10円コンビ、西へ

kawasusu2005-08-27

朝5時に起きる。旬公は例によってギリギリまで仕事。出がけにバタバタするので心臓に悪い。もっとも、今回はぼくも青春18きっぷをウチに忘れ、急いで取りに戻った。5時52分、山手線で西日暮里発。その後、東京、熱海、浜松、大垣、米原と鈍行を乗り継ぐ。鈍行で東海道線を行くのは7、8年ぶりで、すっかり忘れていたが、とにかく乗換えがキツイ(ホームが違うと走るコトもしばしば)し、トイレや食事のタイミングが難しいのである。


また、ぼくたちと同じく青春18きっぷで移動するヒトが多く(学生から中高年まで)、同じ電車に乗るので、座席を確保するのにも一苦労。朝、西日暮里駅から乗ってきたハデな格好の二人組の女の子がいて、透明なゴミ袋いっぱいにお菓子を入れているので、なんだ、こいつらと思ったら、その後、乗り換えのたびに出会った。ゴミ袋は移動中の食料の備蓄なのだった。会うたびに、そのゴミ袋のサイズが小さくなっているのが、なんとはなしにオモシロかった。


車中の読書は、加太こうじサボテンの花』(廣済堂文庫)。少年時代から紙芝居の絵かきとして働いた著者と、尾久の喫茶店〈ミチル〉のウェイトレスだった奥さんが出会い、結婚し、奥さんが亡くなるまでの自伝。尾久をはじめとする昭和前期の東京の裏町の様子、戦争をはさんでの紙芝居業界の動き、父との葛藤、文筆家になってからのことなど、きわめて興味深かった。この本については、またいずれ。


3時過ぎ、大阪着。さすがに疲れた。西梅田から四つ橋線肥後橋へ。〈calo bookshop and cafe〉に着いたのは、3時40分。川辺佳展さんや林哲夫さんがいらしていた。メールで画像を送ってもらっていたが、展示されたマッチラベルを初めてじっさいに見る。茶色の紙の四隅に切り込みを入れて、そこにラベルのシートや、ラベル自体を差し込んでいる。キャプションはその下に貼り付けている。シンプルだが、見やすい展示だ。バラのラベルは袋に入れて、壁に止めている。カタログや雑誌は、壁から突きだしたでっぱりの上に載せられている。ギャラリースペースだけでなく、書棚のあるほうの壁にも展示が及んでいて、この店全体にマッチラベルが広がっているようで、とてもヨカッタ。展示については、ぼくはまったく手伝えなかったので、コレは石川さんとスタッフの方々のおかげである。


4時半ごろ、ぼつぼつ準備を開始。奥のほうにテーブルを設置し、その上に資料を置く。石川さんのご主人がプロジェクターとパソコンを設置してくれた。持ってきたCD−Rの画像が開くかどうか確かめると、案の定、旬公のマシンでスキャンした数点が開かず、一瞬アタマが真っ白になるが、ほかのデータは開けたので一安心。5時になると、会場をいったん閉め、受付が行なわれた。どんどんヒトが入って来て、緊張する。立ち見も入れて、32、33人ほど来たらしい。『浅草十二階』の著者、細馬宏通さんの姿も。


5時、「10円コンビが語る紙モノと古本のプラハトークショー開始。東海道線の電車のなかで、簡単な進行表をつくっておいたので、それを見ながら、旬公と話をする。最初ちょっと緊張してたので、なぜ10円コンビか、というハナシができなかった。岡崎武志さんの命名で、旬公とぼくが並ぶと、その体型から「1」と「0」に見えるからなのだ。あと、「紙モノと古本のプラハ」は千野栄一さんの『ビールと古本のプラハ』からのいただき。なぜチェコに興味を持ったか、ということから、プラハで行った古本屋や図書館、博物館などについて、画像を見せながら話す。後半は、チェコマッチラベルのおもしろさについて。途中、つっかえたり、対話が停滞したところはあったが、まあうまく行ったか。質疑応答では、印刷などについて突っ込んだ質問多し。本づくりに協力してもらった田中大さんも発言する。1時間半ほどで終わり、本を買ってくださった方にサインしたり、資料を見せたりする。近代ナリコさんと立ち話。


7時半、歩いて数分の打ち上げ会場へ。〈味庵〉という韓国風料理の店で、12人で予約していたのに、いきなり15、16人ぐらいになる。それでもムリヤリ席をつくってくれた。出席者は、林哲夫さん、扉野良人さん、にとべさん、田中大さん、akaheruさん、前田和彦くん、川口正さん、東方出版の稲川さん、解放出版社の高野さん、『大阪人』の千脇さん、ちょうちょぼっこの真治さんと次田さん、ちょうちょの常連のお客さんの中嶋大介さん、貴島公さん、石川さんとご主人、旬公とぼく。遅れて、「女体の詩人」こと石井章さん(順不同)。誰か抜けてたら、ゴメン。田中大さんには、さんざんお世話になったが、お会いするのは今日が初めて。名前通りの大きなヒトである。日本に一時帰国しているが、下鴨などの古本市に行きまくっているらしい。


10時ごろにお開きになり、旬公と前田くんのお宅へ。先月も二人で泊めていただいたばかり。テレビ東京(大阪ではなんだっけ?)の「ワールド・ビジネス・サテライト」で、不忍ブックストリートが出るというので観る。東京の路地裏をビジネスにするという、いかにもこの番組らしい視点で、谷根千については〈オヨヨ書林〉のオヨちゃんが映ったのみ。〈往来堂書店〉も取材されてたハズだが、カットされたのか。マップの表面や中面が映されたのは、嬉しかった。そのあと、風呂に入り、1時前に眠る。あー、疲れた。


なお、この日のトークの様子は、林哲夫さんの「daily sumus」(http://www.geocities.jp/sumus_co/daily-sumus0508-3.html)、akaheruさんの「エエジャナイカ」(http://d.hatena.ne.jp/akaheru/20050827)、にとべさんの「ちゃりんこ日記」(http://d.hatena.ne.jp/nitobesan/20050827)、貴島さんの「モノノフォン」(http://homepage1.nifty.com/hebon/fhp/)などで、報告されています。みなさん、ありがとうございます。