書類をコピーしたり、手紙を書いたりしていると、出かける時間。神戸〈海文堂書店〉の海野弘サイン会のときにお会いした南敬二さんが『別冊幻影城No.12 樹下太郎集』(1977年)に掲載された、「散歩する霊柩車」のコピーが送ってくださったので、電車のなかで読む。12ページほどの短篇で、とてもよく出来たハナシである。映画はこの短篇の骨組だけを使って、あとは、大胆に脚色している(というか、オリジナルのストーリーにしている)コトがよく判った。


神保町の〈ギャラリー福果〉で「“机上乃果” nakaban デッサン展」を見る。タイトル通り、机の上にある小物を鉛筆でデッサンしたものが十数点展示されている。ポルトガル(だったっけ?)で買った領収書入れの絵がよかった。nakabanさんの鉛筆画を見て、ちょっと唐突に、赤瀬川原平が鉛筆で描くイラストを思い浮かべた。赤瀬川というより、尾辻克彦の小説に描かれている、一筆書きみたいな挿絵がすごく好きなのだが、nakabanさんの鉛筆デッサンにもあれに通じる、たくまざる美しさがあるように思った。机の上に、この展覧会のためにnakabanさんが書いた文章が置かれていたが、プロのイラストレーターがなぜ展覧会をやるのか、というコトが腑に落ちる文章だった。


ギャラリー福果は〈さぼうる〉の上にあって、もと〈弓立社〉のあったところ。看板をずっと見ていたが、二階に上がったのは今回が初めて。なんだかイイ雰囲気のギャラリーだった。会場には、nakabanさん、中林麻衣子さん、右文書院の青柳さん、ぼくと、『路上派遊書日記』の制作チームが集まった。本文の試し刷り(スミではなく特色印刷なので)が出てきたので、それを見る。OK。あとはカバーの色校だ。一段落したので、みんなで顔を見合わせて、なんとなく笑う。


〈ふらいぱん〉でまぐろ中落ち定食を食べる。昨日のNHKスペシャルで、マグロの品薄問題をやっていたので、つい。日本古書通信社に行き、八木福次郎さんに資料をお借りする。樽見さんのところに青木正美さんがいらしている。年内に古書通信社から、鶉屋書店についての本を出すというコトで、カバーの案を見せていただく。なんだか、すごく厚い本になりそう。そのあと、八木さんと〈さぼうる〉へ。さっきこの二階にいたんだけど。福次郎さん、91歳にしてますます快調。とにかく固有名詞がスラスラ出てくるのがスゴイ。柴田宵曲正岡容などの思い出話。正岡容の葬式を、福次郎さんと青蛙房岡本経一氏と仕切ったハナシがオモシロかった。


書肆アクセス〉で、『「室内」の52年 山本夏彦が残したもの』(INAX出版)と『本の雑誌』を。前者は、〈INAXギャラリー大阪〉で開催中の展覧会の図録。東京に来るのは来年4月らしい。毎日新聞社に行き、秋の神保町ムックの打ち合わせ。いくつか提案し、取材を進めるコトになった。東西線で大手町まで行き、千代田線に乗り換えて綾瀬へ。久しぶりに〈味路〉へ。ココのもつ焼きはいつもながらウマイ。チューハイ飲んで、少し涼しくなった風に吹かれて、駅のほうに戻る。駅前の〈東急ストア〉で買い物して帰る。刺身用のイカが100円だったので、晩飯はイカ刺身とシラス丼なり。


あ、そうだ。ぼく、昨日から異名がひとつ増えました。新しい名前は「獣ススム」です。「じゅうすすむ」と呼んでください。どうぞヨロシク。旬公が提唱する「日本人擬獣化プロジェクト」(http://d.hatena.ne.jp/halohalo7676/20060910)のイメージキャラクターです。このプロジェクトは「人間の擬獣化を推進する」目的のもので、これまでに、セドローくん、畠中さん、エンテツさん、マユたん、ウッスー、ホリキリさん、魚雷さんほかの方々が「擬獣」として登録されています。不肖・獣ススムは、これらの擬獣を統括する「擬獣長」を務めます。って、擬獣化された本人が喜んでちゃ、「動物その他なんでも擬人化してかわいそうになってしまう日本人気質に一石を投じる」目的が台無しなので、マズイのだが。