『堀内さん』に出会えた

4日も家を留守にしていたのでサスガに疲れたか、ぐっすり眠る。地震があったらしいが気づかず。今日は雨が強く降っている。10時に〈古書ほうろう〉に寄り、地図とチラシのセット400部を受け取る。神保町に出て、古書会館。今日から「新宿展」なのだが、会場を見るヒマもなく、セドローくんに地図を渡す。イチローくんから、出雲の蔵書処分の最終結果をいただく。思ったよりずっと高く売れた。市場で買われていったあれらの本は、今度はどこで売られていくのだろうか。


神保町ではほかに、〈かげろう文庫〉、〈三省堂書店〉、〈岩波ブックセンター〉で地図の配布をお願いする。アクセスにも寄って、入ったばかりの『本の雑誌』を買う。「自在眼鏡」欄に、一箱古本市の紹介が載っている。見出しは「ネットワーク型古本市現る!」。苦し紛れにつけたキャッチフレーズだったんだが、こんなに大きく使われると、それらしく見えるな。〈ふらいぱん〉でマイタケハンバーグ定食を食べ、仕事場へ。座談会の日時調整、アンケートの依頼、その他。


6時に出て、中野へ。雨、いっこうに止まず。こういう日に紙モノを持って歩くのは気が思い。〈タコシェ〉で中山さんに地図を渡す。そのあと、吉祥寺の〈トムズボックス〉へ。先日の「げんげ忌」でお会いした店員の笹倉さんが、地図を置きたいと云ってくれたのだ。ココに来るのは二年ぶりぐらいか。ちょうど片山健さんの「水彩花粉店」という展覧会が開催中で得した気分。水彩なのに油絵みたいに厚塗りして見える、不思議な絵。思わず、しげしげ見入る。『犬、猫、魚、その他』(トムズボックス)、『夜の水 朝の水』(架空社)、絵本『3びきのくま』(千野栄一訳、ミキハウス)、展覧会にあわせてつくられたマッチを買う。ほかに、どこかのミニコミ展で見かけて気になっていた、近藤みわ子『私家版 成瀬巳喜男映画絵読本』(トムズボックス)も。


これらの本を抱えて、入口付近の平台を目をやって驚愕。なんと、堀内誠一の追悼文集『堀内さん』があるではないか! 1997年刊の私家版で、〈青猫書房〉の目録で注文したがハズレてしまった。それがまっさらの新本として目の前にある。笹倉さんにお聞きすると、最近何冊か預かったとのこと。もちろん、ありがたく買う。3500円。あと一冊残っていたが、堀内誠一が好きなヒトがうまく見つけてくれればいいがなあと願う。本書の装幀は、「堀内大学」の卒業生である新谷雅弘さん。印刷・製本は精興社だ。


あとから店に入ってレジで話している人、どうも声に聞き覚えがと思ったら、〈ギャラリー・アートスペース〉の篠原誠司さんだった。恒例の「ライブラリー展」のハガキを置いて回っているとのこと。こちらも地図を手渡す。西荻に行き、〈興居島屋〉へ。地図を渡し、1977年に出た女性向けリトルマガジン『ノラ』(婦人生活社)の3、4号を各1000円で買う。創刊号はたしか持ってる。〈ハートランド〉〈音羽館〉でも地図配り。後者では、今柊二さんとばったり。このヒトとはよく遭遇する。最後に、阿佐ヶ谷の〈よるのひるね〉で門田さんに地図を渡して、今日持って出た分はすっかりなくなる。


帰りの電車で、浅生ハルミン私は猫ストーカー』(洋泉社)を読む。新書判で、すっきりした造本。抑制の効いた文体に絶妙なくすぐりが混じる文章もイイ。ぼくなんか、最初の本にはアレもコレも入れたいとなってしまったが、ハルミンさんは猫いっぽんで押し切った。でも、2冊目は雑文集が読みたいよ。余談だが、ぼくは数年前に、まだ本を出したことのない女性の一冊目を出すシリーズの企画書を書いたコトがある(誰にも見せてないが)。実現すれば、最初の著者としてハルミンさんにお願いするつもりでいた。ともあれ、おめでとう、ハルミンさん。


ウチに帰ると、モーレツな眠気が襲ってきて、少しヨコになる。そのあと、「不忍ブックストリート」のサイト(http://yanesen.org/groups/sbs/)に載せる記事を書いたり、日記を書いたりしてると3時になってしまう。今日は、月の輪書林から目録14『田村義也の本』が届いていて、ゆっくり目を通したかったのだが、それも適わなかった。


【今日の郵便物】
★『ifeel 読書風景』2005年春号
タイムスリップグリコ「思い出のマガジン」開発者インタビューに並んで、南陀楼綾繁が「第二弾を勝手に遊ぶ」企画をやってます。ナニを選んだかは、見てのお楽しみ(サイトにも掲載されているハズ)。これを選ぶために、記憶をたどったり調べたりした時間が、とても楽しかった。ほかの皆さんもやってみて、そのセレクトをぼくに教えてください。
★古書目録 泰成堂書店、月の輪書林