まだまだあるぞ、古本屋
6時過ぎに寝たのだが、9時には目が醒めてしまう。残りご飯に、ショーガ、キムチ、ノリを入れ、昨夜の味噌汁をかけると、じつにウマイ朝飯になった。遅れている『レモンクラブ』の書評を書く。今回は木村聡『消えた赤線放浪記 その色町の今は……』(ミリオン出版)を。書き上げた頃に、『山口瞳通信』の中野朗さんからメール。OKが出たので、ホッとした。
昼飯は、ソーメンの明太子乗せ。義父がソウルで買ってきた明太子だが、ソーメンのつゆに妙に合うのだ。某誌の原稿を直して送ったり、caloとNOMADでのマッチラベル展のためにつくるマル秘グッズの案を出したりする。早起きすると、いつもより働いた気分になるなあ(遅れている原稿をこなしているだけなのだが)。
4時ごろ、自転車で日暮里へ。日暮里図書館で本を返却。そのあと、『日本古書通信』の今月号の記事を見ながら、日暮里の古本屋を探す。〈石川書店〉という店で、根岸に近い通り沿いにあった。間口の狭い店で、一見、エロ本と文庫が中心っぽいのだが、ナカに入って驚く。エロは皆無、文庫は少しで、あとは旅、鉄道、食、芸能、落語、江戸東京などの本である。ずっと売れ残っているのか、背表紙は日焼けしているし、値段も安いとは云えないのだが、このような場所でこのような店が成立しているコトが奇跡的に思える(古本屋の稼ぎ場が、店のほかに市場での売買にもあることを考慮したとしても)。小島貞二『ぼくの人生、百面相 波多野栄一芸界私史』(学藝書林)1000円を買う。浅草の百面相芸人への聞き書き。こんな本があったのか。神崎夢現の装幀もイイ。
野村宏平『ミステリーファンのための古書店ガイド』(光文社文庫)によれば、この近くに〈リサイクルブックセンターあるべ〉がある。なんとなくヒッピーっぽいデザインの手書き看板が出ているが、シャッターが閉まっている。はたしていまでも営業しているか、不明だ。そのあと、尾竹橋通りを直進すると、三河島に出る。新古書店を見つけて入るが、買わず。
宮地交差点から、新三河島駅を通り、冠新道を越えて、明治通りへ。〈神谷酒場〉の前まで来たら、まだ5時前なのに開店していたので、入る。しかも、先客が3人もいて、相撲中継をも見ている。ビールの小瓶と、チューハイを飲む。また自転車に乗り、今度は田端新町へ。〈ブックマート〉で、香川まさひと(原作)・あおきてつお(画)『島根の弁護士』第2巻(集英社)というマンガ(『ビジネスジャンプ』連載)を見つける。帯には「小泉八雲が愛した町・松江で奔走する新米弁護士」云々とある。松江が舞台なら買わざるを得ないでしょう。あとで読んだら、あまりにベタな人情話にへきえきしたが。もう一冊は、五木寛之『風に吹かれて』(新潮文庫)。このエッセイ集にも、大学時代の回想があるらしい。
コレで終わりではないぞ。自転車を引いて、スロープを登り、田端駅に出る。そこから王子方向の坂を上がると、小さな商店街があり、そこにも古本屋があるのだ。ココも〈石川書店〉だけど、日暮里の店と関係あるのだろうか? こちらはフツーの店で、最近の読み物が中心。でも、評論集や研究書も置いてある。今日は買わなかったが、また来よう。今日回った店は、近くに住んでいるぼくでも、あることを知らなかったり、遠いので行きにくかったりした。でも、たまには思いついて回ってみるのもオモシロイ。
田端銀座で買い物して、ウチに帰る。奈良でお会いした三輪正道さんから、著書『酔夢行』(編集工房ノア)が届いていた。2時間自転車に乗ったので、少し疲れて1時間ほど眠る。夕飯は、豚肉、厚揚げ、タマネギの煮物と味噌汁。最近、旬公が気に入っている山崎豊子原作のドラマ《女系家族》を観ながら、溜まっていた古書目録を眺める。中央線古書展の目録で、〈古群洞〉が戦前戦後の「速記」関係の雑誌280冊を出している。その方面のヒトには、1万円は安いのでは。また、〈オヨヨ書林〉が草森紳一『ナチス・プロパガンダ 絶対の宣伝』(番町書房)4巻揃いを、3000円で出していて目を疑う。この本、第3巻「煽動の方法」がメッタに出ないので、全巻揃いだと2万円以上付けているトコロが多いのだ。まさか、一巻3000円じゃないだろうね? そのあとのニュースで、ロンドンの地下鉄でまた爆発があったコトを知る。