寝不足ののち、初神保町

9時10分発の東京駅行き夜行バスは、「青春ドリーム号」という名前から想像付くとおり、5000円という格安料金の代わりに、座席は二人掛け、足を伸ばす場所も少なく、スリッパも付いてないものだった。ホントは8000円でもう少しゆったりしたタイプを予約していたのだが、料金の支払いを忘れていてパーになったのだった。二階建てのバスが満席で、暖房が効きすぎて暑く、さらに100円ショップで枕を買うのも忘れてしまったので、いっこうに寝られず。消灯後は本が読めないので、旬公から借りたiPodで音楽を聴きつつ、懸案となっている諸々の件を考えてみる。けっきょく2時間ぐらいしか眠れなかったが、いくつか具体的なプランが生まれたので、寝不足でもまあイイか。


6時半ごろ東京駅着。ウチに帰り、2時間ヨコになってから仕事場へ。やるコト多いなあ。1時すぎに神保町へ出かける。今年はじめて。〈書肆アクセス〉に寄り、『読書人』1月13日号を買う。坪内祐三『極私的東京名所案内』の書評を書いたのだが、掲載紙が届かなかったので。昨年末にうんうん唸りながら書いたもので、ぼくとしては頑張った、というトコロか。この本に出てくる芝の紅葉館については、もっと知りたくなって、文中に紹介されている池野藤兵衛『料亭 東京芝・紅葉館 紅葉館を巡る人々』(砂書房)を、「スーパー源氏」で見つけて買った。新刊コーナーには、なぜか木山捷平玉川上水』(津軽書房) が一冊。1991年刊行なのにまだ買えるのか。畠中さんに訊くと、「なんか入ってくるんだよねえ」と。古本で持ってるハズだけど、ある種の感動を覚えて仕事用に買った。ちなみに、名張市立図書館の『江戸川乱歩執筆年譜』『江戸川乱歩著書目録』も何冊か積んであったので、未入手の方はこの機会に買っておいてはどうですか。


書泉グランデ〉で『散歩の達人MOOK 東京がわかる300冊!』(交通新聞社)、〈田村書店〉の外台で『内田百聞集成7 百鬼園先生言行録』(ちくま文庫)200円、『都筑道夫恐怖短篇集成3 雪崩連太郎全集』(ちくま文庫)300円、を買う。靖国通りを渡り、久しぶりに〈書肆ひぐらし〉を覗く。ご主人とは年末の松坂屋で会っている。1月末に単独では初めてとなる目録を発行するとのこと。楽しみ。買ったのは、安藤鶴夫三木助歳時記』(旺文社文庫)。ちょっとカバー背に難アリだが、500円は安い。


〈彷徨舎〉に寄って田村さんと話したあと、近くにできた古本屋へ。愛知から進出した〈がらんどう〉(http://www.garando.jp/)で、絶版漫画、おもちゃから文学まで幅広い。〈くだん書房〉だった店舗なのでさほど広くはない。雑多だけど、人目で見渡せるところがぼく好み。この規模で、常時モノを入れ替えてくれると面白いだろう。初山斗作編『初山滋の世界 コドモノクニの頃』(すばる書房)2100円、藤沢桓夫『随筆 人生座談』(講談社)840円、松居桃楼『ゼノ死ぬひまない 〈アリの町の神父〉人生遍歴』(春秋社)500円、を買う。藤沢桓夫のエッセイ集には文学者が多く登場するようだ。一昨年、松濤美術館でやった「谷中安規の夢〜シネマとカフェと怪奇のまぼろし」の図録があった。扉に、版画家・大野隆司のサイン入りで3800円。けっこう安いと思うので、未入手の方はこの機会に買っておいてはどうですか。


仕事場に戻り、8時すぎまであれこれやる。〈渥美書房〉から、斉藤英子『安成二郎おぼえがき』(新世代の会)が届く。伊多波英夫『安成貞雄を祖先とす ドキュメント・安成家の兄妹』(無明舎出版)の余波なり。『安成貞雄 その人と仕事』(不二出版)とあわせて読もう。晩飯は旬公がアメ横で買ってきた冷凍の餃子で、水餃子をつくる。そのあと、関西行きの日記を書いたり、写真を整理したりしていたら2時になった。さすがに眠くなり、布団にもぐりこむ。