昨日のこと(長いぞ)

朝7時前に起きて、外の様子とネットの天気予報を見る。外は曇っているし、午後から雨が降るかもしれないのだが、現時点で降ってないからにはGOサインを出すべきだろう。宮地さん、笈入さん、オヨちゃんとも連絡を取り合い、決行と決まる。すぐに、公式サイト、店主ML、助っ人ML、自分のブログに告知をアップする。また、今日になって3人の店主から「来れなくなった」という連絡があり、その対応など。ドタキャンされると困るんだよな。少し時間があるので、30分ほど眠り、朝飯をつくって食べる。今日は忙しい日になりそうだから、味噌汁までつくって、ちゃんと腹に入れる。


9時半に荷物を持って出発。ぼくは、カートとリュックサック、紙袋、そして畳んだダンボール箱、旬公は昨夜描いたしのばずくんの看板を持つ。途中、警察官が二人立っていたのだが、思わず目を伏せてしまう小心者である。集合場所の〈古書ほうろう〉に着くと、すでに多くの店主、助っ人が集まっている。10時に点呼を取り、メンバーの揃っているスポットから送り出す。ぼくは遅れてやってきた助っ人二人と出かける。Tさんを〈花歩〉に案内し、専従をやってくれるJさん(美術史を専攻している研究者の女性)と一緒に〈やなか珈琲店〉に到着。


今日のパートナーである「こちどり」のお二人がすでに準備に掛かっている。和物・生活関係の本を出品し、二人とも和服での参加だ。とても豪快な方でありまして、私なんぞはしょっぱなから突っ込まれまくっていた。頼りになります。ぼくの箱は、ダンボールの蓋に「古本けものみち」と殴り書きし、その周囲に、以前撮影した自宅のけものみちの写真(いちばんヒドイ時期の)を貼り付けたもの。ちょっとアウトサイダーアートっぽかったか。こちどりさんとははなはだしくミスマッチだが、タイプが違う箱があるほうが、客にとってはありがたいと思っている。


箱の設営を終わると、もうオープンする11時だ。最初の2時間はぼくが店番となる。「中野サンプラザ古本市」のエプロンを下げ、首からお金を入れるバッグと、スリップを入れる袋をぶら下げる。昨年は〈オヨヨ書林〉の前にいて、11時前から箱の前でウロウロする人たちを見ていたのだが、こちらでは11時すぎてもしばらくは静かだった。しかし、5分すぎたあたりから人が立ち止まり始める。最初に売れたのはナンだっただろうか? 500円、1000円の単行本が売れていく。チェコの復刻マッチ(6個1000円)も順調だ。CDは箱の下に入っていて見にくいためか、思ったほどの動きはない。顔見知りの人や、ぼくの文章を読んでくれているヒトから声を掛けられる。計算もしなければと焦っていると、丁寧に応対できなくて申し訳ない。専従のJさんもひっきりなしにスタンプの台紙を持ってくる人がいるので、一息入れるヒマもなかったようだ。


1時まで店番をし、どうやら2万円ぐらいは売れたかなという感触を得たところで、店番を交代。店番セットをこちどりさんに渡して、出かける。イベントで南陀楼賞を出すので、なるべく多くのスポットを回っておきたい。〈月夜と眼鏡〉に着くと、入口にボウリングのピンの被り物をかぶった、助っ人のジョー・ハンキンスくんがいる。ノリがいいヤツだとは思っていたが、ここまで嬉々としているとは。ココでは8箱が出ているが、どの箱もすでにもう一回転したようなカンジだ。「北方人」さんの箱から一冊買う。奥の部屋に上がり、大沼ショージさんのボウリング場の写真展示(とてもいい! ぜったい写真集にまとめてほしい)を見ていたら、外で「雨だっ!」という声が。ザアーッと降り出してきた。慌てて外に出て、よみせ通りをもと来た方向に戻る。やなか珈琲店は箱を置いたギリギリの位置に庇がかかっており、ナンとか濡れずにすんでいた。雨のときにかけるゴミ袋を出しておき、もう一度出かける。


