のんびり姫のお供でせっかち侍従は焦る

朝9時起き。午前中は「まぼろしチャンネル」の原稿を書き、川崎彰彦本の三校をチェック。赤字がだんだん少なくなってきた。うどんをつくって食べ、1時半に出かけて、高田馬場へ。〈BIGBOX〉の古本市を覗き、河野典生『続・街の博物誌』(早川書房)250円、を買う。各章に新井苑子による動物の絵がカラー別丁で入っている。ぜいたくな造りだなあ。セドローくんと2階のパン屋に上がり、雑談。「最近、いろいろ働いてるじゃないですか」と云われる。そうだよ、オレだってたまにはマメに働くんだよ。怠け者の節季働きというやつだけど。


昨日に続き、次田さん登場。このヒトのテンポは独特で、気を抜くと一緒になってのんびりしてしまう。今日も吉祥寺に寄ってから美術館に行くツモリだったのに、吉祥寺をうろうろしていたら時間がなくなって美術館に寄れなかったのだとか。こちらがタイムキーパーにならないと危ない。このあと、目白に行き、4時までに経堂に着いてなければならないからあと5分でココを出ようと思いながら話していると、その段階になって次田さんが飲み物を買いに行く。お、おい、ちょっと待て……と云いたくなる。ぼくは、時間がたっぷりあるときにも、この後どう動くかをつい考えてしまうせっかちな人間なのだ。セドローくんは笑いをこらえていた。


高田馬場から山手線で目白へ。歩いて7、8分のところにある〈ポポタム〉(http://popotame.m78.com/)へ。今日は澤田さんが店番だった。カフェもやっているが、「ぼくの店番のときは、(奥さんの)信用がなくってカフェは休みなんですよ」と。11月23日(水・祝)〜12月18日(日)までは、トーナス・カボチャラダムスさんの「空想カボチャドキヤ」展が開かれるとのこと。古本で、平野威馬雄『日本怪奇物語』(日本文芸社)1000円、檀一雄『青春放浪』(ちくま文庫)105円、を買う。前者はよくある恐怖体験モノだが、著者が珍しい(平野ファンのTくん、持ってる?)。「幽霊に会った有名人」という章で、体験を語るのは、淡谷のり子ガッツ石松戸川昌子、西丸震哉、渡辺はま子石坂浩二柴田錬三郎横尾忠則森村誠一アン・ルイス森田健作手塚治虫滝田ゆう佐伯俊夫、水木しげる十返千鶴子、ジュンとネネ、媒図かずお、淀川長治ほかのステキな面々である。


スズキコージの「COHJIZUKIN BANK NOTE」(525円)というのも買った。一筆箋なのだが、表に「50 ZUKING」「100 ZUKING」と単位が書かれていて、「感謝の気持ちにあわせて高い金額のを使うとイイ」そうだ。おもしろいけど、それ、相手に伝わるのか。例によって次田姫がゆっくりと棚をご覧あそばしているので、せっかちな侍従としては「あと5分で出かけますよ」とお伝えする。急いで目白に戻り、山手線に乗る。新宿駅で友人と待ち合わせている(というのも、さっき聞いた)ので、小田急線のホームで待っているように電話してもらう。新宿に着くと急いで小田急に走り、待っていた友人とともに発車直前の電車に駆け込む。大学時代の同級生の田中さんという女性で、次田さんと対照的にとてもシャキシャキしている。田中さんに「彼女、昔からあんな感じなの?」と訊くと、「あんまり変わってませんねー」と。


そんなこんなで、経堂駅の待ち合わせ時間にはすべり込みセーフ。ビール片手にすでにゴキゲンのエンテツさんと、荻原魚雷さんに会う。焦っていたのは、この二人が携帯電話というものを持たないヒトだからでもある。今日はこの5人で『酒とつまみ』の取材。といっても、古本屋と居酒屋に行くだけなのだが。まず農大通りの〈遠藤書店支店〉〈大河堂書店〉、駅の反対側に行き、すずらん通りの〈遠藤書店〉へ。〈遠藤書店〉はこの近くに住んでいた植草甚一の行きつけの店で、日記にもしばしば登場する。植草にならって、今日は雑誌中心に攻めてみた。そのあと〈ロバロバ・カフェ〉にちょっと寄り、エンテツさんオススメの〈太田尻家〉(http://www.ne.jp/asahi/ootajiri/ke/index.htm)にまだ開店前なのに入れてもらって、ビールで乾杯。連載のほうで書くが、〈太田尻家〉は酒も料理もウマく、店の雰囲気もヒトもイイ感じだった。さすがエンテツさん、である。今日のことは「ザ大衆食」(http://enmeshi.way-nifty.com/meshi/)にも書いてある。


7時ごろ、『酒とつまみ』の大竹さんがやってきて、そのあと8時半の新幹線に乗る、という次田さん(途中で妹さんに会うと云ってたが、無事出会えたのだろうか?)を送って、田中さんも帰る。病み上がりの魚雷さんも帰り、代わりに経堂在住のアクセスの畠中さんが来る。畠中さんは、明日からの「東京者」フェアの棚づくりをしていたそうだ。休みなのに、ご苦労様。できあがったばかりの小冊子をいただく。全12ページで全タイトルのリストと、選者のことばが載っている。それぞれの本の紹介は、畠中さんがまとめてくれた。表紙は片岡知子さんのゴムはん。飲んで食べてしゃべってイイ気分になり、11時ごろ解散。千代田線経由でウチに帰る。楽しき一日。