汗だく関西日記(前編)

昨夜は、下北沢〈CLUB Que〉で東京ローカルホンクのライブで盛り上がった。ウチに帰ってから、早々と寝てしまう。朝起きて、風呂に入ったり、荷物をまとめたりする。〈アトリエ箱庭〉に電話しておこうと、携帯を取り出したら、液晶に文字が写らない。バックライトが付いていないのだ。電源を入れるときと切るときは表示されるのだが、あとはダメ。ユーザーサポートに電話するも、「ワカラナイ」ということで、八重洲auショップを紹介される。ここでダメだったら、急いで新しい機種を買わなければならない、めんどくさい、と思っていたが、たんにバックライトがオフに設定されていた(操作してるときに間違えたのだろう)だけで、元に戻ったので安心する。それにしても、この機種、5年近く使っているから、バッテリーがすぐ切れてしまうので、もうそろそろ換えどきではあるのだった。


10時半ごろののぞみ号に乗り込む。いつもの「チキン弁当」を食べて、缶ビールを飲む。『進学レーダー』で書評するので、ル=グウィンの『ゲド戦記』第一部を持ってきたのだが、3分の1ぐらい読んだところで、がぜんオモシロくなる。ファンタジーには苦手意識が強いのだが、これは本当、おもしろい。続きを読むのが楽しみだ(全5巻+別巻がある)。


1時、新大阪着。『エルマガジン』を眺めていたら、新世界の名画座で、マキノ雅弘《男の顔は切り札》と加藤泰《真田風雲録》の二本立てというのをやっていて、観たくなる。しかし、どう考えてもそのヒマはないので、諦める。いつか、新世界と新開地の名画座で映画三昧したいものです。


同じく『エルマガジン』に洋書店〈ランダムウォーク〉が心斎橋と元町にオープンしたと広告が出ていたので、心斎橋に行ってみる。アメリカ村をうろつくが、見つからず。今日はめちゃめちゃに暑い日で、ちょっと動くとすぐ汗が噴出す。三角公園(っていうんだっけ?)の交番で道を聞くと、「いまもその店聞かれたよ、三人連続だ」と云われる。流行っているのか、地図が判りにくいのか。〈ランダムウォーク〉は二階建てで、東京の赤坂店に感じが似ている。ウンベルト・エーコが序文を書いた、世界の図書館の写真集を見つけて欲しくなるが、1万円だし、重いので諦めて、1920年代のサブカル写真を集めたペーパーバック(英語、日本語、中国語のキャプションが併記されているところが優れモノ)を700円で買う。〈ちょうちょぼっこ〉に行くと、真治さんが店番していた。福島さんが帰京して抜けたあとをどうカバーしているの? と聞いたら、「毎月の最終週をまるまる休むコトにしました」と。つまり1人抜けたら、その1人分を休みにしてしまうというワケで、いかにもこのヒトたちらしい対応である。しかし、今度から来るときには、最終週かどうか確認しなければならんなあ。


四ツ橋駅から四つ橋線に乗る。肥後橋のつもりが、一つ前で降りてしまったので、そのまま靫公園を抜けて、京町堀の建築書専門の新刊書店〈柳々堂〉(http://www4.osk.3web.ne.jp/~ryuryudo/)へ。店長のMさんに挨拶し、「不忍ブックストリートMAP」をお渡しする。建築についてひとつ聞くと、10ぐらい返事してくれるパワフルな女性。とっくに絶版の『新編・谷根千路地事典』(住まいの図書館出版局)が一冊あり、ありがたく購入。話していると、海野弘さんから携帯に電話あり。ホテルに入ったというので、そっちに向かうコトに。〈Calo bookshop&cafe〉に寄って石川さんに、内澤展覧会についてお願いしてから、梅田に出る。


イタリア人の建築家が設計したとかいう〈ホテルイルモンテ〉のロビーで、海野さんと会う。「この裏のあたりがオモシロいんで、キミを案内しようかと思って」と、古本屋や喫茶店に連れて行ってもらう。この辺のことは、次号の『彷書月刊』で書くつもりなので、略。


5時半、北浜の〈アトリエ箱庭〉に到着。すでに何人かお客さんがいて、展示されている本を手にとっている。本は壁に面出しになったり、テーブルに積まれたりしている。100冊あるのに、さりげなく、うるさくない展示になっていた。箱庭の幸田さんに、手製の展示目録をいただく。青い表紙に、山下陽子さん作の版画の題箋が貼り付けられている。この目録は、限定100部。大阪・東京のトーク出席者に配布され、残りは会場で販売することになっている。


6時にはいったん、みんなに外に出てもらい、椅子を並べる。海野さんと前列のお客さんの距離はわずか30センチだ。立ち見も含めて20人ほどのお客さんの前で、海野さんのトークが始まった。大阪との関わりを枕に振り、『海野弘 本を旅する』の成立過程に触れながら、本とヒトとの不思議なつながりをゆっくりと語っていく。1時間ほど経ったところで、ぼくが割り込んで、大学や平凡社時代の話をしていただく。お客さんからの質問も含めて、6時ジャストに終了。貴重なハナシがたっぷり聞けたと思う。


そのあと、肥後橋まで歩き、山本ビルという古くていい感じの建物のなかにある上品なレストランで懇親会(料理は美味しかったが、量も値段も上品でした)。フライヤーをデザインしてくれた羽良多平吉さん、プラトン社の研究をされている小野高裕さん、画家の戸田勝久さん、うらたじゅんさん、〈アセテート〉の中谷さん、オンライン古書店〈BOOK ONN〉のNさんなどで、海野さんを囲んで楽しく話す。11時にお開きになり、海野さんはタクシーでホテルへ。なんとなく別れがたく、その後、山本ビルのバーで、羽良多さん、中谷さん、幸田さん、Nさん、前田くんで飲む。雑誌のハナシが楽しかった。とっくに終電は終わり、タクシーで今里まで。いつも遅くまで開いている居酒屋で2時半まで飲み、前田くん宅へ。今日は一日アツかったなあ。すぐさま眠る。