いま食べとかないと思い、中華料理屋に入る。隣に一箱古本市を覗きに来た女の子二人組がいたので、「こう回るといい」とアドバイスする。そうしてるうちに、「東京セドリーヌ」の阿部さんとお母さんとお友だちが入ってきたので、一緒のテーブルに。しかし、ラーメンと半チャーハンが届いた頃には雨足が激しくなり、ほうろうからも携帯に電話が。急いで食べ終えて、対策を練るためにほうろうへと向う。ほうろうでも軒先のわずかなスペースでなんとか続行していた。奥の事務スペースに入り、宮地健太郎さんと話す。「ひょっとしたらもうすぐ晴れるのでは」という楽観論(おもにぼく)、「たぶんこのまま上がらない」という悲観論(おもに健太郎さん)が交錯する。その間にも、各スポットの専従や自転車部隊から報告や問い合わせが入る。店内には雨宿りしているお客さんがたくさんいるし、かなり追い詰められた気分になる。


15のスポットのうち、12がなんらかのカタチで販売を続行中とわかり、「このまま5時までもたせられないか……」という思いがよぎる。販売中止した3スポットには申し訳ないけど、せっかくいま、この地域にたくさんのヒトたちがいてくれるのに中止するなんて。しかし、結局のところ、3時ちょっとすぎに中止を決定し、自転車部隊に連絡する。


ただし、中止といってもココで完全に終りではない。イベント会場として確保していた〈文京ふれあい館〉の地下ホールが5時半から使えるので、そこで即席の古本交換会を開くコトに決めたのだ。店主が売れ残りの本を並べて販売し、買うのもやはり店主。一般のお客さんには申し訳ないが、箱を並べるだけでかなりのスペースが取られるので、店主同士での販売にせざるを得なかった。このプランは、最後の打ち合わせのとき、雨が降った場合のシミュレーションをしていて浮かんだもの。


4時ごろにはほうろうの前の箱の撤収も終わる。ぼくは連絡で動けず、やなか珈琲店の荷物を退屈男さんに代わりに取りに行ってもらった。ありがとう。皮肉にも、その頃になって雨が上がってきた。荷物を持ってタクシーに乗り、ふれあい館へ。3階の準備室に行くと、売り上げの計算がはじまっている。ぼくと笈入さん、加福さんは、5時半からの古本交換会の段取りを考える。問題はカネの受け渡しをどうするか。中止前と同じく、集中レジ方式を取ると、集計に時間が掛かって今日中には終わらない。その箱の店主にカネを払うのが明解だが、釣り銭などが対応できるのか……。


地下会場が開いたという連絡を受けて、とりあえず行ってみる。広さは充分、イケるかもしれない。壁際と中央、前部に机を設置し、その上に箱を置いて古本を販売する。まず、時間をくぎって、みんなに本を選んでもらう。その本を手にしておき、あとでブロックごとに段階的に精算するというやり方を、その場で決めて、箱の設置に掛かってもらう。参加したのは正確に数えたわけではないが50箱ぐらいか。


「では本を選んでください」とマイクで云うと、みんなが思い思いの箱に取り付き、中を見始める。静かだけど、熱気が感じられる。そうか、みんな、中止のまま帰るのでは物足りなかったんだろうな。あまり時間はなかったが、ぼくも一緒になって本を選ぶ。宣伝したい店主には、壇上に上がってマイクでアナウンスしてもらった。そのあと、列ごとに屋号を読み上げ、その箱の本を買う人が並んで精算していった。6時50分には販売終了。すぐ片付けに入り、椅子を設置してイベントに移る。ナニか頼むと、店主のみなさんがが即時に動いてくれるので、とてもスムーズだ。


上の計算所からは「まだかかる」と連絡があったので、少し引き伸ばす。そのうち、現金入りの封筒が半分ぐらい届いたので、屋号を読み上げて前に出てきてもらって受け渡す。7時30分からイベントスタートしたが、その途中にも、現金渡しタイムをはさんだ。笈入さんにもマイクを握ってもらい、まず、個人賞の授与。岡崎武志さん、セドローくん、書肆アクセスの畠中さん、日曜研究社の串間努さん、谷根千工房の山崎さん、内澤旬子南陀楼綾繁がプレゼンテーターとなり、各自が選んだ箱を表彰し、副賞を渡した。だれがどの箱に賞を出したかは、後日まとめて報告します。ぼくは、大阪から参加の「古本 おーでぃっと とれいる」さんを選んだ。出品された〈ギャラリーKINGYO〉には行けすにふれあい館の地下で見ただけだが、かなり気に入ったので。


