藤本和也・二ノ宮知子・角田光代・日垣隆

夜中、谷中のアパートから帰ってきた旬公が、ナニかを探しまわるゴソゴソという音がしていた。今朝起きて、足下の本の山を見ると、いちばん上に、戦前の『食べある記』本3冊があった。旬公によれば、自分の探し物をしていて、本の山と本棚のあいだの隙間(があるんです)を見たら、そこに落ち込んでいたのだという。昨年11月のBOOKMANの会で発表するために、さんざん探しまわったのだが、足下にあったとは。しかも、このウチの2冊は、昨日の浅草松屋古書市で、目録注文で買ったものなのだ。いつものコトだが、なんという素晴らしきタイミングの悪さ。まあ、一冊1000円だったからイイか(こうしてダブり本が増えていくのだ)。


昼飯に出たついでに、〈麗文堂〉を覗く。浅尾丁策『金四郎三代記 谷中人物叢話』(芸術新聞社)750円。上野桜木の画材店〈浅尾拂雲堂〉の主人が、祖父から自分までの歴史をたどった本。パラパラめくると興味深い写真が満載。もう一冊は、海野弘『黄金の五〇年代アメリカ』(講談社現代新書)200円。所持している海野本のリストをそろそろつくらないと、どれを持っているか記憶が曖昧になってきた。仕事場に戻り、台北国際ブックフェアに出品する本の紹介文を書く。英語に翻訳して通じる内容にするのが難しい。


なにげなく「bk1」を見ていたら、二ノ宮知子のだめカンタービレ』(講談社)の第11巻がもう発売になっているではないか! 6時前に出て、神保町の〈高岡書店〉へ。『のだめ』、平積みになっていた。〈書肆アクセス〉に行き、『ナンダロウアヤシゲな日々』のサイン本を10冊。発売以来、この店で一体何冊サインしたんだろう? それらが売れ残らずに消えているコトが不思議だ。そのあと、畠中さんと今年一緒にやることになっている件(いくつかある)について、雑談。アクセス、こないだから若い女性が入った。西川さん、だったと思う(自信なし)。


ウチに帰ると、〈苔花堂書店〉の五本木さんからお手紙。「モクローくん通信」の切手代に加え、切手や現金をカンパしてくださった。年頭から今日まで、約20人の方が切手を送ってくれたが、半分ぐらいが多めに入れてくれている。こちらからほのめかしたとはいえ、申し訳ない。今年前半までに100人が切手を送ってくれれば、なんとか一年分の送料はまかなえるのだが、さて。


アクセス・畠中さんから、さっき渡すのを忘れていたというチラシがファクスで。熱烈なファンのいる漫画家・藤本和也さんのフェアが、2月5日から中野〈タコシェ〉で開かれるのだという(http://www.tacoche.com/)。今月、宙出版から単行本『日本の夏、天狗の夏。』が出るのにあわせての企画だ。これまで3冊を出した「餅屋ブックス」以外での商業出版社からの刊行は、コレが初めて。めでたい。インディーズで応援したバンドがメジャーデビューしたみたいなもんだが、藤本さんは、メジャー(商業出版)で活躍しながらも、インディーズ(餅屋ブックス)でも活動をつづけてくれるだろう。


『のだめ』最新巻を一気に読み(おもしろい)、晩飯をつくる。10時のNHKニュースで、芥川賞直木賞の発表。前者は阿部和重、後者は角田光代が受賞。角田さんには、以前、「本コ」でコラムを連載していただいた。「ポプラビーチ」の早稲田取材にも同行したことがある。一緒に仕事をした人が、芥川賞直木賞を獲ったのは初めて。おめでとうございます。「あんまり本は出したくない」とどこかに書いていらしたけど、今後ますます忙しくなりますね。


セドローくんを真似たわけではないが(http://www.w-furuhon.net/wswblog/cat_60miseban.html)、昨日図書館で借りた、日垣隆『何でも買って野郎日誌』(角川書店)を読了。お、おもしろい。国際便のビジネスクラスに乗るために、ガンガン仕事を入れるという向上心と、5枚で3万円の原稿料は「ご冗談でしょとお断り」する自信。お金が欲しいのに儲からない方向に行ってしまいがちなぼくとは対極の存在だが、不思議とイヤな感じはしない。この人にとって当たり前のことを当たり前として、書いているからだろうか。ある日など、夜に「明日午前中が締め切りの四〇〇字×四二枚を一気に書く。本日執筆の原稿料総計、五四万八八八八円」とある。こちとらは、某誌の非営利原稿(わずか1000字)が遅れに遅れてまだ書けないというのに。好きでやってるからイイんですが、今年は生活の設計も少しは考えなければなあ。


【今日の郵便物】
★古書目録 伍魅倶楽部、書肆砂の書
後者は、京都のオンライン古書店http://www.sablelivre.com/)が出した紙の目録、第1号。B4コピーを6つ折りしている。これはけっこう手間のかかるんじゃないかな。表はオススメ本のレビューで、裏は目録。サイトのセンスを紙に生かしているのがイイね。
★『レモンクラブ』2月号 今回は住友達也『あわわのあはは 徳島タウン誌風雲録』(西日本出版社)を取り上げました。