そこまで出来ません

昨夜も安らかに眠れず。なんでだろうなあ。山本善行さんからメールあり。「文化祭の古本をねらう話、最高です。なかなかそこまで出来ません。そうか、こんな手もあったのか、と少し悔しかった。こういうことをさせると河上くんは日本一ですね」と。他の誰でもないあの山本さんにこう云ってもらえるのは家名の誉れである。しかし今朝になって、その山本さんの「古本泣き笑い日記」の新しい回がスムースサイト(http://www.geocities.jp/sumus_livres/yamamotonikki.htm)に掲載されているのを読むと、500円詰め放題や半額セールで買いまくったり(ナンなんだよ、あの一冊25円というのは!)、コーヒー代を古本で払ったりと、まさしく「そこまでは出来ません」という世界が展開している。脱帽です、山本師匠!


朝風呂に入ってしゃっきりして、神保町へ。〈東京ランダムウォーク〉で、『山名文夫グラフィックデザイン 装丁・広告・プライベートな挨拶状まで』(ピエ・ブックス)を買う。表紙はオンデマンド印刷みたいにそっけないが、中には「都民劇場公演パンフレット」の表紙など、珍しい図版が多い。さすが資生堂企業資料館が提供してるだけはある。〈書肆アクセス〉を覗き、向かいのおにぎり屋でおにぎりを買って、仕事場へ。著者校をやりとりしてゲラを直したり、扉の文句を考えたり。まだ入稿は残っているが、どうやら大きな山は越えたかな。


来週の「趣味の古書展」の目録で、欲しい本が何冊かあり、注文を入れる。飛鳥書房が『速歩自源流 渡邊一夫 追想・遺稿集』(平成8)という本を出していて、あの仏文学者の渡辺一夫? と注文しそうになるが、なんかアヤシイと思って検索する、「ホームページ自費出版図書館」(http://www.mmjp.or.jp/jst/)に情報があった。やはり別人。産経新聞運動部デスクを経て、フリーライターとなり、のち博報堂の取締役になっている。これはこれで面白そうな追悼文集ではあるが。


仕事の合間に、なかのしげるさんに頼まれた、「幻堂百年祭」へのメッセージを書く(会場で販売するパンフレットに掲載されるもの)。30分に書いたにしては、なかなか名文である。なかのさんのお許しを得て、以下に転載しよう。

百年祭を寿ぎてのナンダロウアヤシゲな御挨拶
南陀楼綾繁

 「幻堂百年祭」だって? 百年ということは一九〇四年、明治三十七年創立ってコトか。云っちゃ悪いが、まだまだ若造だねえ。こちとらが使っている雅号「南陀楼綾繁」は、江戸期の狂歌師のお名前をいただいたのだが、このヒト、一八四一年つまり天保十二年に亡くなっている。南陀楼と名乗りはじめたのがいつかは判然としないものの、幻堂よりは六十年ばかり老舗なのであります。ああそれなのに、幻堂の首領・なかのしげるは、百年を寿ぐ大謝恩展に、この南陀楼を呼びつけおった。もちろん無報酬交通費宿泊費自弁である。まことに失敬な輩である。

 ところが、「本の日々、日々の本に溺れて」と題するトークのお相手を聞いてビックリ。なんと、まんが評論家にして、一九七〇年代関西を代表する偉大なミニコミプレイガイドジャーナル」こと「ぷがじゃ」の元編集長であらせられ、いしいひさいち川崎ゆきお竜巻竜次寺島令子らの本を出したチャンネルゼロの編集長である村上知彦さんとお会いできるとは。私しゃ、中学生のときにこのお方の「黄昏通信」を雑誌で読んで憧れておったのですよ、マジに。若造とか失敬なとか云ってたが、一転して、神様なかのさま幻堂さまへの讃美へと変わる。マイナーな世界に生きててヨカッタなあ〜。講談社小学館の編集者には味わえないヨロコビである(向うは味わいたいとは思わんだろうが)。

 それにしても、私の家には、村上さんが出された単行本の『黄昏通信』『情報誌的世界のなりたち』『イッツ・オンリー・コミックス』『日々の本』『まんが解体新書』も、編集された「ぷがじゃ」も「漫金帖」も、ついでに云えば、十二日ゲストのガンジー石原さん編集の「コミックジャングル」さえも、たぶんどこかにあるのだが(見つかれば当日お持ちします←弱気)、こちらから村上さんにお聞きしたいコトは山ほどあっても、アタクシのほうから何をお話しすればイイんでしょうか? まあ、その辺はゲストとなってるけどたぶん司会をしてくださるであろう太郎吉野さんにお任せします、ヨロシク!

 さて、幻堂も百年祭をやったことだし、南陀楼も初代を偲んで百六十三年祭を執り行うべきか。青梅の天寧寺にお墓があるので、その墓前でヒトツ賑々しくやろうかな。そのときは、なかのさん、出てくれるであろうな。もちろん無報酬交通費宿泊費自弁でな。

ってことで、チラシの画像を昨日の日記に追加しました。


書きかけだった「酒とつまみ」の原稿を最後まで。フィニッシュがうまくいったので、満足(と思ったら、字数が足りないというメールが大竹さんからあり。ちゃんと計算したのになあ)。そのあと、雨の中を西日暮里に帰り、〈竹屋食堂〉でエンテツさんと会う。お友達(一人は東京駅の「日本食堂」でこれから夜勤、もう一人は濃い顔をした近所の大工さん)とホッピー一杯だけ飲む。なんと330円。そのあと、二人で〈大栄〉に行き、マッコリ飲みながら、カムジャタン(ジャガイモ鍋)を食べる。残り汁にご飯を入れて混ぜたのが最高にウマイ! 長くなったので、今日もアンケート回答紹介はお休みです。


【今日の郵便物】
★『クイックジャパン』最新号 特集は「虎ノ門」。けっこう読み込んでしまうような気が。月末にクイックジャパン主催がライブもあるようだ。
★「博物月報」「高金商店」