やたらと眠い日

8時に起きて出かけるつもりが、起きられず。気がついたら10時すぎていた。しょうがないので、アキラメてちょっと仕事。12時過ぎに出て、有楽町へ。〈三州屋〉で銀ムツ煮定食を食べて、フィルムセンターへ。今日は藤田敏八監督《新宿アウトロー ぶっ飛ばせ》(1970)。始まるなり20分ぐらい眠ってしまう。そのせいもあるのだが、どうもノレない映画だった。原田芳雄がいかにも1970年のチンピラなのに対して、渡哲也の凄み方がどうも古臭く見える。セーターが似合ってないし。あと、敵が成田三樹夫ひとりというのも、ちょっと弱いのでは。ホントは次にやる、同じ監督の《野良猫ロック 暴走集団’71》(1971)のほうが目当てだったのだが、どうにも眠くて出てしまう。〈八重洲ブックセンター〉を覗いてからウチに帰る。


4時ごろに帰るが、またもや爆睡。7時に起きて、〈古書ほうろう〉へ。1960年代の演劇関係の雑誌が入っていた。『六月劇場』の創刊号(1967年6月)と第2号(同年12月)は、はじめて見た。津野海太郎、山元清多、岸田森草野大悟、悠木千帆(のちの樹木希林)、平野甲賀らが集まった劇団六月劇場の公演パンフレットを兼ねた雑誌だ。コレが一冊1000円は安い。せっかくなので、目次を写しておくか。

六月劇場 1 
『魂にキックオフ』長田弘作、津野海太郎演出
 編集発行人 山元清多


われら新鮮な旅人 長田弘
青春の意味 鮎川信夫
廃墟を映し出すもの 海老坂武
心やさしい非人間たち 野村修
〈現代の舞台表現1〉舞台装置家の姿勢 平野甲賀
次回公演へキックアウト 長谷川四郎
芝居っ気がないんです、要するに (語る人)芥川比呂志
批評・技芸・集団 六月劇場のための広告1 津野海太郎
ぼくらは腰のひけた時代の臆病な世代か アーノルド・ウエスカ
編集後記

六月劇場 2 
『審判 銀行員Kの罪』フランツ・カフカ原作、長谷川四郎脚色、津野海太郎演出
 編集発行人 佐伯隆幸


スタッフ・キャスト
手品師の歌 長谷川四郎
カフカの笑い 川村二郎
長谷川四郎のこと 安部公房
譬話のこと 笠啓一
築地小劇場の頃などを思い出しながら (語る人)植草甚一
十一月十二日夜 今野勉
断想 アルチュール・アダモフ
六月劇場のレパートリー
古い皮袋に新しい酒を注げるか 山元清多
編集後記


創刊号には、『魂へキックオフ』のチラシが挟み込まれているが、コレがかっこいい。平野さんのデザインだろう。本文でオモシロかったのは、芥川比呂志植草甚一のインタビューの構成が、聞き手の問いのスタイルも含めて、ぼくたちが『本とコンピュータ』で叩き込まれたのとそっくり一緒だったこと。そうか、このときにすでにカタチができていたのか。植草甚一晶文社からの最初の本である『ジャズの前衛と黒人たち』が出るのが、この1967年5月である。津野さんはいま『本の雑誌』で「サブカルチャー創世記」を連載中だが、本にまとまってから読もうと思って精読していなかった。しかし、この雑誌を見てバックナンバーを探して読みたくなった。なお、ほうろうには、津野さんたちが「黒色テント」時代に出した『同時代演劇』や、「天井桟敷」の『地下演劇』などが一緒に並んでいた。


ウチに帰り、仕事したり本を読んだりしているうちに、旬公が名古屋から帰ってくる。明後日からこんどはぼくが名古屋に行くことになっている。スレ違いだ。