ひとりぼっち荒川線

朝8時半起き。寒いなあ。午前中は宅急便の片付けと部屋の掃除。年末年始の新聞をまとめ読みしていると、河原淳氏の訃報が。76歳。イラストレーター、現代デザイン研究所代表。食道がんのため死去。河原氏は、1970年代の売れっ子イラストレーター&パロディストで、宮武外骨の「外骨忌」にいらしていたのだが、お話したコトはなかった。しかしこの数年、奥成達梅田晴夫ら、いろんなテーマに手を出す書き手の一人として、河原氏の本を少しずつ集めるようになり、いずれお会いできればと思っていたのだった。残念。


昼前に今年初めての〈古書ほうろう〉。「古書モクロー」棚の追加。たんに松坂屋古本市で売れなかった本を持ってきたのだが、トコロ変わればお客さんの反応も変わる、というのが、この一年間、いろんな場所で古本を売ってみての感想であり、あちこちに動かしてみるのは悪くない。復刻マッチも追加。


新入荷のコーナーに、『ひとりぼっち荒川線』(東京都交通局)という写真集を見つける。わずか30ページなのだがハードカバーで、都電荒川線の歴史を写真でたどっている。この写真集が出された1978年の3月31日には、荒川線は「赤帯チンチン電車」が廃止され、車掌制度もなくなり、ワンマンカーとなった。タイトルの「ひとりぼっち」とあるのは、ほかの路線が廃止されてただひとつの都電になったコトだけでなく、一両編成のなったことへの思いも込められているのだろうか。それにしても、なんとも印象的な題名だ。1500円なので、ウーンと悩んだが、コレが買っておくべきだと購入。ほかに、こうの史代『ぴっぴら帳 完結編』(双葉社)、『こっこさん』(宙出版)、福島正実『離れて遠き』(ハヤカワ文庫)600円、などを買う。


こちらも今年初めての〈往来堂書店〉。フェア台では「往来堂のスタッフが選んだ年末年始のおすすめ本」をやっている。日垣隆『使えるレファ本150選』(ちくま新書)、四方田犬彦『「かわいい」論』(ちくま新書)、小田扉団地ともお』第6巻(小学館)、押切蓮介『でろでろ』第6巻(講談社)、『文学界』2月号を買う。『文学界』には、小林信彦「うらなり」が一挙掲載。ウチに帰ると、八木福次郎斎藤昌三書物展望社』(平凡社)が届いている。『日本古書通信』の連載を大幅に増補したもの。某紙から書評を依頼されたのである。心して読まねば。


出雲そばで昼飯。そのあと、旬公にipod shuffleの操作法を習う。明日から関西に行くので、借りることにしたのだ。好きなCDを何枚かiTuneに取り込み、そこからipod shuffleに移すのだが、意外にめんどくさい。もっとカンタンにできると思ってたよ。


4時ごろ、マフラー、手袋、帽子で防御して、寒い中を自転車で出かける。久しぶりに、道灌山通り荒川区役所方面へ。途中、〈肉のきたじま〉(水泳選手の北島選手の実家)の前を通ると、道を挟んで向かいに、二号店ができていたのでビックリ。やっぱり儲かってるのか。南千住図書館に行き、パソコンで右文書院の日記本のまとめ。2時間ほど集中し、少し進んだ。


三ノ輪に出て、〈中ざと〉でチューハイ、ムツの刺身。カウンターの隅っこで、酒を飲みながら本を読むのは楽しい。それが気になるのか、ヨコにいた常連さんが連れに「最近本読んでないなあ。オレも昔は本が好きでさあ」と話し出す。吉川英治山岡荘八をごっちゃにしてたのは、ご愛嬌だが。常連と店の奥さんの会話を聴いていると、「あと2、3年で閉めるから……後を継ぐ人もいないし」と云っていた。ホントだとすれば残念だ。近くの古本屋〈えどや〉で、ナニかないかなと見ていたら、井上ひさし『喜劇役者たち』(講談社文庫)があった。堀切直人『浅草 戦後篇』で印象的な引用があり、読んでみたいと思ったのだが、図書館にはナカッタなのだ。探していた本がヒョイと見つかるのが、この店のイイところ。ほかに諸星大二郎妖怪ハンター』シリーズの文庫版などを買う。


中町通りの肉屋で豚肉を買い、ウチに帰る。旬公は仕事相手と食べるというので、豚肉と白菜の合わせ煮というのをつくって食べる。明日、明後日と所用で、京都と奈良に行ってきます。