早稲田も変わるよ

朝からかなり激しい雨。旬公はブツブツ云いながら、病院に出かけていった。何本かメールを書いたあと、バスで早稲田へ。移転した飯島書店を覗く。谷書房、喜楽書房と同じビル。もともと早稲田には珍しく、サブカル本やエロ雑誌を扱う「軟派」な店だ。前の店はなんとなく入りづらい感じで、スルーすることが多かったが、今度の店は広いし、本が見やすくてなかなかイイ。洋泉社映画秘宝」の『映画懐かし地獄70’S』と『GOGO!バカ大将』を買う。各600円。


その数軒先、〈浅川書店〉の隣にあった喫茶店〈戸塚苑〉の建物が、ラーメン屋になっていた。「早稲田古本村通信」の連載第一回目に書いたとおり(http://www.w-furuhon.net/wswblog/000068.html)、数年前に閉店しているので、いつかは……と覚悟していたが、あの看板が見られなくなるのは寂しい。しかも、あとに入ったラーメン屋が、いちばんキライなタイプの、いまどきの「気合入ってます! スープも麺もこだわります! 作務衣着てます・バンダナ巻いてます!」系なので、なんだか戸塚苑の想い出を汚されたような気分になった。


そのあと、古書現世へ。明日からのBIGBOXの搬入に備えて、店は休み。半分閉まっているシャッターをくぐって中へ。某誌で使うために、セドローくんのお姿を激写。昼時なので、一緒に向いの韓国料理屋で、牛スジ煮込み定食を食べる。〈三楽書房〉に行くと、アキヒロくんがヒマそうに店番している。「今日の売上500円ですよ!」。セドローくんが棚の隅を見て、「イイのありますよ!」と云う。たしかに、中公文庫や講談社文芸文庫のいいところを縛った束が数本ある。「雨の日に来たお客さんには、コレ一本500円でご提供、というのはどう?」と提案してみるが、却下される。海野弘さんの本がまとめて出ていたので、未所持の『アール・ヌーボーの世界 モダン・アートの源泉』(造形社←中公文庫にも入っているが)、『都市を翔ける女 二十世紀ファッション周遊』(平凡社)、『ニューヨーク黄金時代 ベルエポックのハイ・ソサエティ』(平凡社)を買い、売り上げに貢献する。


道を渡った〈ベローチェ〉でセドローくんとアレコレ雑談。彼に「ブックオフに海野さんの本が出てましたよ」と聞いたので、そのあと寄ってみる。『世紀末の音楽』(音楽之友社)、『世紀末シンドローム ニューエイジの光と闇』(新曜社)、『都市とスペクタクル』(中央公論社)を買う。いずれも適価だった。そろそろリストをつくって整理しないと、気づかずにダブって買ってしまいそう(というか、こないだ本を整理したときに、海野さんの本で2冊あるのが3点ぐらいあってマイッタ)。


そろそろ重くなった荷物を持って、東西線に乗り、竹橋で降りる。某社に行き、近くの喫茶店で、ある相談を受ける。どうなるかなァ。神保町まで歩き、古本屋を数軒覗く。探している本は見つからず。〈ディスクユニオン〉で、[陽気な若き水族館員たち]を買う。鈴木慶一主宰、水族館レーベルのオムニバス。ボーナストラック3曲付き(水族館オーケストラのライブ)。疲れたので、〈ぶらじる〉でコーヒー。今日は3回も喫茶店に入ってしまった。〈書肆アクセス〉でもらったフィルムセンターのチラシを見る。7月19日からは「発掘された映画たち2005」で、海外などで発見されたり、修復されたりした映画を上映する。こりゃ珍品だと思ったのが、《海魔陸を行く》(1950)。「漁師に生け捕られた蛸が酢ダコにされる直前に蛸壺から脱出し、さまざまな天敵に遭遇しながらも故郷の海を目指すという荒唐無稽な実写映画」だそうだ。こう書き写しているだけでも、脱力してくる。蛸の声を担当しているのは徳川夢声。同時上映の《鉄扇公主》日本語吹き替え版(1941)でも、夢声が出ているとあれば、ほかの誰が行かずとも、わが「BOOKMANの会」の濱田研吾くんだけは駆けつけるに違いない(7月28日3時〜、8月13日1時〜)。


6時に〈東京堂書店〉で右文書院の青柳さんと待ち合わせ、頼んでおいたものを受け取る。そのあと、ウチに帰り、晩飯(豚肉としめじ入りソーメンと冷奴)をつくって食べる。「台湾のモクローくん」こと傳月庵(フ・ユエアン)さんから紹介されたとかで、台湾の新聞の東京駐在員が、「一箱古本市」について取材したいとメールしてきたので、ビックリ。不忍ブックストリートがアジアで紹介されるとは。はたしてどんな取り上げ方になるのか、待て、続報。


ひとつ書き忘れていた。「生活日報」の「オーラルで伝わる活字」(http://d.hatena.ne.jp/mashco/20050704)。「本とコンピュータ」が読書の高尚さにのみ偏っていたとは思わないが、座談会に山の上ホテルを使う文芸誌ノリがあったことは否定できない。鋭い、と思った。