勝手に絶版にしないでよ

朝7時半に起きる。溜まっている原稿を書こうとするが、その気が高まるまで、20分ほどネットで時間つぶし。相撲の立会いみたいなもので、書くことはだいたい決まっているのだが、実行に移すまでに間合いが必要なのだ。で、なんとなく自分の名前を検索したら、「復刊ドットコム」の復刊リクエストに、単行本『ナンダロウアヤシゲな日々』が挙がっていてビックリ(http://www.fukkan.com/vote.php3?no=31531)。まだ絶賛在庫中なのに、勝手に絶版にされちゃったよ……。無明舎の本は地方・小出版流通センター扱いなので、アマゾンやbk1での扱いがない場合もあるだろうが、版元のサイト(http://www.mumyosha.co.jp/essay.html)では、ちゃんと購入できる。自分の欲しい本を探す努力もせずに、ウェブでの登録一発で復刊を希望するのは、あまりにもムシがいいんじゃないの? もし希望の本が復刊されたとして、このヒトはその本をちゃんと買うのだろうか、という疑問まで生まれる。ちくま文庫の場合もそうだが、復刊は普通の新刊よりもリスクが大きいのだから、復刊されたら自分だけは買う、という姿勢は持っていてほしい。だいいち、ウソ情報を流されては、著者にとっては大迷惑だ。とりあえず削除依頼を出しておく。


やっと原稿にかかり、11時までに2本書き上げる。「一箱古本市」の店主でもある「ふぉっくす舎」(http://negitet.at.webry.info/)のNEGIさんから、以下のメールが。

入谷コピー文庫のこと、南陀楼さんのブログで知りました。小学館から出ている「寅さん完全読本」に川本三郎さんと山田洋次監督の対談が収録されています。その中で、川本さんが入谷コピー文庫に言及されていました。寅さん映画の中で、必ず商人宿の女将さん役をやっていた大部屋女優の方(名前失念しました)の聞き書き入谷コピー文庫から出ているそうで、山田監督も、知っているということでした。


おお、そうでしたか。川本さんは、うらたじゅんさんの『眞夏の夜の二十面相』(北冬書房)を毎日新聞の書評欄で取り上げたりと、マイナーなものへの目配りがある。


ポプラ社の矢内さんからは、1月に刊行される本の「読者モニター」の募集のメールが届く。以下、はしょって紹介します。

さて、今日は皆さんにお願いがあります。ある本の、読者モニターになっていただきたいのです。モニターをお願いしたい本は『素晴らしい親 魅力的な教師』。カナダで20万部、ブラジルで15万部のベストセラーとなり、大きな反響を呼んだ本です。著者は精神科医、心理学者、教育者として、多くの子どもと親に触れてきたアウグスト・クリ氏。子どもと接するとき、「良かれ」と思いつつ、誰もが陥りやすい間違いについて、具体的な例をあげながら、解決法と注意点について示してくれます。約200ページという本ですが、その中身はとても深く、子どもを持つ親や教師だけでなく、部下を持つ上司や自己啓発書としても、広く受け入れられました。日本でも、多くの人にこの本が届くよう、紹介していきたいと思っています。


ご協力をいただくのは、簡単なアンケートです。この作品を読んで感じたことを、どうぞ率直にお聞かせください。皆さんからのご意見、ご感想は、本づくりの参考にさせていただきます。ご応募くださった方の中から30名の方に、校正ゲラをお送りさせていただきます(11月25日頃到着予定です)。アンケートは、12月7日までに必ずご返送ください。アンケートにご協力いただいた方全員に、出来上がった『素晴らしい親 魅力的な教師』の本を一冊プレゼントいたします。

申し込み方法は以下にあります。
http://www.poplarbeech.com/pickup/051118.html

読者の声を本に反映させるというのは、編集者なら誰でも考えるコトだが、ではどの段階でそうするかはナカナカむずかしい。読者に送るのは再校ゲラらしいが、モニターの意見がどのように参考にされ、どのように本に反映されるのか、とても興味がある。矢内さん、ぜひあとで「書評のメルマガ」にレポートを書いてください。出版への読者の声の反映といえば、月曜社の小林浩さんも、「ウラゲツ☆ブログ」(http://urag.exblog.jp/2277788/)で一般参加の「公開編集会議」を提唱している。こういう動きには注目したい。なお、「ウラゲツ☆ブログ」については、今週末発売の『彷書月刊』で紹介しています。


書き終わって、一休み。寒いので布団をかぶっていると、鎌倉の実家に行っていた旬公が帰ってくる。ま、いろいろあったようだ。駅近くのフランス料理屋に行き、ワークショップの材料費でランチをおごっていただく。そのあと、ぼくは荻窪へ。3日連続で中央線に来ているなあ。北口の〈ブックオフ〉で、ロバート・エヴァンズくたばれ!ハリウッド』(文藝春秋)、木村千歌『メープルハイツ#201』(講談社)を各105円で買う。前者は図書館で読んでいるが、安かったのでつい。南に出て、〈ささま書店〉へ。外の105円均一で、島尾敏雄『夢の系列』(中央大学出版部)、色川武大『怪しい来客簿』(話の特集)、江崎誠致囲碁放浪記 懸賞打ち』(ケイブンシャ文庫)を見つける。ナカに入ると、青山毅・浦西和彦編『谷沢永一書誌学研叢』(日外アソシエーツ)があった。全900ページに、書誌関係のエッセイ、論文、文献案内、事典項目、書誌を集約。これ一冊で谷沢永一の書誌学の成果が満喫できる、以前から欲しかった本。5250円は手ごろなので買っておく(あとで見たら、数箇所に線引きがあったが)。


西荻に移動し、〈にわとり文庫〉に行くも、月曜定休。〈音羽館〉に寄ってから、K校へ。『進学レーダー』の図書館取材。広報のH先生は、ぼくがG社で仕事をお願いしており、ココにも何度か来ているので、気が楽だった。図書館の棚を見てるときに、編集のIさんが、大阪の某校で藤沢桓夫の縁者に会ったというハナシをする。藤沢の本を読んでみたいというので、「さっき、ささま書店に10冊近く並んでたよ」と云うと、「じゃ、帰りに寄ってみる」と。こんなマニアックな会話を聴いて、ヨコにいる司書教諭の方は呆れたかもしれない。ところで、いま見たら、『谷沢永一書誌学研叢』には、20ページにわたる「藤沢桓夫著書目録」が収録されているではないか。なんというグーゼン。今度コピーしましょうか、Iさん。南口の中華料理屋でビールを飲み、ささまに行くIさんと別れて、〈信愛書店〉に寄る。レジ前に杉並北尾堂の出張古本棚ができていた。星野之宣自選短編集『MIDWAY 歴史編』(集英社文庫)を買って、中央線に乗ってウチに帰る。