雨に濡れても近藤十四郎ライブ

朝刊で、石井輝男の死去を知る。81歳。この監督の映画は、いまはなき〈大井武蔵野館〉で何本も見た。首が飛ぶシーンでかならず拍手が起こる、「日本のロッキー・ホラー・ショー」こと《江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間》(1969)を筆頭に、《明治大正昭和 猟奇女犯罪史》(1969)、《ポルノ時代劇 忘八武士道》(1973)など。インタビュー集『石井輝男映画魂』(ワイズ出版)をもう一度読みたくなった。昨夜、映画館でもらった、フィルムセンターでの「特別企画 成瀬巳喜男シンポジウム」(8月20日)のチラシに、石井輝男がゲストとして出演する旨の告知があった。石井は成瀬組の助監督だったのだ。しかし、このハナシは永遠に聞けないコトになってしまった。


午前中はゲラ直し。『彷書月刊』次号が創刊20周年で、その特集につける年表をチェックする。大きな出来事から判る人には判るエピソードまで入っている。願わくば、発売後にこのテキストをサイトで公開し、適宜増補されればとイイと思う。午後は図書館へ。帰ってから、ビデオでビリー・ボブ・ソーントン主演、脚本、監督《スリング・ブレイド》(1997、米)を観る。地味なハナシだが、最後まで目が離せない。ラストだけ、ありがちに思えたが、こうしないと終わらないのもたしか。夕方から大雨。しばらくして止み、少し涼しくなる。


7時過ぎに〈古書ほうろう〉へ。近藤十四郎さんのライブがあるのだ。入口から派手な装飾がされていて、お祭り気分。1700円を払い、缶ビールを受け取ってナカへ。往来堂の笈入さんが来ていたので、一番前のゴザに座って見る。オープニングはロメル・アマード(ギター、ボーカル)。そのあと、近藤さんがサックスを持って登場。一曲吹いたあと、ギターを弾きながら歌いはじめる。ご本人が、「ぼくの歌には〈月〉とか〈海の底〉とかのキーワードが多い」と云っていたが、たしかに、自然の不思議な情景を、ふにゃふにゃとした声でうたう。スローな曲もロックな曲もよかったが、後半でやった「ナントカワルツ」というのが気に入った。客の反応も上々(後ろで聞いたコトのある声が叫んでるなと思ったら、ほうろうの山崎さんだった)で、何度もアンコールがあった。終わって外に出ると、ふたたび雨が降り出していた。自転車でウチに帰り、うどんをつくって食べる。