D坂シネマがおもしろい

8時起き。40分に出て、日暮里まで歩く。あいにくの雨。朝倉彫塑館前で、『暮しの手帖』のMさんとHさんと待ち合わせ。2日に続いて、今日も「不忍ブックストリートの本棚拝見」取材なのであった。彫塑館を出ると、雨が止んでいた。昼までに三カ所回る。食事は、三崎坂の〈ブラッセリー・フレール〉。以前からちょっと入ってみたかった。雰囲気もいいし、ランチ(若鶏のトマトソース煮)も美味しい。ま、昼ご飯にしちゃ、ちょっとゼータクだけど(おごってもらいました)。


1時半からは、さらに一ヶ所、そして〈NOMAD〉を最後に取材終了。今日から藍かすみさんという方の詩の展示があるのだが、『会話集』という小さな詩集(650円)がイイ。造本はAtelier 空中線。思わず買ってしまった。取材後、お二人を谷中のアパートに案内し、旬公の手づくり本や花森安治の装幀本を見せる。先日の「一部屋古本市」の残りの本を、何冊か買ってくれた。日暮里駅近くで別れて、ウチに帰る。自分も被写体になって写真を撮られつつ、取材もするというのは、けっこう疲れるので、帰ってからグターッとヨコになった。


1時間ほどしてから目覚ましで起きて、自転車で谷根千工房へ。今日はココで「D坂シネマ」という映画上映会が行なわれるのだ。客は15人ほどで、〈古書ほうろう〉の山崎・神原コンビも来ている。あとから森まゆみさんも。この映画会は、日比谷図書館などから借りてきたドキュメンタリーフィルムを中心に上映するもの。今回のテーマは「産業と谷根千を探る」。毎日違うプログラムで、今日は《ムカシが来た 横浜市長屋門公園古民家復元の記録》、《木曾今昔》、《木を植えた男》、《東京タワーはわが息子》の4本。《木曾今昔》は1937年に撮影された木材産業華やかな頃の映像と、約40年後の1976年の映像がミックスされていて、興味深い。《木を植えた男》はフレデリック・パックのアニメーションで、名作であることは知っていたが、観るのははじめて。ナレーション(三國連太郎の声)は説教くさいが、自在に変化するアニメーションは、たしかにすごい。


もう一本、《東京タワーはわが息子》はタイトルからして、《俺の故郷は大西部(ウエスタン)》あたりを想起してしまうモダンとマヌケが入り混じったものだが、内容も笑えた。東京タワーを設計した内藤多仲博士を紹介するドキュメンタリー(テレビ朝日の前身のNETの番組)だが、一高時代の友人という爺さんが出てきて本人を差し置いて喋りまくったり、評論家の小汀利得が「内藤氏とは喧嘩している」と尺貫法や国語問題についての意見の違いを追及しだしたりする(建築、関係ないじゃん)。この当時は、喋りの台本がないらしく、女アナウンサーが立ち位置を決めたり(「こちらにお座りになってください」)、やり取りにずいぶん間があったりと、牧歌的な風情がただよっていて、とてもよかった。100円の入場料は安い。「D坂シネマ」は10日(月・祝)には、場所を変えて、汐見会館で無声映画の上映会をやるそうだ(こちらは入場料1000円)。ぜひ行ってみて下さい(http://www.yanesen.net/topics/topic/1869/)。


ウチに帰り、昨日旬公が品川で買ってきた豚の頭の肉のスープに、うどんを入れて食べる。あー、うまい。この肉はまだ大量にあるので、カレーや鍋をつくってみたい。