トーク巡業その2・三鷹はワールドカップよりも熱く

旬公は、今日の〈calo bookshop&cafe〉でのワークショップのために、8時前に出て行った。ぼくも珍しく早く眼が覚めたので、仕事のメモを取ったりする。神保町にでも出かけたいところだが、朝から大雨なので諦める。


3時に出て、三鷹へ。雨、ますます激しくなり、ヒトが集まるかが不安になる。4時過ぎに〈文鳥舎〉に入ると、展示の本を見ているお客さんが数名。右文書院の青柳さん来て、できたばかりの海野弘コレクション2『新版 都市風景の発見 日本のアヴァンギャルド芸術』をいただく。栞には、酒井忠康堀切直人岡崎武志の3氏とともにぼくも書かせてもらった。ぼくのは「予告編がいっぱい」というタイトル。4時半、海野さんが到着。お客さんも次第に集まり、25人ほどになる。雨のせいか、はたまたワールドカップの日本×クロアチア戦のせいか、キャンセルが数名出るも、まあまあの入りか。


美術評論家沼辺信一さんに挨拶される。芦屋美術館、庭園美術館などでやった展覧会「幻のロシア絵本 1920-30年代展」の監修をされた方だ。ぼくはココに展示された、P・ノーヴィコフの『クロスカントリー』(1932年)を、古書会館で500円で手に入れていて、そのコトを2004年8月19日の日記(http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20040819)に書いたのだが、沼辺さんはそれをご覧になったようで、「あそこに展示した本を、自分も持ってると云った人はあなただけですよ」とホメてくださる。怪我の功名とはいえ、ウレシイ。先週、「西荻ブックマーク」で沼辺さんのトークがあったが、満員だったという。


5時すぎにトークをスタート。はじめは海野さんに自由に語ってもらうが、途中からぼくが質問を出していくカタチを取る。今日は、平凡社時代の話で盛り上がった。入社したときに、著者の原稿を勝手に校正したりするので嫌われたガンコな校正の老人がいて、それが岡本潤だったという。そのとき、〈月の輪書林〉の目録で、同じく平凡社で校正をしていた元アナキストの特集をしていたと思い出したが、その人の名前がどうしても出てこなかった。あとで、古河三樹松だと判る。そうだ、このヒトだった。ほかに、植草甚一へのシンパシーも語ってもらう。岡崎武志さんが質問してくれたりして、2時間ジャストで終了。


終わってから、有志で懇親会。10名以上が残ってくれる。ぼくの古巣の〈ゆまに書房〉でバイトしている青年や、海野さんの著作リストをサイト(http://www.asahi-net.or.jp/~jr4y-situ/refer/unno.html)で公開している(ぼくも重宝している)やっきさんなど、多彩な方々。今度はじまる文鳥舎寺小屋の海野さんの講座に申し込みたいというヒトもいた。ハナシは尽きなかったが、9時半に散会。


中央線で新宿に出て、山手線に乗り換えるが、この時間だというのに車内にヒトが少ない。しばらく考えて、ああ今、日本×クロアチア戦の最中なのだと気づく。西日暮里で降りたが、気のせいか、車通りまで少ない。ウチに帰り、テレビをつけてみたら、後半戦がはじまり、そして引き分けだった。人数ではなく、熱気だけだったら、海野トークはこの試合に勝っていたぜ。明日は京都だ。