偏差値の低い会話

今日は自宅で仕事。朝起きてから、旬公とくだらないハナシをあれこれ。どれぐらいくだらないかと云えば、偏差値30ぐらい(適当な値です)。ナニしろ、甥や姪と交わす会話(これは40ぐらいか)よりも低いんだから、人様にはとても聞かせられぬ。10日間、そういうくだらない会話に飢えていたので、なんとなく楽しい。


昨日のエンテツさんの日記(http://enmeshi.way-nifty.com/meshi/)を見たら、一昨日の夜、池袋のホームで埼京線東武線を間違えたのを、ぼくのせいにしている。冗談じゃないっすよ、オレが「埼京線終ってるんじゃないの。あれホントに埼京線なの?」と訊いたのに、「あれは埼京線だよ、うん」と力づよく決め付けて走っていたのは、エンテツさんじゃないですか。「だいたい埼京線には準急なんかないのだし、あの位置に埼京線があるはずないじゃないか」なんて云われても、知らねーよ。だいたい埼京線なんて乗らないし。どの飲み会でも、ぼくとエンテツさんはいつも帰る方向が一緒なので、しょうがなく「介護係」を買ってでてるのに、逆恨みもはなはだしい(笑)。それでもちゃんと(事故のおかげとはいえ)ウチに帰りつくあたりは、よほど帰巣本能が発達してるらしい。


日暮里の〈花みずき〉で旬公とお茶(コーヒーではなく抹茶セット)してから別れ、駅の反対側の荒川図書館へ。ところが、地図を見ても一向に行き着けず、自転車でその辺をぐるぐる回る。10分近く経ってようやくたどり着く。小ぢんまりとした図書館。昨夜メールでリクエストした本(南千住図書館所蔵)が、もうこちらに届いている。画面では「一週間ぐらいかかることもあります」とあったが、翌日に届くのであれば、かなり使いでのあるシステムだ。


急いで西日暮里まで戻り、駅でK社のTさんと待ち合わせ。路地の中にある喫茶店に行く。普通の家をそのまま喫茶店にした店で、前から気になっていた。雰囲気がいいし、コーヒーも美味しい。Tさんに目次案を見せてもらう。ある人物の研究本で、そのなかに書かせてもらうコトになりそう。この目次どおり実現すればイイ本になるだろうな。〈古書ほうろう〉にご案内し、店の前で別れる。〈ときわ食堂〉でビールとブリ照り焼き、ほうれん草のバター炒め。そのあと、生たらこと半ライス、豚汁。ああ、ウマイ。


帰りに生協で買い物したが、ウチに帰ってしばらくしてティッシュペーパーの5箱セットを置き忘れてきたことに気づく。さっきの喫茶店でも、マフラーを忘れて採りに戻ったのだ。ナニやってんだ。セドローくんの日記(http://www.w-furuhon.net/wswblog/cat_60miseban.html)に、中目黒で飲んだハナシが。なんだよ、麗しき女性ばっかりが集まってるじゃないか。断言してもイイが、セドローくんはこういう華やかな飲み会にぼくを誘ってくれたコトがない。わりとガーリーな趣味なのに、なぜ誘われないのか。きっと「むさくるしい男と飲むとき用」のメンツに分類されているのだ、間違いない、とひがむ。


旬公が出かけているので、図書館の本を読む。安原顕『決定版 「編集者」の仕事』(マガジンハウス)。もともと白地社から出た同題の本を大幅に増補したもの。読むのは2回目なので、さまざまな発見あり。マリ・クレール』のデザインを担当して、その後マガジンハウスで多くの雑誌を担当する事務所「CAP」を安原に紹介したのは、海野弘さんだったというハナシも(ご本人から聞いたことはあるが)、そのひとつ。しかし、オモシロイことはたしかだが、この本、かなりつくりはズサンだ。文芸誌『海』についての章は、後半の目次紹介と、前半の回想で同じコトを書いてたりする。改訂ではなく、継ぎ足しなのだ。しかも、この目次紹介自体、間違いがある。1979年9月号に、「色川武大追悼」というタイトルがあり、小島信夫田中小実昌が書いているコトになっているが、ンなわけはない。色川武大の亡くなったのは1989年だ。本書にも、あとのほうの『海』目次でもう一度色川の名前が出ているから間違えるほうがオカシイ。


また、自分とは疎遠になった著者を「才能が枯渇した」などと罵倒したり、吉増剛造の『全詩集』を「全巻タカった。編集者でタカったのは、おそらくぼくだけだろうと誇らしく思った」などと書いている(あとがきで、しゃあしゃあと編集者は「書籍を含むいわゆる教養費に、月最低でも二十万円はかけてほしい」と要求してるくせに!)。書評誌『リテレール』をやめたあとに、会社が著者の原稿料や印税を支払ってなかったことを知ったと何度も書いているが、在籍時に著者からの要求がなかったはずはない(ただし、メタローグという会社の不誠実さは、ぼくも体験している。この本に出てくる「馬鹿スタッフ」Y(たぶん同一人物だろう)とはケンカしたことがある)。亡くなったから云うわけだが、成し遂げた仕事は尊敬するが、会ってみたいとは一度も思わなかった。


これも、図書館で借りたビデオ《奥様に知らすべからず》(昭和12、渋谷実監督)を愉しく観て、『目で見る荒川区50年のあゆみ』(荒川区史資料1、1982)をパラパラ。昭和初年代からの写真がたくさん入っていて、興味深い。とくに自転車でよく走っている、宮地ロータリーの移り変わりが一目瞭然なのがオモシロかった。西日暮里の駅前交差点が、1980年代からあまり変わってないコトも確認できた。あと、町屋に関してだけ、昭和10年代の子どもの写真が入っていたが、これは奥付に写真提供者として載っている桑原甲子雄が撮ったものかもしれない。この本、これから何度も見直しそうで手元に置いておきたいので、「日本の古本屋」で検索して即注文する。やっぱりすべての本を図書館で、というワケにはいかないな。


【今日の郵便物】
★『エルマガジン』3月号
今月から「京阪神本棚通信」で、山本善行さんのコラム「天声善語」がはじまる。編集のIさんによれば、〈calo〉での書店員ナイトのときに、このタイトルはぼくが云ったものらしい。すっかり忘れていたが、今度山本さんに会ったときに奢ってもらおう。
中村よおさんより 『トオリヌケ・キ』
篠原章『日本ロック雑誌クロニクル』について、「目ウロコ本」と絶賛しながら、「せっかくこんな深い本なのに、この注釈は駄目だ! こんなもんなくてもよく知らない人も絶対面白いのだから……」と。さすが。
★大竹美緒さんより 展覧会「決戦は月曜日!」展のお知らせ
赤坂のギャラリー〈舞庵〉(http://www.my-an.com/)で、2月8日〜13日
副題は「ときめきバレンタインを準備する乙女3人展」とよく判らないけど。