「愛すべき嫌われ者」との一夜

午前中から仕事場で、連絡その他。雑用ばっかりだが、これらをひとつずつ完了させていくと、なんか働いたような気分になる。2時半に出て、有楽町線に乗って永田町で乗り換えて、そのまま東急田園都市線直通で終点の中央林間まで。車内で、『日本ロック雑誌クロニクル』を読む。インタビューは貴重だが、そこに乗っかってる著者の論があんまり目新しくない。あと、誰がつくったかしらないが、注がヒドイ。同じ固有名詞の注が二箇所に出てくるし、注の内容も作成者が知っていることを書いただけ、というものが多い。「クイックジャパン」以来のお家芸なのか、太田出版の本は注つきのものが多いが、あってありがたい注とつけるだけムダの注の差は歴然としている。


本を読みながら眠ってしまったらしく、目が覚めたら電車が発車するトコロだった。よかった、まだ終点じゃないなと思ったら、中央林間から折り返しなのであった。あわてて次の駅で降りて、反対側のホームに移動し、10分遅れで到着。『進学レーダー』のIさんと待ち合わせて、某校の取材。終って、田園都市線に乗る。またしても眠ってしまい、起きたら半蔵門だった。やたらと眠いのはナゼだろう?


神保町に着いたのは7時20分前。〈書肆アクセス〉で幻堂百年祭のパンフを10冊納品し、すぐに〈なにわ〉に向う。今日は、『嫌われ者の記』(一水社)の著者、塩山芳明さんを囲む飲み会なのだ。ぼくの周りには塩山氏の罵言あふれる文章を愛読するヤツが多く、会ってみたいという声もあるが、みんな二人だけで会う根性はないらしいので、代わりにぼくが会う機会をつくった次第。あと、塩山さん(以下「塩の字」)が「誰も忘年会誘ってくれない」とぼやいていた、という噂も聞いたので。〈なにわ〉にはすでに塩の字とエンテツさんが来ている。塩の字は、この店の場所がわからず、前日に下見に来たそうだ。遠足前夜にコーフンして寝付けない小学生のようで、「嫌われ者」のくせに愛いやつである。


7時過ぎからダラダラと参加者が集まる。エンテツ本の担当者で塩の字とも縁が深いフリー編集者の堀内恭さん、塩の字の友達でホモ&ピンク映画の脚本家の山崎邦紀さん、荻原魚雷さん、セドローくん、アクセス畠中さん、だいぶ遅れて旬公というメンツ。塩の字は相変わらず方々に毒を撒き散らしている。ぼくもいろいろ云われる。この日記は、今月16日の「なんだか騒ぐぞ、疳の虫」(http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20041216)だけが素晴らしく、あとは全部ツマランそうだ(と云いつつ毎日読んでるらしい)。他のメンバーにもいろいろ罵言を呈していたが、このヒト、自信がないときはなんか断言したあと、ちょっと目が泳ぐんだよな。それがオモシロイ。11時前まで飲んで、食べて、さて勘定をとなったら、塩の字、いや塩山御大が全部払ってくれた。いいヒトです。それを見た、山崎さんがポツリ。「誘ってもらって嬉しいんだよな、あいつも」。


御茶ノ水方面に歩き、途中、未来社の小柳さんと合流。駅の近くの〈和民〉に入る。さっきまでさんざん『未来』の悪口云ってた塩の字だが、小柳さんとは目を合わそうとせず、ぼくやセドローくんのほうを向いてなんか云っている。この小心者! 終電がなくなったエンテツさんは、塩の字の事務所にいっしょに泊まるコトに。1時ごろ、山崎さんと3人で去っていった。そのあと、残ったメンバーでナニも頼まずに1時間ぐらい雑談。魚雷さんがフェミニズム団体につるし上げられたハナシが傑作。荻原魚雷自筆年譜がゼヒ読みたい。お開きになり、タクシーで帰ってくる。ああ、眠い。