帰ってくれて嬉しいわ

タイトルは、ヘレン・メリルの歌う「You'd Be So Nice To Come Home To」(1942)の和訳であります。誰も云ってくれないだろうから、自分で云ってみました。と云うワケで、一週間ぶりの日記です。この一週間は、某誌の原稿に行き詰ってしまい、読書とビデオでの映画鑑賞に逃避し、気分転換と称しては図書館へ行き、そこでも進まずに帰りに飲み屋に立ち寄ってしまうという悪循環を繰り返していました。四日間ぐらい電車に乗らず、自転車で行ける範囲でしか移動していません。でも、なんとか一段落付いたので(まだ他に待ったなしの原稿はありますが)、日記を書く気になりました。


休止中に、「産経新聞」12日朝刊で『チェコマッチラベル』が紹介され、同日発売の『週刊朝日』ではぼくの「読書日和」が載った。また、明石の幻堂出版からは、今回も書けなかったにもかかわらず、『氣刊ナンザツ7』をお送りいただいた。ありがとうございます。あと、先日ある出版社からお誘いがあり、週3日のペースで、編集者として働くコトが昨日、ほぼ決まった。とてもイイ本を出している版元だし、「生活の設計」から云ってもアリガタイ話で、ちょっとホッとしている。


さて、本日の行動です。7時におきて、某誌原稿の残りを書き上げる。わずか20枚ほどなのだが、資料を読み込むのにとても時間がかかった。どうにか社会復帰した気持ちで、メールの返事などを書く。午後、暑くなってきた頃に、西日暮里からバスに乗って浅草へ。六区で降り、〈ROX〉の〈リブロ〉を覗く。そろそろ『チェコマッチラベル』が並んでいるハズだけど、美術書コーナーには見当たらず。ホントに配本されてるのか? 横山秀夫『震度0』(朝日新聞社)、祝・講談社漫画賞受賞の伊藤理佐『おいピータン!!』第7巻(講談社)、『本の雑誌』8月号を買う。『本の雑誌』は30周年記念号。


雷門のほうへ歩き、仲見世通りヨコの中華料理屋で、遅い昼飯。ギョーザとタンメン。どちらもウマかった。〈松屋〉7階で開催中の古本市へ。目録注文していた、色川武大『街は気まぐれヘソまがり』(徳間書店)1470円と、花森安治装幀の安藤鶴夫・日色恵編『風流落語お好み版(ア・ラ・カルト)』(早川書房、1952)2000円は無事当選。久しぶりに行く大きな古書市なので、丹念に見てまわり、『朝日新聞出版局史』2100円、海野弘編『上海摩登(シャンハイモダン)』(冬樹社)735円、『るうじん』1973年のつげ義春特集(座談会、北井一夫つげ義春写真集など)630円などを買う。牛イチロー先生と、同じフロアのレストランでコーヒーを飲む。月末にセドリツアーを敢行するコトになりそうだ。初参加なので、腕が鳴るぜ。


松屋の前のバス停から、日暮里行きのバスに乗る。たまに乗るコースだが、西日暮里経由のバスとは微妙にルートが違うのでオモシロイ。ちょうど『日本古書通信』最新号で、浅草を含む東部の古書店を紹介しているので、行ったことのナイ店を「この辺りかな?」と見当をつける。6時過ぎているのにまだ暑い。日暮里から西日暮里まで歩き、ウチで一時間ほど休憩。自転車で根津に行き、カフェ〈NOMAD〉に『チェコマッチラベル』を5冊納品。売れるかな?


行きつけの定食屋で旬公と落ち合うツモリが満員で、同じ通りにある〈鉄兵〉に入ってみる。肉屋が二階で経営している和風ステーキの店。一度入りたかったが、なんとなく敬遠していた。入ってみると、ワリと広いつくりで値段もリーズナブル。ビールと揚げ出し豆腐。ロースステーキ定食200グラムを頼むと、一口大に切ったステーキと、ご飯、味噌汁、漬物、サラダ、それにつくね(しっとりして美味しかった)が出てきた。満腹じゃ。隣のテーブルに、東大の先生らしき三人がいて、世にも薄っぺらなハナシ(研究者は非情なくらいでないと成功しないとか、戦前の日本はアジアに広く展開していてエラかったとか)をしていたのが、ウザかったが。学者ってえのは、自分の専門外のコトに関しては、平気で暴論・空論を(しかもエラそうに)云って、しゃあしゃあとしてるんだよなあ。


谷中のアパートに行き、明日大阪に行く旬公の荷物を自転車に積んで、西日暮里に帰る。ぼくも一緒に行きたかったが、原稿が終わらないので、明後日出発することになってしまった。