祝・なってるハウス5周年

朝5時、旬公がごそごそする音で目が覚める。今日から京大霊長類研究所で行なわれる公開講座に出席するため、名古屋に出かけるのだ。見送ったあと、寝付けずに本を読んだりするうち、また眠くなって10時まで寝る。起きて、「まぼろしチャンネル」の原稿を書く。インスタントの焼きそばで昼飯を食べつつ、ビデオでブライアン・デ・パルマ監督、アル・パチーノ主演の《カリートの道》(1993・米)を観る。途中までのつもりだったが、おもしろいので、雑用しながら最後まで観てしまう。ラストの駅構内での撃ち合いは白眉。コカイン中毒の腐れ弁護士をやってたのがショーン・ペンだったと、最後に判った。


5時ごろに自転車で出かける。日暮里図書館で本を返す。その辺りを適当に走っていたら、知らない道に出る。だいたいの方向が判っているときには、知らない道を走って、それが知っている道につながっているのが判ると、なんだか楽しい。今日は〈石川書店〉の前に出た。演芸本や東京ものなどのある、小さな店。入って3分ぐらいで、そろそろ出ようかと思ったら、ラジオを聴いていたオヤジが6時の時報が鳴るとともに、「すいません、うちは6時閉店なので」と追い出しにかかる。「いま出ますから」という間もなく、電気が消され、平台を片付け始める。さすがにムッとする。そんなに早く閉めたいのかよ。


入谷交差点近くの〈加藤〉で、ビールともつ焼き。ココは、もつ焼きがウマイのはもちろん、ザーサイとかキムチといったちょっとしたつまみが美味しい。台東区中央図書館に入り、ビデオやCDを借り、書棚をうろうろ。雑誌コーナーで『ぴあ』を立ち読みしていたら、今週〈アップリンク〉で石井輝男のレイトショーをやっているとある。昨日、《女体渦巻島》(1960)をやってたんだ。ゼンゼン知らなかった。〈テアトル新宿〉で《異常性愛記録ハレンチ》(1968)をレイトショー上映しているのはチェックしていたのだが。


図書館の入り口で、晩鮭亭さん(http://d.hatena.ne.jp/vanjacketei/)と待ち合わせ。道を渡ったところにある〈なってるハウス〉に行くも、まだリハーサル中。喫茶店もあまりないので、図書館に戻って時間をつぶし、8時前に店へ。今日は渋谷毅(p)と前田祐希(vo)。まず渋谷さんのソロがあり、前田さんが入って何曲か。前田さんはしっとりと歌う人で心地よく、なんだか眠気を誘われてしまった。客は5人で、晩鮭亭さんは「これでやってけるんですか?」と心配していた。ぼくもそう思う。しかし、なってるハウスは来月で(いまの体制になってから)5周年なのだ。ココまで続いてきたことが稀有なんだから、今後もなんとか続くんじゃないかな、とは希望的観測だが。セットの合間には晩鮭亭さんの仕事のハナシを興味深く聞く。


10時半に終わり、入谷駅の入り口で晩鮭亭さんと別れて帰る。片道20分ほどとはいえ、ずっと自転車に乗りっぱなしだと尻が痛い。もうちょっと走りやすい自転車が欲しくなった。旬公がいないと夜更しになるので、ビデオでスティーブン・フリアーズ監督《ハイ・フィディリティ》(2000・米)を観る。シカゴでマニアックなレコード店を経営するジョン・キューザック(この映画の製作、脚本も)が、自身の恋愛歴をたどり、「自分がなぜ愛されないか」を検証していく。音楽マニアらしく、なにかというと「トップ5」を持ち出し、「これまでにふられたトップ5」とかやっている(押しかけ店員のジャック・ブラックはヒトが死んだというのに「死が出てくる曲トップ5」とかやってるし)。けっこうオモシロかったけど、キューザックを含めた登場人物が「音楽オタク」という感じではない。やっぱり、《ゴーストワールド》(2001・米)のスティーブ・ブシェミぐらいじゃないと、親近感が湧かないっす。