ナニもしなかった日

飲みすぎで、起きたのは10時ごろ。昨日の日記をアップしたら、もう11時になる。旬公は疲れきって、動きそうにない。ヤバい。このまま過していたら、たちまち一日が過ぎてしまう。ともかく出かけるコトにした。


出掛けにポストを覗くと、『図書新聞』1月1日号が届いていた。ぼくが書いた堀切直人『本との出会い、人との遭遇』(右文書院)の書評が載っていて、ビックリ。なぜかと云えば、二週間ほど前に原稿を送ったのだが、受け取ったという連絡もなく、ゲラも送られて来ず、いきなり掲載されてしまったからだ。幸い、間違いなどなかったからヨカッタのだけど、書評紙の世界ではコレが普通なんだろうか。ガッカリした。


新宿に出て、南口の〈タワーレコード〉へ。神保町辺りでは見つけられなかった、朝日美穂のニューアルバム[ホリアテロリズム]を見つける。なんと5年ぶりのフルアルバムだという。機械仕掛けみたいなジャケットがイイね。あと、チャクラ熱が再燃して、ボーナストラックの入っている再発盤[チャクラ][小川美潮]を買う。同じタイトルのCDを二度買いするなんて初めてだ。最初のほうは「古書モクロー」で売ろう。そのあと、〈ディスクユニオン〉を覗く。こないだ来たとき、買おうかどうか迷った、パンゴ[ワルツ]がまだあったので買っておく。篠田昌巳、向島ゆり子らのユニット。オフノートの別レーベル(?)から1995年にリリースされている。あと、安井かずみ[ZUZU]も買った。


まだ時間があるので、歌舞伎町をブラブラ。メッタにこの辺りに来ないので、どこを歩いているのか判らなくなる。純喫茶の〈スカラ座〉のあのいい感じの洋館は、店がつぶれたあとどうなったんだろう? 歩いてみたけど、見つからなかった。韓国映画オールド・ボーイ》のチケットを買い、近くの台湾料理屋で腸詰と汁ビーフンを食べる。上映時間よりかなり早く、〈シネマスクエアとうきゅう〉に行くと、入口の前にはもう30人ぐらい並んでいて、あとからどんどんヒトがやってくる。公開されてから1カ月以上経つはずだが、人気があるんだなあ。この館は、学生時代、地味な映画を観るのにときどき来ていたが、ここ10年ぐらいご無沙汰だった。椅子は座りやすくてイイのだが、ぼくが座った右側の出口の上に非常灯が点いていて、それが上映時も暗くならないので、目がチラチラして困った。


さて、《オールド・ボーイ》だが、かなりオモシロかった。映画では、主人公の男が原作のマンガほど意思を持った存在ではなく、自分を監視する存在に脅かされ、感情的に抵抗する。このハナシのポイントとなる「なぜ監禁したか」も、原作の抽象的過ぎる理由を捨てて、もっと判りやすい理由に変えていた。そのせいで、ラストが陰惨なカンジになったのは否めないが。奇怪なイメージ(電車のナカの巨大な蟻とか)の見せ方や、音楽の使い方もよかった。


新宿駅から山手線で帰る。ウチで、さっき買った『ロック画報』をパラパラ。「歌手・野坂昭如」が特集で、巻頭のいわば総論が国書刊行会樽本周馬くん。また荻原魚雷さんも「焼け跡闇市派の逃避行」という文章を書いている。他にも、岸野雄一による桜井順インタビュー、松沢呉一安田謙一と、ベストメンバーですわ。「ダニアースの唄」など野坂の音源の入ったCDも付いて、これはお買い得。久々の新作『死刑長寿』(文藝春秋)も出たようだから、いっしょに読むか。


昨日の「嫌われ者飲み会」の参加者が、そのことを続々日記に載せている。まず、セドローくん(http://www.w-furuhon.net/wswblog/cat_60miseban.html)は、塩の字のことを「いない人間の悪口をいう人はいるが、いる人にどんどんぶち込む人はなかなかいない」と。エンテツさん(http://enmeshi.way-nifty.com/meshi/)は、塩の字の事務所に泊まった顛末を書いている。っていうか、アレからまだ飲んだんですか……。旬公(http://d.hatena.ne.jp/halohalo7676/)は、山崎邦紀さんとエンテツさんに「屠畜のあれこれをレクチャーしてしまった」と。あとは、アクセスの畠中さん(女エンテツ)が書いて、塩の字御大が書いたら、ほぼ全員が書いたことに。こんなアホらしい宴会のことを記録するために使われるなんて、インターネットを構想した人々は考えもしなかっただろう。


メールを書いたりしているうちに、9時になった。旬公の仕事が一段落したので、道灌山通りの〈三大門〉へ。4、5年前はよく来ていたのだが、韓国料理の〈大栄〉に通うようになってからあまり来ていない。でも、タマには日本式の焼肉もいい。カルビ、タン塩、石焼ビビンバ。〈ブックオフ〉まで散歩して、帰ってくる。CDを聴きつつ、藤村正太『コンピューター殺人事件』(講談社文庫)を読むが、眠気が催して何度かうたた寝。そうこうしているうちに12時過ぎた。あー、今日はホントに生産的なことはナニもしなかった日だったなあ。


【今日の郵便物】
★「彷書月刊」1月号 特集「はじまりの本」 
岡崎さんと山本さんの「均一VS赤貧」対談が冒頭に。山本さん、いつの間にか、「赤貧」が肩書きに。いいのか? 堀切直人林哲夫ほかが寄稿。
★古書目録 下町展、青猫書房