神田古本祭りで花森安治本に出会う

8時起き。原稿のアカ入れを30分ほどやり、池袋へ。〈新文芸坐〉の石井輝男特集。今日は天知茂三原葉子コンビの《黒線地帯》(1960)と《黄線地帯(イエローライン)》(1960)。どちらも傑作! とくに前者は、ロケを多用することで、東京オリンピック以前の東京の街を写している。亀戸、横浜といった猥雑な街が舞台となっている。また、冒頭からクライマックスにいたるまで、川や海がよく出てきて、この時期の東京にはまだ水辺があったことがよく判る。後者では、神戸のカスバ(貧民街)が舞台となる(パンフによれば撮影したのは横浜らしいが)。このセットはよく出てくるが、《やさぐれ姐御伝 総括リンチ》(1973)の貧民窟のほうが、もっと汚くて精気があった。


丸の内線でお茶の水へ。駿河台下へ歩き、〈ザ・ハンバーグ〉でハンバーグランチを食べる。そのあと、今日で終わる神田古本まつりへ。神保町交差点はヒトだかりが多く、とてもゆっくり見てられない。さくら通りの〈ブックパワーRB〉の外の台で、小澤栄太郎・松本克平・嵯峨善兵・信欣三『四人でしゃべった』(早川書房)300円、荒俣宏倉本四郎『マタさんクラさん世紀末でたとこ膝栗毛』(講談社)400円などを買う。〈三省堂書店〉の会場へ行くと、こちらは少し人が少ない。外で、八木義徳『一枚の絵』(河出書房新社)500円。ナカに入って、東京大学学生新聞会編『私の卒業論文』(同文館)600円という本を手にして、オッと思う。花森安治の装幀だ。ナカを見ると、花森のほか、上林暁渡辺一夫梅崎春生阿部知二らが自分の卒業論文について回想している。こんな本、知らなかったなあ。今日いちばんの収穫なり。


3時ごろウチに帰り、原稿のアカ入れを最後まで。そのあと、国会図書館のデータベースで書誌事項の確認。ほかに原稿の入力や、メールでの連絡その他。6時半になった。今夜は、9時半の夜行バスで大阪に向かう。明日から3日間、大阪、神戸、京都、奈良を回ることになっている。予定はたくさん。体力が残っていれば、日記も更新します。では、行って来ます。