ごくフツーのメンチカツサンド

朝、ベランダで声や音がする。上の大家さん宅でガスが出なくなったとかで、工事をやっているのだ。おかげですっかり目が覚める。自転車で荒川税務署まで行き、書類を見せたら、「コレは区役所の通知です」と云われ、そっちに回る。窓口のヒトに相談。緊急の対応が必要。帰りに、オリンピック選手の北島の実家の肉屋である〈きたじま〉の前を通ると、今日は水曜日なのでメンチカツサンドを売っている。ひとつ買ってみる(500円)。ウチに帰って食べるが、たしかにウマイけど、ま、ごくフツーの味。500円はちょっと高いかな。書評の本に目を通し、12時過ぎに出かける。


神保町で、今日は古書展やっていると手帳に書いてあるので、行ってみたがやってない。記入間違いだったみたい。〈三茶書房〉の前を通ると、シャッターが閉まっていて、「忌中」の貼り紙が。セドローくんの日記にあったように、店主の岩森亀一さんが亡くなったのだ。岡崎武志さんによる岩森さんへのインタビュー(「ARE」第10号、のちにちくま文庫『古本極楽ガイド』に収録)に、〈山王書房〉の関口良雄さん(1978年死去)、〈江口書店〉の江口了介さん(2001年死去)と三人で、お茶だけで半日かけて古本の勉強会をやったというハナシがあるが、この三羽烏とも鬼籍に入ったわけである。古本屋のひとつの時代に幕が降りたような気がする。


書肆アクセス〉に寄ると、早くもスムース文庫2冊が入っている。今日か明日、ウチにも届くはずなので、中身は見ずにおく(と書いていたら、メール便でさっき届いた)。住友達也『あわわのあはは 徳島タウン誌風雲録』(西日本出版社)と『週刊読書人』を買う。まだ少し時間がある。いつもだったら、古本屋などを流すのだが、都営地下鉄線に乗って新宿三丁目へ。〈ジュンク堂書店〉に行こうというワケ。


新宿三丁目で降りて、靖国通りを歩く。明治通りの方を何気なく見ると、〈ヴァージンメガストア〉が消えて〈IN THE ROOM〉になっている。ふだん通らないからゼンゼン気づかなかった。閉店したのか、それともまたどこかに移転したのか?(あとで検索してみたら、今年はじめにすでに閉店していた) 〈ディスクユニオン〉のインディーズ館へ。ここに入ると、いつも1970年代のロックやフォークが掛かっていて、時間が止まったみたいで落ち着く。ジャケットがかっこいい安田南[Some Feeling]、レイクサイド[ソング]、ウリチパン郡[せん]を買う。ウリチパン郡はオオルタイチとウタモ(って誰?)のユニット。最近はナニがミュージシャン名でユニット名か、あるいは、ナニがアルバムタイトルなのかが、さっぱり判らなくなった。雑誌などであらかじめ情報を得る気力がなくなったというコトもある。いまでは知人から教えてもらって買うか、レコード屋ジャケ買いするだけだ。


ジュンク堂に行き、7階で『文學界』新年号(小谷野敦のコラムの連載が始まった)と、二階堂正宏『裏極楽町一丁目 行かないで』(朝日ソノラマ)、8階で確定申告の本と、町山智浩『USAカニバケツ 超大国の三面記事的真実』(太田出版)を買い、仕事場へ。夕方、次号の担当決めの会議。そのあと、手紙やメールを書いたり、資料を整理したり。書評を1本書かなければならないが、まだ取りかかれず。


7時前に出て、根津へ。〈往来堂書店〉で雑誌を何冊か買う。旬公が来て、根津駅近くのロシア料理店〈海燕〉に入る。鰊の酢漬け、鳥のクリームソース添え、ロシアのギョーザ入りのスープ、ピロシキ。どれもウマイ。高いかなと思ったら、意外と安かった。谷中の仕事場に行く旬公と別れて、ウチに帰る。洗濯したり、原稿を書いたりする。こないだ、セドローくんたちに本を買取りしてもらって、棚の上のほうにちょっとだけスペースができたので、そこに積んである本を詰める。ジャンルを決めて入れようと思っても、片っ端から積み上げるのが精一杯だった。いつになったら、書き下ろし用の資料だけ並べた棚が持てるのだろうか(一生ムリかも)。


金曜日からの関西行きに備えて、『エルマガジン』1月号を流し読み。他の情報誌と違って、どの記事もそれなりに読んでしまう。今月はイイ男特集で、「古本市に集まるちょっといい顔」というページが笑える。欧米人の学生が『ひまわり』を探していたり、大学教授が「古本七つ道具」(探書ノートや紐、傘など)を所持していたり。ココに山本善行さんが写っていれば最高だったんだけど。他にも、緑魔子[アーリー・イヤーズ]のレビューをちんき堂戸川昌士さん(新刊『古本珍奇レター』が東京キララ社というトコロから出るとか)が書いていたり、〈calo〉の石川あき子さんがフランクフルト・ブックフェアの報告を書いていたりする。幻堂のイベントもちゃんと告知されている。エライぞ、エルマガ!


【今日の郵便物】
林哲夫さんより スムース文庫5 大庭柯公『復刻 ふるほんやたいへいき』、6 築添正生編『1914年 ヒコーキ野郎のフランス便り――バロン滋野と滞欧画家たちの絵葉書より』各500円 前者は索引つき、後者は挟み込みの付録つき。
★古書目録 細田書店