『海野弘 本を旅する』に自信アリ。

まず告知です。ポプラ社から、海野弘さんのエッセイ集が出ます。

海野弘 本を旅する』
ポプラ社・発行
定価 本体1800円+税
四六判・約290ページ・カラー口絵8ページ
装幀:木庭貴信(オクターヴ
ISBN4-7897-2642-8
4月11日取次配本


ベンヤミン、バルト、バシュラールメルロ=ポンティ
夏目漱石大岡昇平池波正太郎滝沢馬琴……
博覧強記の作家が初めてあかす、読書遍歴
「本の中を歩き回って旅し、世界を本のように読みたい」


【内容紹介】

Ⅰ 百冊の本の再訪

海野さんがこれまで読み、影響を受けてきた100冊を、丁寧に読み直していく。ドールス『バロック論』、ガートルード・スタイン『パリ フランス』、森銑三編『人物逸話辞典』、村山修一『山伏の歴史』、カルペンティエル『光の世紀』などなど、古典から奇書までが登場する。全編書きおろし。

Ⅱ 遊歩者の読書術

 10年以上にわたってさまざまな媒体に発表された、読書と本をめぐるエッセイを採録する。古本屋でパンフレットやカタログを買い、旅先では図書館に直行し、パリのカフェで一休み。池波正太郎の目で江戸を見て、ヴィクトル・ユゴーの手法で都市のアンダーワールドを凝視する。時空を超えて自由自在、海野弘流「遊歩者の読書術」、ここにあり。


という盛りだくさんの本になりました。内容だけでなく、装幀、本文デザインもすごいです。150冊近くの著書のある海野さんにして、これまでにない造本になっています。『クイックジャパン』のアートディレクターでもある木庭貴信さんが、海野さんの意外な面を存分に引き出したデザインをしてくれました。なるべく書店でビックリしてほしいので、ここに画像は上げませんが、カバーを見たら、ぜひ扉もいっしょに見てください。


思い起こせば、この企画は、ぼくがまだ「本とコンピュータ」をやっていた2004年夏に、ポプラ社のYさんに提案したものなのだった。その後、正式に企画が通り、海野さんが早々に書きおろしの「Ⅰ」を完成させてくださったにもかかわらず、ぼくの怠慢でなかなか進まなかったのだった。昨年末から追い込みがかかり、多くの方々をやきもきさせながらも、ようやくココまでたどり着いた。


今日は昼からポプラ社に行き、Yさんや、初校から数えて何度もチェックしてくれたスーパー校正者のSさんと一緒に、青焼きを見たのだった。そこでも、いくつか(いくつも?)の間違いが見つかったが、すべて決着をつけて校了した。あとは見本を出るのを待つばかりである。


時間はかかったけど、背にあるように海野さんの「初の読書論」と呼ぶにふさわしい本ができたコトは本当にウレシイ。読みやすくて、深みと広がりのある本になったことには、ささやかな自信がある。みなさん、ぜひ買ってください。


で、久々に普通の日記を書く気になった。朝7時起き。待ったなしのリーチがかかっている『進学レーダー』のKさんインタビューを必死にやる。12時に一段落して出かけようとしたら、『彷書月刊』から電話。次号の特集で、10円コンビ(南陀楼+内澤)にあるヒトの書斎のイラストルポを頼みたいという。ご本人からのご指名なので、もちろん二つ返事で引き受けたが、締め切りを聞いて青ざめる。いったいイツ取材して、原稿(イラスト)を書けばイイんだ? 


丸の内線で四谷三丁目へ。ポプラ社に行き、上記の作業。やはり時間がかかり、次の約束が迫ったので、タクシーに乗って神保町へ。〈ぶらじる〉で『T』のYさんとTさんに会う。この雑誌で仕事するのは一年ぶりだ。このところウォッチしているテーマなので、方向性はその場で固まったけど、問題なのはこっちも締め切り。月刊誌って、どうしてこんなにギリギリになって依頼してくるんだろう。Tさんに「本のこと以外で書きたいことはないですか?」と訊かれるが、その場ですぐに答えられなかった。即応性がないライターはダメだねえ。そうですね、やってみたいのは、専門ではない立場からの、ミュージシャンや音楽制作者のルポですね。いま云ってどうする。


ここのところ神保町にまったく来てなかったので、久々に〈書肆アクセス〉に寄ると退屈男さんがいた。最近、よく出会うなあ。『いろは』の最新号を買う。ウチに帰ると、右文書院から出る日記本の「栞」のゲラ2人ぶんが。これですでに4人の方が、すてきな文章を書いてくださった。どうもありがとうございます。注はぼく以外に3人の方が書いてくれている。装幀も昨日、「あの方」に決まった(ゼッタイあたらないと思うけど、当てたらエライ)。来週はある人との対談も収録する。あとは、ひたすらゲラを直すのみ……である。


このところ、一人で八方ふさがりみたいな気持ちになっていたのだが、いろいろと動きがあったので、なんだかアッパーな気分になり、2時間ほどでKさんインタビューを仕上げる。そのあと、旬公とデザイナーのIさんの事務所に行き、「不忍ブックストリートMAP」改訂版の入稿データの確認を。細かい直しもすべて終え、明日の朝、印刷所に入稿してもらうコトに。4月5日ごろにはできてきそうである。とりあえず一段落したので、すずらん通りの〈鳥ぎん〉で遅い晩飯。鳥のモモ焼きと、鳥釜飯がうまい。明日もがんばろう。