そのあと、オヨちゃんを相手に、売り上げの金額ベスト5と冊数ベスト5の発表。前回はオールアナログだった計算が、今回はパソコンの表計算ソフトに入力する方式を取ったのだが、オヨちゃんがそのシステムをやたら自慢するのが可笑しかった。このベストもあとで発表するが、ぼくの〈古本けものみち〉は、冊数で同率3位(岡崎さんと「噂の犀」さんが一緒)、金額で3位を獲得した。最初に2時間しか店番できなかったのに、52冊で3万2950円も売れたのはヨカッタ。ちなみにご一緒した「こちどり」さんは、「谷根千賞」を受賞している。やなか珈琲店前は前回も売上1位(旬公)と冊数1位(トンブリン)が出ているので、2回続けて全部の箱が賞に絡んでいるコトになる。来年は「賞が出やすい場所」として、ココへの希望者を募ってみるか。


イベントは9時前に終了。すぐに椅子を片付け、打ち上げ会場の〈車屋〉の2階へ。助っ人・プレゼンテーター・実行委員の44人が参加。労苦をともにしたメンバーだけに、乾杯のあとは盛り上がった。ぼくも席を移動しながら、いろんな人と話す。そうして噛み締めているうちに、今年も終わったんだ、というコトがしだいに実感されてきた。11時に解散し、さらに地元のメンバーで〈小奈や〉に移って三次会。みんなが浮かれているので、その様子を見るのがオモシロイ。そのうち、疲れが一気に身体に感じられてきて、2時すぎに旬公とウチに帰る。部屋の中に、しのばずくんの絵看板を安置する(来年までドコに置こうか……)。


ぼくの心残りは、やはり3スポットしか見られなかったこと。全体を見たかったなあ。それと、昨年以上にテンパっていたため、声をかけてくれた人とほとんど話せなかったこと。目が会ったのに、目礼するのが精一杯という人が、いかに多かったことか。


というわけで、「無事に」とはいきませんでしたが、なんとか終わりました。アクシデントもあったけど、みなさん楽しんでくれたようなので結果オーライではないでしょうか。もちろん、反省・改善すべき点は多々あり、来年は同じ失敗をしないように準備します。一箱古本市に関わってくれた人たち、当日見に来てくださった方々に心から感謝します。現時点ではナニも決まっていませんが、「来年もやります!」とだけはココに宣言しておきます。


それから、急に思いついて、こんな募集をします。

一箱古本市 ちょっといい話」を募集します。
一箱古本市で出会ったり、見かけたちょっとオモシロイ人、変わったエピソードを募集します。一つのネタは、なるべく100字以内でまとめてください。


なお、人名・店名などの固有名詞を出すときは、その人が不快になるような出し方はおやめください。「ちょっといい話」と思えない場合は、私の判断で却下します。文章の末尾に、投稿者の屋号もしくは名前を()で入れてください。

(例)
★実行委員のオヨヨくんは、ふれあい館の地下の交換会のコトが気になって、集計中に何度か逃げ出そうとした。午前の自由時間にも相当買っていた。「噂の犀」の売り上げ金額を1位に押し上げたのはオヨヨくんだという噂だ。
             (内澤旬子


★「やなか珈琲店」前の、南陀楼とこちどり姉妹は似た雰囲気だったせいか、イベントのときに一緒に写真を撮っただけで、会場から笑いが漏れた。いちばん激笑してたのはセドローくんだった。
            (南陀楼綾繁


例では笑える話、内輪話に偏りましたが、もちろん心温まるハナシ、名も知らぬ人のハナシでもいいのです。店主だけでなく、お客さん側から見た「ちょっといい話」も募集します。


投稿は、以下までメールでお送りください
hitohako@yanesen.org


締め切りはとくに設けませんが、こういうネタは日にちがすぎると忘れがちなので、連休明けの5月8日(月)夜までを締め切りとします。みなさん、ふるってご応募ください!