ああ憧れの、魚雷棚

午前中、宅急便を出したり、コピーを取ったりと雑用。自分のパソコンにつながるプリンタをまだ買っていないので、久しぶりに手書きで手紙を書くが、我ながらヘタなので嫌になる。鶏肉とトマトのパスタをつくって食べ、《噂の東京マガジン》を途中まで見てから出かける。


高円寺に着き、古書会館へ。ココに来るのは今年まだ二回目だ。なんと不熱心なことよ。会場を一回りするが、こないだ大量に売ったばかりなので、どの棚を見ても、売った本がそのまま並んでいるような錯覚に陥り、なかなか手が出ない。けっきょくナニも買わず。お土産に最近できたカフェでケーキを買い、〈高円寺文庫センター〉へ。『つげ忠男シュールレアリズム』(ワイズ出版)を買う。牛イチローこと岡島くんと、国書刊行会の樽本くんと待ち合わせ、隣のマンションの荻原魚雷さん宅へ。


玄関を入るなり、本棚が目に飛び込んでくる。リビングの片側に本棚が数本ある。中公文庫や旺文社文庫のコーナーも。奥の部屋には、吉行淳之介古山高麗雄山口瞳など特に愛好する作家の著書が。どれもビシッと揃えられているし、パラフィンもかけられていて、愛着のほどが感じられる。「本棚からはみ出した本は売る」のが方針だそうで、二段になったり、山積みになったりして本が見つからないというコトはなさそうだ。コレは理想の本棚だなあ。「よし、オレも今度引っ越したらこういう本棚に……」と云いかけると、「まあ、ムリッすね」と牛センセに軽く流された。


スムース文庫『古本漫画』の座談会を開始。古本や古本屋が出てくる漫画、あるいは漫画と古本との関係というゆるいテーマであるためと、ぼくの仕切りがうまくなかったので、なかなか座談会っぽくならない。しかし、後半では、なにかハナシが出るたびに、魚雷さんが別の部屋にある漫画本の棚から続々と持ってきてくれ、盛り上がる。6時ごろに終了。奥さま(初めてお会いしたが、カワイイ方である。しかし、漫画に関してはかなりヒトと変わった嗜好の持ち主だと見た)も一緒に出て、古本屋へ。芸能本に強い〈ZQ〉で、なぎら健壱監修・かなつ久美著『ビバ・オヤジ酒場』(ワニブックス)630円、水口義朗『こんにちは2時 です』(講談社)367円を買う。後者はもと中央公論社の編集者で、野坂昭如などの担当だったヒト。ワイドショー司会者としての体験を書いたものだが、「アマゴと遡行する開高健さん」という章がある。あと、何人から名前は聞いていた〈アジアンドッグ〉へも。かなり狭い店だけど、文学やエッセイなどイイ本が手頃な値段で置いてある。


コクテイル書房〉が休みだったので、居酒屋へ。酒もつまみも種類が多い。ここでもマンガの話になる。さっき喋ってくればヨカッタのにー、というエピソードがいろいろ出る。また、樽本くんがいま狙っているという著者(故人)を聞いて、一同「それはイイ」と感じ入る。著書も多いし、バラエティに富んでいるし、コレはぜひまとめてほしいなあ。10時に散会して、牛センセ、樽本くんと中央線→山手線で帰る。こっち方向に三人も一緒に帰るのは珍しい。ウチに帰ると、猛然と眠気が。