仙台からのお客さん

朝9時起き。雨の中を国会図書館へ。何冊か本を借り出して、書誌事項の確認をする。OPACで所蔵検索して、そのままオンライン上で閲覧申請できるので、これまでに比べて格段にラクになったし、本が出てくる時間も短縮された。ちょっと困るのは、同じ請求記号の上下巻の場合、以前なら請求票一枚でイケたのに、いまは別々のデータとして出てきて、申請すると「2件」とカウントされてしまうコトだ。一方で、複数巻を「1件」で申請できる場合もあり、その違いがよくワカラナイ。余った時間、OPACでいろいろ入力して遊んでいたら、『徳間康快追悼録』(2001)なる本を発見。これから書評を書く佐々木崇夫『三流週刊誌編集部 アサヒ芸能と徳間康快の思い出』(バジリコ)の参考になるかと借り出してみたら、徳間と交流のあった作家、政治家、俳優などが毒にも薬にもならないおべっかを書いただけの、典型的な「饅頭本」だった。


1時にウチに帰り、近所で買ったおにぎりで昼飯。美術出版社から『みづゑ』3月号が届く。ぬりえ特集というコトで、『チェコマッチラベル』(ピエ・ブックス)に収録したマッチラベル数点をぬりえに仕立てている。編集部からメールで連絡が来たのだが、そのときから、なんでマッチラベルをわざわざぬりえにしなきゃならないのか、その意図がイマイチ判らなかった。自分の中では、マッチラベルはあくまで印刷文化の産物であり、手書きとは一線を隠したものだという意識があったからだ。届いた雑誌を見て、こういうコトがやりたかったのね、というのは理解したが……。


2時に西日暮里駅でC社のMさんと待ち合わせ、駅前の喫茶店へ。ココは高齢老人のたまり場で、タバコの煙が店中に充満している。適当な席に座ろうとしたら、「予約席」とあって、ダダ(ウルトラマンの)みたいな顔をしたおばさんのウェイトレスに「あっちに座れ」と云われる。いやあ、ステキな店です。この店にふさわしく、あるステキな本の編集について打ち合わせる。


一度ウチに帰って、4時前にまた出かける。千駄木駅の改札で、仙台のブックカフェ〈火星の庭〉(http://www.kaseinoniwa.com/)の前野久美子さんと会う。神保町の古書会館の大市に仕入れにきたそうだ。すでに神保町の書店を回ってきたそうで、重そうな荷物を持っていらした。あいにくの雨だが、〈古書ほうろう〉にお連れし、そのあと〈花歩〉で話をする。前野さんは仙台で「一箱古本市」をやりたいと以前からおっしゃっていたので、ぼくの知っていることをレクチャーする。時期は確定していないけど、年内に〈火星の庭〉を会場に「一箱古本市」が開催されるコトになり、同時に「チェコマッチラベル展」をやらせていただくことになりそう。もちろん、その時期はぼくも仙台に行きます。前野さんは他にも魅力的な提案をしてくれる。実現するとイイなあ。


仙台で出ている『仙臺文化』第2号をいただく。創刊号に続いてこの号にもマッチラベルのカラー図版が載っている。今回はカフェー・バーのマッチラベルで、当時の地図も掲載されているので、どこにそれらの店があったか判る。ほかに大正14年の『仙臺市写眞帖』からの図版や、乗合バスのポスターなど図版も多く、仙台への旅愁を誘う。〈書肆アクセス〉で扱ってます。


そのあと、晩飯でもというコトになり〈大栄〉に行くが、休み。近くの居酒屋〈なかよし〉に入る。旬公も合流。前野さんが〈火星の庭〉を開く前にやってきたことを聞く。我々より年下なのに、比べ物にならないぐらい濃い人生を送ってきたのだな。今夜の新幹線で仙台に戻られるというので、名残惜しいがお開きに。駅で別れてウチに帰り、ビデオで《ニュースの天才》(2003、米)を観る。前半のテンポがのろくて眠くなってしまったが、後半はかなりオモシロイ。ニュースの捏造をしていた主人公が、追及されるとアレコレと猿知恵をひねって何とか逃れようとするあたりが見苦しく、同時に自分でもそうするだろうと思わせられて痛かった。