映画と『ゲド戦記』の日々

午前中、遅れに遅れた『彷書月刊』の原稿を書く。今回は海野弘さんのこと。1時ごろにやっと出来上がり、自転車で外に出る。日暮里の立ち食いそば屋で、かき揚げそばに卵を入れて食べる。日暮里図書館の閲覧室で、対談のゲラに手を入れる。一段落してから、『ゲド戦記』第2巻を読む。1巻目と違って登場人物が少なく、動きもあまりないので、気分が盛り上がらない。しかし、ナンとか読み終えた。帰りに、雑誌コーナーで『美術手帖』の最新号を手に取る。海野弘の短期連載「モダン日本グラフィック」がはじまっている。今回は杉浦非水を取り上げている。


ドトール〉でコーヒーを飲んでから、ウチに帰る。DVDで加藤泰監督《沓掛時次郎 遊侠一匹》(1966)を観る。いかにもやくざ映画っぽい前半よりも、舞台劇のような演出が冴える後半(池内淳子が失踪した後)が断然イイ。そのあと、『ゲド戦記』第3巻に突入。なにしろ、あと4日で全巻読み終えねばならないのだ。ストーリーそのものは魅力的だが、カルガド帝国、ローク、ハプナー、テレノン宮殿、ロー・トニング、ネマールなどの地名・人名が覚えられなくて、いちいち引っかかる。こういうのがスッと身の内に入ってこないと、ファンタジーは読めないのだろうな。


西日暮里〈大栄〉で、一箱古本市の裏方として活躍した「TEAM内澤」の打ち上げに、遅れて参加。10人近くのメンバーで、すでに盛り上がっている。男性は石井くんとぼくだけだ(あとで、ほうろう宮地さんが来たけど)。いろんなハナシが出たけど、いちばん心に残ったのは、三五さんがオヨちゃんに腐ったハムを食べさせたことかなあ。オヨちゃんが「これ、糸引いてますよ」と云ったにもかかわらず、三五さんは「でも、これは鎌倉ハムなんですよ」と食べさせようとしたらしい。ちょうど店のテレビで放映中だった、《アド街ック天国》風に云えば、このエピソードをモノクロームの写真に焼き付けて、ぼくの心のアルバムにしまっておきたくなった。


12時前に解散して、ウチに帰る。「早稲田古本村通信」が配信されている。「チンキタ本バカ道中記」は『海野弘 本を旅する』とその展覧会のハナシ。自分が企画した本をほめられたからという贔屓目もあるかもしれないが、今回のチンキタは、これまででいちばんイイのでは。この本が「海野弘読本」だという指摘は、そのつもりでつくったぼくとしては、我が意を得た思いだった。


さて、明日は〈古書ほうろう〉での稲垣書店フェアの、イベント第二弾、「中山信如の映画文献と目録談義」が18時から開催です。聞き手は南陀楼綾繁です。 映画文献の奥深い世界や、「日本古書通信」に掲載の古書目録のつくり方などを中心に、脱線や裏話ありでさまざまなお話をお聞きします。かなり突っ込んだハナシになると思いますが、判りやすく楽しい時間にしたいと思っていますので、よろしければぜひお出でを。タダだしね。