私は顔がワカラナイ

今日は仕事場へは行かないので、昼近くまでぐっすり眠ってしまった。それから、昨日の日記を書いたり、メールを読んだりしていると、どんどん時間が過ぎる。図書館で借りた、渡辺直己『〈電通〉文学にまみれて』(太田出版)とスガ(糸+圭)秀実『文芸時評というモード』(集英社)を読了。前者は1991年、後者は1992年に『すばる』で連載された文芸時評。両者とも1、2回は再読しているせいか、2005年に読んでみての新鮮さは感じなかった。むしろ、〈電通〉というキーワードや、「文芸時評は国民的象徴である」というテーゼを古臭く感じてしまう。それにしても、批評家ってどうして「われわれは……指摘せざるを得ない」などと書くんだろう? 指摘しているのは、「われわれ」じゃなくて「私」だろうが。


〈興居島屋〉の石丸澄子さんからメール。いま、高円寺の〈コクテイル書房〉で開催中の石丸さんの展覧会に合わせて、上野茂都さんのライブが緊急決定したとのこと。「『ふるほん節』を聴いてもらいたくて私が言い出したことなのですが、なにせ急なことなのでチラシも間に合わない感じなのです」と。これはぜひ行きたいなあ。
★古本屋が愛した音曲師「上野茂都ナイトこりゃたまらん、と」
3月11日(金)7時半開演 1ドリンク付2000円 コクテイル書房
http://www.koenji-cocktail.com/


3時半、資料を二箱抱えて、タクシーに乗る。南大塚のP社へ。千石方面から行ったのだが、送られた地図にはそちら方面がばっさりカットされている。運転手さんが自分の地図を見て、「最近のタクシー近代化センターのつくっている地図は、ゼンゼン使えないんですよ。ヘンなところでページが変わっていたり、妙なデザインになっていたり。昔の地図のほうが見やすかったですよ」と云う。たしかに最近の地図(とくにデザイナーがつくったもの)って、使う人のことを考えてないよなあ。打ち合わせ、サクサクと進む。しかし、これからがタイヘンだ。山手線でウチに帰る。


ドコに眠りの蟲がいるのやら、またしても眠ってしまい、起きたら9時前だった。晩飯をつくって食べ、テレビのニュース(おもにフジテレビVSライブドア問題)をボーっと眺める。番組の合い間のCMでタレントが映ると、旬公に「はい、これはダレだ?」と訊かれる。ぼくは人の顔を記憶する能力がゼロに近いらしく、一回会っただけのヒトの顔はほぼ間違いなく忘れるし、知り合いさえもしばらく間があると「あの人、ドコで会ったっけ?」となってしまう。そのため、バツの悪い思いをするコトがしばしばある(人付き合いの多い編集者稼業では致命的)。だからといって、顔を覚える訓練というワケではなく、ただの遊びなのだが、ぼくがあまりにトンチンカンな答えを返すので、旬公が脱力するコトが多い。今日も、坂口憲二伊藤英明(という名前が思い出せず、あ、あの『白い巨塔』の……と答える)、ミムラ柴咲コウ竹内結子松嶋菜々子などと、オール間違い。山田優はCMによって判る顔と判らない顔があり(室田日出男や砂塚秀夫の顔だったら、一発で判るんだけどねェ)。この不毛な訓練は、毎晩行なわれている。


この日記、コメントが書き込めないし、トラックバックへの返事もあまりしないのですが、それでもサイトで触れてくれたり、メールをくださったりする方がいて嬉しい。昨日、今日で多かった反応は、22日に書いた世田谷文学館のポスター問題。目下、高木彬光西村寿行ではないか、という説がある。さて、真実は。韓国で公開された日本映画特集については、教育業界にいるIさんが電話で「寺脇研は『ミスター偏差値』って呼ばれてて、ムチャクチャ評判悪いですよ」と教えてくれる。週刊誌で読んで、少しは知ってましたけどね。でも、人柄が悪くても、実行力のあるトコロは評価したい。あと、「しもふり皮膚科」問題については、「一箱古本市」にも参加するNさんからは、「駒込には『しもふり肉店』というのがあります。実は、このお店のネーミングも、霜降橋にちなんでいるのですが、お店の名前だけ見たらそうは思わないですよね」と。たしかに、「しもふり」が皮膚とくっつくと妙だけど、肉とくっつくとまったく違和感はない。みなさん、ご教示ありがとうございます。


【今日の郵便物】
★古書目録 古書愛好会、青猫書房
青猫の目録は、夕方になってから見た。欲しい本が2点。堀内誠一追悼文集『堀内さん』(1997)7500円。神戸芸術文化会議三十周年記念誌『二十世紀神戸物語』(2004)3000円。アセって電話するも、両方とも品切れ。前者の装幀が新谷雅弘さんだとは知らなかった。今度ご本人に見せていただくか。後者は「大谷光瑞と神戸」「鴨居玲」「竹中郁」「黒木書店」などの項目があるようで、興味津々。