天からお金が降って来た!

今日はちょっと寝坊して9時半起き。旬公が布団の上を見て、「ナニ? このお金」と云う。見れば、封筒に入った13万円もの現ナマが。おお、ビンボーになった二人を神が哀れにおぼしめして、当座の生活費を授けてくださったのか、と思ったら、先日、セドロー牛イチローに市場で処分してもらった本の売上(一回目)じゃないか。二回目のは、封筒から少しずつ出して使っているが、一回目の現ナマ封筒はどこかに置いたツモリでそのままになっていた。こないだ「アレはどうなったのか?」と突然不安になって探したが、見つからず、「きっと家賃でも払ったんだろう」と自分をムリヤリ納得させていた。出てきてヨカッタ。ビンボーなのにカネの管理に無頓着なのは良くない。


午前中は短い原稿(本の紹介)を書く。そのあと昨日届いた『gui』第75号をパラパラ。岩田和彦「気まぐれ読書ノート」に、国立の〈キャット・フィッシュ〉という店での飲み会で、山口瞳未亡人や、息子の正介氏らと会ったハナシがあり、「岡崎武志氏が遅れて入って来て偶々私の隣に座った」という記述が。しかし、この文章、やたらと誤植が多い。「田中千さんの近刊『踏切趣味』」は石田千さんだろうし、『口笛の歌を聞け』嵐山光三郎著、は『口笛の歌が聴こえる』でしょう。「彷書月間」は「彷書月刊」だ。半分は合ってるだけに、こういう間違いが妙に気になる。


12時に出る。藤田晋也さんから、『四季の味』に載った荻原魚雷さんのエッセイのコピーが届く。読みたくて、頼んでおいたもの。「料理男の日常」というタイトルで、自炊生活について事細かに書いている。自炊の要諦は「冷蔵庫の中のものを腐らせないこと」「早く安い料理をどれだけ作れるか」だと魚雷さんは云う。二つともまったく正しい。しかも、この二つをクリアしながら、料理を楽しんでいるコトが伝わってくる。ぼくも自炊は長いけど、魚雷さんほどこまめではなかった。手持ちの材料で適当に料理できるようになったのは、結婚してからのことだ。それにしても、ぼくと同世代の男で、学生時代は自炊してたのに、結婚後はナンにもしないヤツがけっこう多いことには驚く。得意不得意はあるかもしれないけど、共稼ぎなら(いまはたいていそうだ)分担するのがアタリマエじゃないのかな。まあ、家によってそれなりのルールがあるのだろうが。〈bk1〉からは、鈴木博文『僕は走って灰になる』『九番目の夢』(新宿書房)が届く。どちらもまだ新刊で手に入るとは、気づかなかった。


千代田線で淡路町に出て、丸の内線で茗荷谷へ。ちょっと早く着いたので、〈魚滝〉という定食屋へ。適当に入ったのだが、メニューが多く、サラリーマンやOLで満員。しょうが焼き定食を食べるが、フツーにウマかった。駅で野口英司さんと待ち合わせ、〈寿和苑〉まで歩く。一昨日の大雨で、自転車を預かってもらっているのだ。無事引き取って、途中まで一緒に走り、神保町経由で六本木に向かうという自転車の達人・野口さんと別れる。


白山通りの〈あおい書店〉へ。『ユリイカ』8月号(特集「雑誌の黄金時代」)、正岡容『小説 圓朝』(河出文庫)、いしいひさいち『大阪100円生活 バイトくん通信』(講談社)を買う。いったん会計したが、出口のところに『五木寛之ブックマガジン』夏号(KKベストセラーズ)というのを見つけて買う。まるごと一冊、五木寛之という雑誌だ。今回は1960年代の作品を特集していて、仕事の資料になりそうなので買った。500円で300ページという厚さもいい。その先を、東大農学部のほうへ上がり、根津に出る。〈花影抄〉→〈青空洋品店〉→〈ギャラリーKINGYO〉(飯田真樹さんという方の洋服・アクセサリー展が、31日まで開催中)→〈往来堂書店〉と回って、DMを置かせてもらう。往来堂では、マイク・モラスキー『戦後日本のジャズ文化 映画・文学・アングラ』(青土社)という本が気にかかって、買ってしまった。ちゃんと読みこなせるかしら。


ウチに帰り、少し休む。郵便局に行かねばならないので、3時半に再び出る。郵便局で振込み(奨学金の返済)を済ませ、南千住図書館へ。いつも行く道よりもどうも近道らしいので、今日はサンパール荒川の先を左折してみる。すると3分ほど走ったら、見慣れた道へ。おお、こうつながるのか。コレまでみたいに三ノ輪を経由しなくても、荒川区役所のほうから来れたのだ。ウチから自転車で15分という近さだったのだなあ。自転車で東京を走ると、日々発見があって楽しい。


南千住図書館で、リクエストの本を受け取る。一昨日会った田端ヒロアキくん(南千住在住)が、図書館と同じ建物にある〈荒川ふるさと文化館〉で小松崎茂の展覧会をやりますよ、と教えてくれた。サイトには何も情報が載ってないので、ひょっとしてもうやってるのかと思ったら、30日からだった。「下町の空想画家 小松崎茂」展というもので、小松崎が南千住出身だというコトもあり、かなり力の入った企画のよう。図録も出るらしい。ついでなので、以前の展示『移りゆく街並み 王電・都電の車窓から』(2003年)の図録を買う。250円。図録に王子電車のスタンプを押すスペースがあり、受付の女性の指導のもと、ぼくもスタンプを押した。荒川区役所前の立ち飲み屋〈なごみ〉でレモンハイを飲み、帰ってくる。


ユリイカ』の特集をパラパラ。冒頭の四方田犬彦坪内祐三の対談「雑文家渡世」で、気になる単語だけ拾ってみる。終りのところで、四方田氏が「『gui』って同人誌は、かなり「買い」ですね」と激賞。嬉しくなる。方や、坪内氏は中尾務さんの『CABIN』を紹介。「原稿依頼の手紙が素晴らしいんです」と。他の記事は、まだ目を通してないが、安田謙一さんの文章が気にかかる。あと、『大阪100円生活 バイトくん通信』は、この数年間のいしいひさいちのマンガで、もっともオモシロイと思う。この本については、またいずれ。


晩飯は旬公がつくったゴーヤチャンプル。『チェコマッチラベル』の献本やDMの宛名書きをしていたら、12時過ぎる。コンビニに宅急便出しに行き、日記を書いてるともう2時だ。久しぶりに夜更かしした気分。