鳥取逃避行(ワリと気楽そうですが……)

昨夜は12時前まで、鳥取での話のレジメをつくる。経験上、長大なレジメを配布しても意味ないコトが判っているので、要点を記したレジメと、話す内容をまとめたメモ(けっこう長くなって、草稿に近くなった)の両方をつくらなければならず、時間が掛かった。ウチに帰り、朝早起きして、産経新聞のコラムを書く。そのあと2時間ほど、遅れに遅れている原稿をやるが、とても終わりそうにない。Fさんに「申し訳ない」とメールして、荷物を持ってウチに出る。パソコンも持たず、鳥取に逃避行だ。


浜松町で帰りの飛行機を訊ねると、明日の最終便は満席とのこと。一泊で戻ってくるつもりだったが、難しいか。チェックインを済ませ、いつも寄る〈ブックス談〉を覗いてから、モノレールに乗る。乗ってから、昨日(12月1日)から羽田空港に「第二ターミナル」というのができたのを知る。そういえば、テレビで宣伝していた。今日乗るのはANAなので、その新しいターミナルを使うのだ。荷物検査のところから搭乗ゲートまでやたらと歩くのだが、その代わりゲートから飛行機に直接乗り込めるのはアリガタイ。いつも短い距離をバスに乗せられるのが、なんか好きじゃなかったので。


3時前に離陸、4時過ぎに鳥取空港着。夏に来たときと違い、今回はゼンゼン揺れなかった。鳥取県立図書館のNさんが迎えに来てくださる。図書館に行き、資料の本を置かせてもらい、簡単な打ち合わせ。〈定有堂書店〉の奈良敏行さんが迎えにきてくれて、駅前のワシントンホテルまで車に乗せてもらう。チェックインしたあと、歩いて3分のトコロにある〈ブックオフ〉に向う。中型の店舗。ゆっくり見たかったけど、何度も携帯に電話が入り、落ち着けなかった。そのあと、前回も行った、〈トスク〉というスーパーの中にある古本屋へ。相変わらず、文庫の100円コーナーにオモシロイのがある。陳舜臣が十数冊あって全部100円だ(持ってるので買わなかったけど)。文庫を5冊ほど買う。


そこから歩いて定有堂に向かうのだが、前回と違う道から行こうとして、迷ってしまった。同じように暗くて、人気のない道なので、自分がどちらに歩いているのか判らなくなってくる。10分ほどさまよって、川の端に出た。ココからはすぐ判る。定有堂に行くと、奈良さんに、鳥取で「編集工房炬火舎」をおやりになっている中山昇治さんを紹介される。中山さんは、鳥取淀江の出身であるジャーナリスト・松原岩五郎の本を復刊している奇特な方である。「こないだ来たときにココで、『征塵余録』を買いましたよ」とお話しする。


及川さんや伊丹さんに案内されて、定有堂の二階に上がると、テーブルにパンが並べられている。そのうち、どんどんヒトがやってきて、10人近くになる。奈良さんには一緒に飲みましょうと云っただけなのになあと、面食らってたら、前回も司会役だった梶川先生が口火を切り、近況などを話させられる(このときの様子は、奈良さんのblogにあり。http://teiyu.tea-nifty.com/teiyu/)。そのあと雑談になる。前にSFのハナシをした中島さんが、実家にあった古い雑誌を持ってきていた。で、持っていても仕方ないからと、1983年の日本SF大会DAICON3」のプログラムブックをいただく。のちにガイナックスをつくる武田康廣岡田斗司夫らが全面的にプロデュースした伝説の大会。このパンフも150ページあり、プログラムや参加作家のコメントのほか、それ以前のSF大会の歴史が概観されていたり、オマケとして例のオープニングアニメの原画が掲載されていたりと、オモシロそう。中島さんには他にも、大伴昌司追悼記事の載った『SFマガジン』や、石上三登志編集の『映画宝庫SF映画特集号(映画リストでは、中島さんが観た映画が鉛筆でマルされていて泣かせる)。こんな貴重なものをいただいてしまって、申し訳ない。いつか有効利用させていただきます。


8時半頃、音楽が始まる。中学の先生の田口くんがギター、松本くんがパーカッションでオリジナルや小沢健二のカバーなどを歌った。松本くんが叩いているのは、木でできたゴミ箱のようなもので、イミグラントのライブで松村孝之がコレを叩いてるのを見たことがあった。興味があるので見せてもらうと、片側が丸くくりぬかれていて、ナカにはピアノ線が数本貼り付けられている。これが振動してオモシロイ音になるということ。なんとコレ、自作だという(つくりかたを書いたサイトを見て、とのこと)。こうなるとブラバン出身者の血が騒ぎ、ちょっと叩かせてもらう。初めてなので、表面を叩くときの角度が難しいが、叩き方によって高音と低音が自由に出せるのがイイ。欲しくなっちゃったなあ。


10時過ぎたが、残ったメンバーで、近くの店に行く。外に出ると、身が切られるように寒い。〈JAPANS〉とかいう創作料理風の店で、まあけっこうウマイ。なんとなく鳥取の料理の話になり、「とうふちくわを食べたい」とぼくが云うと、駅前市場で朝から売っていると教えてくれた。あと、噂どおり、鳥取の雑煮はぜんざいだとか、大衆食堂はどこそこにあるとか、地元のヒトならではのハナシが聞けた。12時前に解散。梶川先生にホテルまで送ってもらい、1時過ぎに眠る。明日も早いぞ。