函入りの本を2冊買う

朝9時起き。寒くなってきたので、布団から出るのがつい遅くなる。神保町に出て、〈ぶらじる〉の前で右文書院の青柳さんに会う。ぶらじるはまだ開いてなかったので、〈フォリオ〉に入りモーニングセットを頼む。川崎彰彦『ぼくの早稲田時代』のカバーの色校と、表紙・扉の青焼きを見せてもらう。いい感じ。本文は明日下版とのこと。見本ができるのは20日前後か? 年末で取次が込んでいるので、書店に並ぶのはひょっとして年明けかも。まあ、〈書肆アクセス〉には年内に並ぶだろうが。


打ち合わせのあと、そのアクセスにちょっと寄る。「東京者」フェアの期間は終わったハズだが、まだ本が並んでいる。アクセスの女の子が神保町をポラロイドで撮った写真が、終了間近にできたというので、それを貼っていた。始まる前に撮影された、われわれ3人の写真も貼ってあった。この「東京者」フェアは、ベースになった書目を選んだのこそ3人だが、フェアの期間に入ってからもアクセスのヒトたちが選んだ東京本が加わっていて、いつ見てもオモシロイ。今日も『MOLE UNIT』10号の「特集 大西みつぐ」を見つけた。東京のあちこちを撮った写真集。どこを撮ったかのクレジットはないが、根津の〈あんぱちや〉近辺の写真もあった。ほかに、『幻燈』第6号(特集「うらたじゅんのリアリティ」)を買う。〈書泉ブックマート〉で『エルマガジン』の新しいのを買う。「本棚通信」に「エエジャナイカ」(http://d.hatena.ne.jp/akaheru/)の北村さんが、〈口笛文庫〉のコトを書いていた。


そのあと、〈三省堂書店〉に行ったら、谷沢永一『紙つぶて 自作自注最終版』(文藝春秋)があった。933ページ+索引50ページ! 国語辞書のような厚さだ。トンネル函に入っているが、これは並製の本体を保護するだけの目的のようで、ダンボール製ですぐに壊れそう。しかも、本の厚みで膨らんでしまい、容易に本体が取り出せない。レジで「研修中」の札を下げたお兄ちゃんも、スリップを抜き出すために悪戦苦闘していた。定価は5000円+税。一部の予告で3000円台になっていた(『トーハン週報』でもそうなっていた)が、それではとても引き合わなかっただろう。今日はもう一冊、鹿島茂『甦る 昭和脇役名画館』(講談社)も買う。コレも函入りだ。めっきり見かけなくなった函入りの本を、新刊で2冊も買えるとはウレシイ。ぼく自身は編集者として、復刻版以外に函入りの単行本を手がけた経験がないが、来年は一冊、函入りの本をつくってみたいものだと考えている。あと『東京人』1月号も買う。創刊20周年記念号だ。


仕事場に行き、今日も『ブックカフェものがたり』の発送作業。昼過ぎに、印刷会社から告知用のフライヤーが到着。表4色+裏1色、5000枚で1万2000円という安さ。けっこうイイ感じに仕上がっている。ポストカード大なので、ブックカフェや書店に置いてもジャマにならないハズ。会社のIさんに手伝ってもらい、7時までに120冊ほど発送。いやあ、疲れました。ブログ(http://kawasusu.exblog.jp/)も、最近は毎日更新していますので、見てやってください。


急いで竹橋に行き、東西線茅場町で乗換え、入谷へ。中華料理屋で晩飯を済ませてから、〈なってるハウス〉へ。同行するはずだった『ぐるり』の五十嵐さんは、急用で来れなかったので一人だ。今日、明日は渋谷毅2DAYSということで、二日通しの予約をしてある。こんな日でも満員にならずに客は10人ほど、というのが、逆にこの店らしい。今日は渋谷毅(ピアノ)、望月英明(ベース)、外山明(ドラム)に、ゲストの古澤良治郎がパーカッションで参加。外山さんの叩き方は変則的だし、古澤さんも床に座って鍋を叩いたりしてるので、うまくかみ合うかなと思ったら、前半はちょっとミスマッチな場面もあったが、後半になると変則と変則が合わさって、不思議なリズムがうみ出された。二人の掛け合いもヨカッタ。外山さんをライブで見るときは、「今日はどんなヘンな叩き方するのかな?」と観察するのが楽しみなのだが、今日は(1)片手に2本ずつスティックを持って叩く、(2)スティックをスネアにはさんで指ではじく、(3)シンバルを叩きながら回す、(4)スティックの先でシンバルの溝をなぞる、などのプレイを見せてくれた。古澤さんも仙人みたいで、次はドラムが見たいと思った。4人でやる合間にはさまれる渋谷さんのソロは、いつものように、いつも以上に最高だった。


この店では今年から『なってるハウス通信』というコピーのフリーペーパーを出しているんのだが、新しい号の「今月のピックアップ・アーティスト」は渋谷さんだ。ココで紹介されているエピソードが面白いので、勝手にいくつか転載する。

・はじめて「なってるハウス」に不破さん(南陀楼注・「渋さ知らズ」の不破大輔)とのデュオで出演したときにあきらかに渋谷さんが曲の進行を間違えていたのに、ピアノの音の説得力があまりにもあったため不破さんが間違えたように聞こえた。
・「なってるハウス」出演しはじめて間もないころ、ライブ前に客席で寝てしまっていたので起してもよいものか迷った。お客さんも起こすのが忍びなさそうでほとんど志ん生の域である。近頃は馴れたので起こせるようになった。
・やはり出演して間もないころ、ライブ終了後よく頭をかかえて「もっとピアノがうまくなりたいなあ」と言っていた。


その渋谷さんは、自身のブログ(http://blog.carco.jp/)で、「なってるハウスは浅草にあります。合羽橋。場所は決していいとはいえませんが、どういうわけかぼくはここが好きで毎月やっています。ピットイン、アケタの店、グッドマン、につづいて「なってるハウス」もホームグランドになりつつあります」と書いている。その場所で、毎月のように渋谷毅を聴いているぼくは幸せ者だと思う。


渋谷毅の話題ついでに、こないだアマゾンで買った、大友良英プロデュースでさがゆきが中村八大の曲を歌う2枚組[see you in a dream]にも触れておく。このアルバムは、大友のアイデアとさがゆきのダイナミックな歌、そして近藤達郎や山本精一らのメンバーもいいのだが、なんといっても、渋谷毅のピアノが素晴らしい。それと、力作のブックレットには、渋谷毅×湯浅学の長い対談が載っていて、テレビ界における渋谷さんの仕事が本人の口から語られている。


ウチに帰ったら、「松坂屋古本フェスタ 銀座ブックバザール」の目録が届いていた。南陀楼&内澤の広告も載ってます。目録ご希望の方は、info@bookbazar.jp までお申し込みください。


ああ、また長くなってしまった。最後に、恒例の〈海月書林 冬の古本市〉の告知を。

12月9日(金)〜13日(火)、荻窪ひなぎくにて、毎年恒例の海月書林の古本市を開催いたします。お誘いあわせのうえ、ぜひお越しください。

日程:12月9日(金)〜13日(火)
時間:平日 14:00〜22:30////土日 正午〜22:30(最終日のみ21:00まで)
場所:荻窪ひなぎく 杉並区上荻1−10−3−2階(地図)
電話:03−5397−2223