不忍ブックストリートの本棚拝見

8時半起き。朝イチで旬公に髪の毛を切ってもらう。午前中は昨日の日記を書いたり、本を読んでいるうちに過ぎる。2時、日暮里駅で『暮しの手帖』編集のYさんとカメラマンのHさんと待ち合わせ。うら若き女性二人を引き連れて、今日は「不忍ブックストリート」の取材なのであった。テーマは「本棚」で、本が置いてある店や場所を回るコトにしている。昨日から「芸工展」がはじまっているので、その関連のイベントをやっている場所も多い。


歩いたコースは11月に出る雑誌を読んでいただくとして、昨日初めて行った場所について触れておく。初音小路の〈麻音酒場〉という若い男性がやっている飲み屋の2階で、〈カフェ山猫〉が期間限定(10月10日まで)で営業中。ふだんは下の飲み屋の座敷として使われている部屋で、常連のお客さんがプロデュースして、知人のイラストレーターによる宮沢賢治展をやっているのだ。おもしろい空間だった。この建物は3階まであるというので、いずれ覗いてみたい。


もうひとつは、個人のお宅。デザイナーの遠藤勁(つよし)さんの部屋で、自分が装幀・レイアウトされた本を並べている。平凡社で月刊誌「アニマ」編集部に在籍されていたそうで、荒俣宏の『世界大博物図鑑』など記憶に残る本が並んでいる。写真や絵などを使った装幀が多いようだ。遠藤さんに挨拶すると、「南陀楼さんですね」と云われる。ご夫婦でこの日記をご覧になっているとか。この部屋は奥さんが借りて、日常からの隠れ家として使っているそうで、「内澤さんが借りているアパートと同じ意味です」とおっしゃる。そのうち、外からアコーディオンの音が聞こえてくる。芸工展のスポットを回って演奏しているヒトに頼んだとかで、すぐ外の公園のベンチに座って演奏していた。いいカンジだ。


往来堂書店〉では、「不忍ブックストリートが選ぶ50冊」が昨日から開催中。笈入さんの日記(http://d.hatena.ne.jp/oiri/)によれば、初日にぼくが選んだ本が2冊売れたようでホッとする。ただし、先に完売したのは、ほかのヒトが選んだ、D・ウォレスの『ビッグフィッシュ』(河出書房新社)と川端康成『浅草紅団』(講談社文芸文庫)。なんか、くやしい。後者は同行のYさんが買っていた。〈オヨヨ書林〉で山崎さんと話してたら、「こういうの、どうですか?」と本を見せられる。コレがくせものなんだよなあ。いつもビックリするような本を薦められるので、ほとんどその場で買ってしまう。今日は、小堀杏奴『随筆集 朽葉色のショール』(春秋社)で、この本自体知らなかったのだが、目玉は見返しの献呈署名。宛先が「花森安治様」となっているのだ。『暮しの手帖』と回るコトを知っていて、用意していたらしい。憎い心づかい。3000円だが、購入。あとで調べたら、この本、『朽葉色のショオル』として1982年に旺文社文庫から出ていた。


……などなど、2時から7時半までに、8カ所を回り、ハナシを聞いて写真を撮った。「不忍ブックストリートMAP」や一箱古本市のおかげで、この辺りにお住まいの方や店をやっている方とずいぶん知り合いになった。そのために、今日の取材もかなりスムースに進んだと思う。しかし、まだ5ヵ所ほど残っているので、木曜日にもう一度回るコトになっている。


ご飯食べて解散しようというコトになり、久しぶりにペルシャトルコ料理の〈ZAKURO〉へ。旬公もあとから合流。最近繁盛していて、地下のほかに2階でも営業している。また、別の場所に水パイプの店と、ジュースの店も出している。店主のアリさんは超働き者。それはイイのだが、地下はほぼ満員。ようやく席をつくってもらうが、アリさんが客にギャグを飛ばしたり、民族衣装を着せて写真を撮ったりするので、落ち着いてハナシができない。相変わらず料理はウマイのだけど、5時間歩き回った末にコレだと疲れるなあ。10時前に解散して帰る。