諸先輩に脱帽!

11時すぎにウチを出る。電車の中で、ポストに入っていた、『日本古書通信』11月号を読む。すでに林哲夫さんが日記(http://www.geocities.jp/sumus_co/daily-sumus11.html)に書いてしまったが、「最近の古書即売会 収穫と希望」というアンケート特集がオモシロイ。なにがって、「希望」の部分が、じつに個人的(自分勝手ともいう)なのがイイ。林さん曰く「熱中型」の回答だ。


たとえば、「まず要望としては、本の見返しなどに貼る値札を、外れない程度に軽く糊を付けて、はがしたあとが残らないぐらいにしてもらいたい」(安岡昭男氏)、「(配達手段の多様化によって)筆者のような配達網のエアポケットに住む者にとっては決定的に不利になった。(略)逆に有利になった人も多いはずで、東京の某地区とか、地方の某地区とか配達の早い所はあるという」(佐々木靖章氏)という具合。見よ、この大人気なさ! 徹底的に客(というか自分)への優遇を要求する態度がすがすがしい。某地区が配達が早いとか、遅いとか、どうして確かめたのだろうか……。この種の本人が大真面目だけにユーモアを呼ぶ文章の達人である、大屋幸世氏の回答も、「私にとって古書展の開かれる金曜日は祝祭日である」という結びがスゴイ。


あと、これは熱中型ではないが、「混んだ会場での互いのマナーについて一言。ぶつかったり、後ろから手を伸ばす時には、「失礼」とか、声を掛けましょう。必死なのは解りますが、危険です」(岩切信一郎氏)。この「危険です」には噴き出した。たしかに、危険な場所ではある。こんな熱気溢れる回答に比べたら、「もっと青空古本市を」と題したぼくの回答なんざ、まるっきり「傍観者型」で面白みに欠ける。諸先輩に脱帽! である。


西荻窪へ。駅の改札で、詩人の白石かずこさんから写真を受け取るハズだったが、途中編集部から携帯に場所変更の知らせがあった。時間ができたので、いつもの〈登亭〉で盛り合わせ定食(650円)を食べる。ここのオヤジさんが、注文を取り違えたり、味噌汁を出さなかったりするのはいつものコトで、学生時代から通っているぼくは慣れているが、今日はちょっとヒドかった。同じ人の注文を何回も間違えて、奥さんにしかられていた。心なしかちょっと元気もないようだったが、大丈夫だろうか。こちらも歳をとったのか、以前であれば平気でたいらげたあの量が、ちょっと厳しくなってきた。西荻に行ったらココと決めていたのだが、そろそろリタイアする時期なのかもしれない。


信愛書店〉を覗いたあと、〈こけし屋〉の喫茶室へ。西荻では超がつく有名店だが、入ったのは初めてだ。1時過ぎても白石さんの姿が見えないので、心配になって、店の人に聞くと、「少し離れたトコロに別館があります」とのこと。しまった! と慌ててそちらへ。白石さんは常連らしく、「まだいらっしゃってません」と云われたので、しばらく待つウチにいらっしゃる。写真を受け取ったあと、いろんな話を聞く。ぼくが詩のコトを知らないせいもあるだろうが、驚くようなエピソード多数。またゆっくりハナシを聞きたいヒトが増えた。


西荻から中央線に乗り、四谷で乗り換えて、市ヶ谷へ。仕事場に着くと、もう3時前だ。馬力をかけねばと、対談まとめの続きに取り組む。合間に、「まぼろしチャンネル」(http://www.maboroshi-ch.com/cha/nandarou.htm)を見たら、「帝都逍遙蕩尽日録」がアップされていた。今回はバリ島篇です。7時過ぎまで粘るが、あまり進まず。田端に出て、〈がらんす〉へ。ビールで、チーズ入り春巻き揚げなどを食べていると、旬公が来る。シメはハンバーグシチュー。うまい。〈古書ほうろう〉の前まで来ると、通りの向こうにブックオフの看板が明るく見える。思ったよりもずっと近いなあ。詩の棚で、白石かずこアメリカン・ブラック・ジャーニー』(河出書房新社)を見つけて買う。フラミンゴスタジオの装丁がいい。


【アンケート回答ご紹介】
◎篠原俊夫さんより

古本漁りのディテールが丁寧に書かれていて、毎日読むのが楽しみです。せっかちなので日記がアップされるのをゆっくり待つことができず、一日に何度もアクセスすることも多いです。購入される古本の多くが小生も関心がもてる分野のものが多いということと日記に登場する多くの人たちとの交友関係にとりわけ関心を持っています。(略)
岡崎氏の「均一小僧の古本購入日誌」とならんで小生のもっとも愛読している日記ですので、今後とも毎日書き続けていただくとありがたいです。  

ありがとうございました。篠原さんは大学図書館退職後の生活を日記に書かれています。
「Toshi33の日記」
http://d.hatena.ne.jp/Toshi33/


【今日の郵便物】
★小野田書店より 瀬田貞二『落穂ひろい』上・下(福音館書店) 「日本の古本屋」で検索したらココが一番安かったが、附録(絵双六の復刻)が一枚欠というので、さらに1000円引いてくれた。索引には「池田信一(文痴菴)」もあり。
金沢文圃閣より 『最新和本相場全集』(古典社)、『虎の巻販売綜合目録』(ヤマト書房)、『今井書店100年の歩み』(今井書店
間村俊一さんより『たまや』第2号完成記念の飲み会のお知らせ。行きたいけど、錚々たるメンバーに気後れ気味。セドローくんも呼ばれてるだろうから、彼の後ろに隠れて参加しようかと(モクローも丸いから全部は隠れないか……)。