《チャーリーとチョコレート工場》はスゲエぞ

本日夕方、このブログは15万アクセスに到達しました。アクセスカウンターを付けたのが、今年の2月26日、10万を超えたのが7月19日です。コメントは書き込めないようにしているし、トラックバックにもお応えしない(必ず拝見しています)低コミュニケーション型ブログですが、長くつづけていくために、ぼくにはこのスタイルが合っているようです。


8時半起き。昨日の味噌汁と豆腐をご飯にぶっかけて食う。10時前に出かけて、有楽町へ。交通会館側の出口に出ると、立ち食いそば屋やレストラン〈レバンテ〉(戦後文学のさまざまな会合の舞台となった)などが消え、広大な更地になっていた。この辺りに、数年かけて二十数階の丸井を建てるのだそうだ。昨日に続いて、変わっていく銀座を実感。そういうえば、昨日書き忘れていたが、丸の内線のホームから改札に上がる辺りに、雑誌『LEON』が4周年とかで、銀座のあちこちでちょいモテおやじと女の子がポーズを取る写真が、広告になっていた。ちょっと気持ち悪い。


有楽町マリオンの〈丸の内ピカデリー2〉の窓口で、次の回のチケットを買う。この映画館は、一日数回は全席座席指定なのだ。わりとイイ席が確保できた。京橋まで歩き、〈フィルムセンター〉へ。先月末からはじまっていた成瀬巳喜男特集に、ようやく来るコトができた。30分以上前に来たが、すでに80人ほどが並んでいた。開場してしばらくすると満席に。成瀬人気がうかがえる。今日は《噂の娘》(1935)と《雪崩》(1937)の2本立て。同じ監督がほぼ同じ時期に撮ったとは信じられないほど、ふたつの作品のあいだには天と地ほどの差がある。もちろん、《噂の娘》が天だ。没落しつつある酒屋を維持するために焦る父、それを危ぶみながら口を出せない祖父、一家を支える姉、モダンガールの妹。全員が素晴らしい。叔父さん役の藤原釜足もイイ。最後には、畳み掛けるようにいろんな出来事が連続する。それに対して、《雪崩》は成瀬が得意とはとても思えない、山の手の上流家庭が舞台。主人公の顔にスクリーン(紗)がかかると、内面を描写しているコトになるというシカケが噴飯モノ。村山知義が「構案」とあるが……。自分勝手なおぼっちゃんが主人公なので、内面を見せられてもまったく感情移入できず。途中で眠ってしまった。


待ち合わせまで少し時間があるので、並木通りの〈三州屋〉で、ブリの照り焼き定食を食べる。ココの赤だしとおしんこはうまいなあ。マリオンの下で旬公と待ち合わせ、9階の映画館へ行き、《チャーリーとチョコレート工場》を観る。ティム・バートン監督、ジョニー・デップ主演。昨日、書評のために原作のロアルド・ダールチョコレート工場の秘密』(評論社)を買って読みはじめたところだ。ちなみに、コレは柳瀬尚紀による新訳で、旧訳は田村隆一。この映画は、子どもの想像力のポジティブな面とネガティブな面を一緒に映像化してしまったようなもので、(おそらく)かなり原作に忠実でありながら、ティム・バートンのやりたかったコトをすべてブチこんでいる。書き出せばキリがないのだが、最高だったのは、チョコレート工場で働くウンパ・ルンパ。同じ顔をして同じ衣裳をつけたウンパ・ルンパが、毎回違う音楽(ファンク、ソフト・ロック、ヘビメタなど)に乗って披露する踊りといったら! 旬公は、クルミを選別するリスにコーフンしていた。ジョニー・デップが演じるウィリー・ウォンカが、幼少時のトラウマを抱えているあたりはありがちだけど、白塗りしたデップの顔は、奇想とグロテスクとファンタジーにあふれたこの世界によく似合う(自宅にディズニーランドをつくったマイケル・ジャクソンや、《時計じかけのオレンジ》のマルコム・マクドウェルにイメージが重なる)。ラストの落としどころも、うまい。一瞬たりとも飽きるコトがなく、画面に見入ってしまった。CGを多用したこけおどしファンタジー大作はたくさんあるが、この映画は30年後まで確実に残る作品だと思う。


有楽町から上野に出る。行くつもりの店が休みで、鶯谷まで行き、そこから上野公園を通って谷中まで歩く。〈谷中ボッサ〉というカフェにはじめて入る。ブラジルの音楽が流れている。コーヒーもケーキも美味しいし、いい店だとは思うが、どこに座ってもちょっと落ち着かない。〈間間間〉で、谷中芸工展のパンフレット(200円)を買う。地図を印刷した下敷きと、イベントの案内地図が別につくられていて、重ねて使うしくみ。よく出来てるなあ。ウチに帰り、CDを聴きながら、『映画秘宝』の石井輝男特集を読む。吉田輝雄賀川雪絵のインタビューをはじめ、さすがの充実ぶり。で、思わず、石井輝男の《直撃地獄拳 大逆転》や《やさぐれ姐御伝 総括リンチ》などを上映する、「東京ファンタスティック映画祭」の「映画秘宝ナイト」(オールナイト)の前売りチケットを、近くのファミリーマートで取ってきてしまう。晩飯は、豚肉と大根の煮物。


12時過ぎ、《タモリ倶楽部》で『酒とつまみ』編集部の大竹さん、ナベさん、サイカメさんが登場。タモリなぎら健壱井筒和幸を相手に、イイ味出していた。大竹さんは、隙を突いて井筒にインタビューへの登場をお願いしようとしてたが、井筒には聴こえてなかった。収録中は全員のみ続けだったが、あのあと、ちゃんと依頼できたんだろうか。