出かける前にひと巡り

9時過ぎに起きて、自転車で出発。出かけている間に、期限が過ぎる図書館の本とビデオを返却に。まず、谷中コミュニティセンターの図書館(台東区)に行く。次に、谷中の部屋に行き、来週用事で上京する前田「大阪のチン」和彦のために、寝袋を出す。こないだ泊まったときは、旬公が部屋のブレーカーごと切ったために、あわれチンは真っ暗な部屋で寝たそうだ。……狭い部屋なんだから、ブレーカー探してみろよ! チンへ、カギは「例の場所」にあります。


谷中墓地を抜けて、日暮里図書館へ。本とビデオを返したあと、新しい『文学界』の筒井康隆の連載小説を読む。豆腐屋でもめん豆腐を一丁買い、〈六文そば〉でごぼ天そばを食べる。「3号店」とあったが、日暮里駅前にあった店の支店だろうか? 朝4時半から11時まで営業してるスゴイ店。一度ウチに帰り、スグに出かけて神保町。久しぶり、ホントに久しぶりの古書会館の古書展。間があくと、焦ってじっくり本を見ることができない。古山高麗雄『競馬場の春』(文和書房)400円だけを、ひょっとして持っているかもと思いながら、買う。あとでメモを見たら、やっぱり持っていた。欲しかったのは、同じ文和書房の『私の競馬道』。魚雷さんでもない限り、こんなの区別つかないよ!


書肆アクセス〉に寄り、『関西文学』2月号を買う。特集は「モダン大阪と直木三十五」で、有栖川有栖小野高裕ほかの座談会が載っている。しかし、あとで読んだら、まとめがあまりにもド下手。記事としての完成度が低すぎる。ひょっとして、「ゲラ」なんじゃないの、これ? 『関西文学』の特集はいつも目の付け所がいいのだが、中身が薄いのが惜しいよなあ。〈ディスクユニオン〉では、JAGATARAのDVD[JAGATARA この〜ッ!!(もうがまんできない)]を買う。そのあと、〈日本特価書籍〉に寄ったら、棚の上に、谷沢永一『遊星群 時代を語る好書録』(和泉書院)があった。店のヒトに棚から下ろしてもらって、中を見る。やぱり買おう。「明治篇」も欲しいが、今日はまず読みやすそうな「大正篇」を。これだけ高価な本(13000円)が一割引になるのは、ありがたい。ほかに、仁木悦子『探偵三影潤全集』1白の巻(出版芸術社)も。


仕事場に行き、『遊星群』の序文を読む。谷沢氏がココで扱う本は、以下のように定義される。

私の指示する雑書とは、学界でも文壇でもジャーナリズムでも、一人前(いっちょまえ)の本とは見做されず、如何なる書誌にも採られず、その価値を認められず視野の外におかれ、図書館などにおける分類から外され、何の本であるか判定するまでもないと放棄されている、そういう雑多な本の総称である。


谷沢氏が蒐集してきた、既存の文学史・文学全集の「埒外の書物」の勘所を抜き出してまとめたのが、この本である。大正篇は、文壇楽屋雀編著『文壇失敗談』、出口競『学者街学生町』、南北社編刊『早稲田生活』など、294冊を紹介。眺めた限りでは、書誌事項以外に谷沢氏の文章はホトンドないが、どの本のどの文を引用するかという「選択眼」の効かせどころが、「谷沢永一著」の所以なのだろう。1200ページ以上あるので、通読するには1ヶ月以上かかるかな。


昨日の座談会をゲラにして、著者校正にまわす。他の記事のゲラを読んだり、台北に持っていく本をまとめたり。ヒマを見つけて、「書評のメルマガ」を編集して発行する。急に思いついて、今回から数回にわたって、「不忍ブックストリートのつくりかた」という連載を書いていくコトに。


5時過ぎに仕事場を出て、綾瀬へ。まず、〈デカダン文庫〉に行く。そしたら、おやじさんが「こないださ〜、あんたの大学時代の先輩というヒトが来たよ。同じサークルだったって」とおっしゃる。うーん、何人かは思い浮かぶが、古本好きのヒトはいたっけなあ? でも、卒業してもう15年経つから、当時とまったく違う趣味になっていてもおかしくない。あと、深沢七郎関係のアヤシイ話も聞く。


そのあと駅前にできたブックオフへ。かねたくさんの日記(http://d.hatena.ne.jp/kanetaku/20050211)で、昨日、開店したのに気づいたので。じつは、先月には開店情報を知っていて、どこかにメモもしていたが、見返さないままに初日を迎えてしまったのだ。ビルの二階で、かなり広いスペース。一回りして何冊買うが、ここに書くほどの収穫ではなかった。最近、ブックオフに行くとよくかかっている歌がきになる。女性ボーカル(ヘンな声系)で、ぞんざいな打ち込み、ありきたりの歌詞(「いつだって〜」とか「百年経っても〜」とか)なのだが、妙にソソルのだ。誰だろうなあ。ヒット曲をまったく知らないので、こういうとき困る。今度、セドローくんの前でメロディーを歌って教えてもらおうか。「歌が下手でゼンゼン判りません。もう一度!」なんて辱められたら最悪だな。〈味路〉でビールともつ焼き少々。


ウチに帰って土鍋で飯を炊き、晩飯。その後、いろいろやってるウチにもう11時半だ。旅行の荷物をまとめないと。というワケで、明日から数日間、日記はお休みです。「不忍ブックストリート」についてのお問い合わせのお返事は、戻ってからになると思います。急ぎの場合は、〈古書ほうろう〉(horo@yanesen.net)へどうぞ。それじゃあ。


【追記】
出発の準備をしながら、《カウントダウンTV》を見ていたら、さっきの曲が判明。YUKIの[JOY]という曲だった。テレビではよくかかっているらしく、いかに最近の音楽にうといかを露呈した出来事であった。でも、JUDY AND MARYには興味なかったが、YUKIというヒトの声は前から気になってたことはたしかである。


【今日の郵便物】
★古書目録 荻文庫